動物看護師は「動物の命を預かる大切な仕事」です。動物が好きな人にとって魅力的な職業ではありますが、将来目指そうと思った時に、自分はこの職業に向いているのかな?と気になりますよね。
そこで本記事では、現役獣医師である筆者が『動物看護師に向いている人と向いていない人の特徴』について解説します。
本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。
この記事の結論:
動物看護師に向いている人
ここでは、動物看護師に向いている人について解説していきます。一概に一言で向き不向きを決めつけることはできませんが、下記に多く当てはまる方は、経験上「職場でも活躍しているな…」と思います。
- 動物を好きであること(最重要!!)
- 向上心があり、努力ができること
- 突発的な出来事でも冷静に対処できること
- コミュニケーション能力が高いこと
- 肉体的および精神的に体力があること
動物看護師に向いている人の特徴#1
動物を好きであること(最重要)
まず第一に「動物が好きなこと」が重要です。
動物看護師を目指す以上当たり前かもしれませんが、特に重要なので、あえて最初に説明します。
- 好きだとより優しくできる
→動物の不安に寄り添って、優しく落ち着いた触れ方をすると、「動物の安心感・態度」が変わるんですよね。 - 好きだと多くの苦悩を許せる
→動物に攻撃されたり、汚物がかかったりすることも少なくありません。それでもその動物を可愛いと思えるほど、好きであることが重要です。
補足①動物看護師へのアンケート結果
また、動物看護師として勤務している方へ「動物看護師の仕事の魅力(複数選択可)」を尋ねたアンケート調査の結果では、92.4%(1241人中1147人)が「動物に関わる仕事である」を選んでいました。(参照:動物看護師の勤務実態に関するアンケート調査)
「動物に関わる仕事」なことが魅力とのことから、大多数が動物が好きなこともわかりますね。具体的なイメージをつけたければ、「怪我をさせられても、汚物をかけられても、それでも好きか」と考えると良いと思います。
補足②動物を飼育した経験がなくても大丈夫
また、動物を飼育したことがない獣医師や動物看護師も少なくありません。
もちろん、ペットの飼育経験がある人の方が「就職したて」での慣れは多少早いとは思いますが(気持ち的な余裕があり、触れ方に慣れているので)、半年も働けばみんな同じです。
動物を飼ったことがないから向いていない、というわけではないので、飼ったことがない方も安心してくださいね。
動物看護師に向いている人の特徴#2
向上心があり、努力ができる
動物看護師に向いている人の特徴2つ目は、「向上心があり、努力ができる勤勉な人」が向いています。
もう少し掘り下げると、そもそもの主体性の問題で「獣医師のサポート役」と一歩下がるのではなく「自分が動物を救うんだ」と、甘えることなく接するスタンスが重要になってきます。
- 自ら違和感を感じ取り共有する
喋れない動物が相手だからこそ「少しの違和感を感じ取って獣医師と共有すること」が命を救うことがあります。指示待ちではなく、自身で考え、貢献しようとするスタンスが重要です。 - 飼い主から何を聞かれても答えられるようにする
命を預かっている側の立場として「わからないものをわからないままにしない」というスタンスが重要ですね。
実際、飼い主からしたら獣医師も動物看護師も違いがわかりません。どちらも「先生」です。
動物看護師に向いている人の特徴#3
突発的な出来事でも冷静に対処できること
動物看護師として向いているなと感じる特徴3つ目は「突発的な出来事でも冷静に対処できること」ですね。
例えば、緊急の動物が来院した時、状況やバイタルを確認して獣医師へ報告することが看護師の仕事ですが、焦ることなく、飼い主を落ち着かせたり、処置に必要なものを用意したりすることが求められます。
- 電話応対
- クレーム対応
- 急患の動物の対応
動物病院によっては獣医師の数が十分ではなく、その場にいる動物看護師が対応せざるを得ないケースもあります。そのような状況下でも落ち着いて対処できる方が活躍しているイメージです!
動物看護師に向いている人の特徴#4
コミュニケーション能力がある人
獣医師と飼い主の間に立つ存在にならなければいけないので、「コミュニケーション能力に長けている人」が向いています。
獣医師に話しにくいことでも、看護師には話してくれる場合も少なくありません。これが治療にも役立つことは多いですし、飼い主の求めていることがわかり、病院との信頼関係も強くなり、満足度上昇にも繋がります。
動物が危険な状態の時も、獣医師だけでは寄り添いきれません。動物看護師がより飼い主に近い存在であることで、飼い主が救われる部分は計り知れないのです。
動物看護師に向いている人の特徴#5
体力のある人
動物看護師は「体力勝負」でもあります。長時間労働の場合も多く、立ち仕事でもあり、また、大きな動物を保定する必要もあります。
一般的に大きな病院の方がスタッフの人数確保もできているため、勤務体制が整う傾向にあります。逆に小さな病院では最終の診療が終わるまでの勤務になり、長時間勤務になりがちです。
体力がなければ、思うように働けなかったり、休みがちになってしまったり、職場に迷惑をかけたりすることもあるでしょう。肉体的に疲れてくると精神的にも辛くなることもあります。
就職してからもある程度体力はつきますが、元々体力があるに越したことはありません。
ここまでのまとめ
ここまで紹介してきた「動物看護師に向いている」と感じる人の特徴を改めてまとめると以下の通りとなります。
- 動物を好きであること(最重要!!)
- 向上心があり、努力ができること
- 突発的な出来事でも冷静に対処できること
- コミュニケーション能力が高いこと
- 肉体的および精神的に体力があること
一概に一言で向き不向きを決めつけることはできませんが、下記に多く当てはまる方は、経験上「職場でも活躍しているな…」と思います。
動物看護師に向いていない人
もちろん、たった一つ当てはまるだけで「絶対に向いていないからやめるべき」とまでは言いませんが、複数に当てはまってしまうと、就職後に苦難が待っているかもしれません。
- 汚物処理に抵抗のある人
- 感情的になりやすい人
- 年収に満足できない人
- 責任感のない人
動物看護師に向いていない人の特徴#1
汚物処理に抵抗のある人
常に汚れる環境であるため、「汚物処理に抵抗のある人」は向いていません。
動物病院は、朝から晩まで動物の排便排尿のお世話がついて回ります。外来対応をしていても不意に排泄物をすることはありますし、頭から被ることも少なくありません。それでも飼い主の前で嫌な顔は出来ませんし、笑って受け止めるくらいの覚悟は必要です。
動物看護師に向いていない人の特徴#2
感情的になりやすい人
「感情的になってしまったり、接客中に顔に出てしまったりする人」は向いていません。
動物が好きなことは重要だと述べましたが、動物が好きゆえに辛いことはたくさんあります。最期を看取る仕事です。苦しんでる姿に自分が苦しめられたり、そこで動けなくなってしまったりする場合は難しくなってしまいます。
また、飼い主から相談されることも多いですが、苦情を言われることも多い仕事です。そこで一憂せず、感情を隠して対応することが必要ですね。
動物看護師に向いていない人の特徴#3
動物看護師の年収に満足できない人
動物看護師は決して年収が高くないため、「年収を重視する人」は動物看護師には向いていません。
年収の平均目安は322万円(参照:厚生労働省)と、全職種の平均年収(460万円)(参照:民間給与実態統計調査)と比較すると年収が100万円以上低いことがわかりますね。
年収を重視する人は、動物看護師を続けていくのは難しいのかもしれません。
動物看護師の将来性について
動物看護師は勤務年数が増えれば増えるほど、年収がアップする傾向にあります。また、国家資格化に伴い、資格取得者の給料をあげた動物病院も少なくありません。
飼育頭数は増えていませんが、医療の発達に伴いペットの高齢化(犬:14.65歳、猫:15.66歳)(参照:環境省)も進み、一人一人のペットにかける医療費が増えています。動物病院の売上が伸びることで、動物看護師の給料もさらに上がっていくのではないでしょうか。
一方で動物病院数は過多のため、売上を減らしている動物病院もあります。就職時の見極めも大事になりますね。(参照:東洋経済)
動物看護師に向いていない人の特徴#4
責任感のない人
動物の命を預かる仕事である以上、「責任感を持って行動すること」が大切です。たとえ小さなミスだったとしても、起こってしまった時には反省しなければなりません。責任感のない人はこの反省が行えないのです。
例えば、検体の取り違えたり、保定により呼吸を苦しくさせてしまったり、などは命に関わってくることです。
責任感を持って仕事しないと、自分のミスで命を奪いかねないことになるでしょう。
動物看護師になるには
就職にあたって、特に学歴や資格を必要としない動物病院も多いので、まったくの未経験でも動物看護師になることは可能です。
ただ一般的には「専門学校や大学へ入学し、動物看護に関する知識や技術を身につけてから働き始める」という方がほとんどです。また、仕事の幅を広げるためにも、国家資格まで取得できると理想です。
- 無資格でもなれるが選択肢は狭まる
- 大学や専門学校に通って専門性をつける
- 国家資格「愛玩動物看護師」を取得しよう
動物看護師になるには#1
無資格でもなれるが選択肢は狭まる
動物病院は動物の命を預かる現場であるため、専門的な知識や技術がない状態だと、動物と関わる仕事には関わることができない可能性すらあります。
また、近年の動物看護師の国家資格化(愛玩動物看護師)に伴い、動物看護師に求められる知識・技術レベルが高まっていくことが予想されます。
ペット業界未経験で、さらに無資格の場合、就職先の選択肢はますます狭まっていきます。専門性の高い技術を身に付け、仕事にやりがいを見出すためにも、大学や短期大学、専門学校に通い、国家試験を受験・合格するのが理想です。
動物看護師になるには#2
大学や専門学校に通って専門性をつける
これから動物看護師を目指す方は、資格を取るために大学または専門学校に通う必要があります。大学と専門学校についてまとめました。
| 学校数 | 通う年数 | 学費の目安 | |
|---|---|---|---|
| 大学 | 8校 | 4年間 | 400〜500万円 |
| 専門学校 | 60〜70校 | 3年間 | 200〜300万円 |
大学ではより幅広く、専門学校ではより専門的に学ぶことができます。それぞれの特徴は下記の通りです。
- 教養も学べる
- 単位制なので、空きコマや長期休みなど自由時間が多い
- 実習が少ない
- 獣医学部と併設の場合はより深い知識を学べる
- 就職は基本的に自分で(企業や産業動物など、他の職業も比較的就職しやすい)
- 専門性が高く、教養の授業は少ない
- 自由時間が少ない
- 実習が多い(学外実習含め)
- 就職に手厚い(就職先は限られている)
実際、新卒で就職してくるスタッフを見ていても、就職してからの大きな差はありません。一概に「大学に通ったから優秀」ではないので、「とりあえず大学」と考えず、自分に合った方を選ぶといいですね。
動物看護師になるには#3
国家資格「愛玩動物看護師」を取得しよう
今までは民間資格の「認定動物看護師」でしたが、2023年より国家資格になり、「愛玩動物看護師」となりました。
- 「予備試験+本試験」または「本試験のみ」の2パターン
- 予備試験は、認定動物看護師資格の有無や、カリキュラムにより受験が必要。
- 試験受験前には、各々決められた時間の動画視聴による勉強も必要。
なお2025年度では、5048人の愛玩動物看護師が誕生しています。合格率は88.0%と高いことが特徴です。(参照:動物看護師統一認定機構)
補足 現スタッフへの優遇措置
現在動物病院で働いているスタッフのための優遇措置として、5年間の猶予があります。猶予期間中は、5年間の勤務経験があれば、学校を卒業していなくても国家試験を受験できます。

