スタッフ職と比べて「管理職の転職は難しい」と考えられている方が多いのでないでしょうか。実際、企業内のポジションが限られているので、求人母数は少なく、年収に応じて選考ハードルも上がります。
また、仮に転職活動がうまくいって入社しても、期待値が高いゆえに、十分な活躍をすることができず、早期退職するリスクがあるので慎重に進めるべきです。
本記事では、上場企業の管理職経験のある筆者が、自身の転職経験も交えながら「管理職の転職の難しさ」と「転職活動の進め方」を解説します。
この記事の結論:
管理職の転職が難しいとされる理由
スタッフ層に比べて「管理職の転職が難しい」とされる理由は下記の通りです。もちろん、これまでの経験や実績によって不利とならないケースはありますが、一般論として理解が必要です。
ではそれぞれ解説していきますね!
管理職の転職が難しいとされる理由#1
求人母数が限られる
当然ですが、年収やポジションが上がるに従って、求人母数は少なくなっていきます。そもそも日本で管理職として働いているのは、労働者全体の2.02%に過ぎません。
もちろん社員数が1,000人を超えるような大企業では、管理職比率が10%近くになることもありますが、たいていの場合で新卒入社した人材が管理職になっていくので、中途募集はレアケースです。
そのため、どうしても一般職と比べると求人母数は少なくなります。十分の一もないでしょう。その中から自身の経歴や指向性にあう求人を探すことになるので、見つかるのに時間がかかります。
余談ですが、管理職を中途で募集する企業は、急拡大中の業界(コンサル系)や中小企業(ベンチャー、スタートアップ)が中心ですね。この辺りを避けるとますます厳しくなります。
管理職の転職が難しいとされる理由#2
管理職求人は転職サイトでは公開されない
管理職以上の求人は、転職サイト(リクナビNEXTやマイナビ転職など)では一般公開されません。理由は下記の通りです。
- 理由1. 一般公開したくないため
実際コンフィデンシャル案件が多いです。また条件に満たない候補者の応募によって上層部の選考負担を逼迫しない意図もあります。 - 理由2. 掲載課金モデルの媒体とは相性が悪い
管理職の募集は枠が少なく採用が長期化するので、掲載課金モデルの媒体だとコスパが悪いです。そもそも待っているだけでは良い人材にリーチできないのでエージェント経由でプッシュするのが一般的ですね。エージェントは成果報酬なので、採用が長期化する管理職採用にちょうど良いです。
実際に、企業側にとって事業戦略上の重要度が高いハイクラスポジションでは、ピンポイントの人材獲得をおこなうためにエージェントやヘッドハンターを活用することが多くなります。
このように、自分で調べて見える場所(転職サイトや企業採用HP)に求人が掲載されていないので、情報収集に時間がかかるのも「管理職の転職は難しい」と言われる理由の一つです。
編集部実際に私も事業部長として課長クラスの管理職採用をおこなっていますが、求人サイトで募集したことはありませんね
管理職の転職が難しいとされる理由#3
採用条件(能力、実績)が高い
年収やポジションが高くなればなるほど、求められる能力が高くなります。即戦力で活躍できる職務能力があるのはもちろん、管理職として高いパフォーマンスを出している必要があるのです。
転職先企業に管理職として入社する場合には、下記のような役割(詳しくは後述)を満たせることを、客観的な実績を用いて証明する必要があります。
- 組織を成長させること(生産性の向上)
例:メンバー育成や業務改善 - 事業で結果を出すこと(利益の創出)
例:目標達成、プロジェクト完遂
そのため、管理職の求人を「業界×職種」で分類したときに、同じ領域での転職活動であればうまく行く可能性がありますが、遠くなればなるほど難しくなってしまうものです。(もちろんビジネス構造の近しい業態でノウハウを持ち込みやすいのであれば別ですが。)
採用側の立場になればわかりますが、管理職ポジションは重要なので、任せたい役割と近い経験をしており、高い成果を出してきた即戦力を採用したいものです。
リスクの高い管理職採用はポテンシャルが評価されにくく、主観で「できます!」と言っても通用しないので、客観的な実績を用いて説明する必要があります。
管理職の転職が難しいとされる理由#4
求められるカルチャーマッチ度合いが高い
人は無意識に自分と似た人間と働きたいと思うので「既存メンバーと仲良くやれそうか」「社風に合っているか」が求められます。もちろん管理職でなくても重視されますが、組織の中核ほど、“求められる合致度合い”は高くなります。
実際、若手の退職理由で一番多いのは「人間関係が悪い」で、管理職では「上司・経営者と合わない」です(参考:リクナビNEXT 退職理由調査)。そのため採用では、経営陣と部下メンバー両方との相性を慎重に判断する必要があり、転職ハードルが上がるのです。
また、スタートアップやベンチャー企業に多いビジョナリーカンパニーとなると、経営理念に心から共感できるストーリーが必要となり、過去の経験との一貫性が求められるのも転職ハードルが上がる一因です。
なにより年齢の問題もあるでしょう。人間は、年齢と経験を重ねるごとに自我やこだわりが確立されていくので、“新しい環境に適応する能力”が低くなっていくものです。
人生経験を重ねたからこそわかる「相性が良い人間や環境条件」があるので、自分に合う転職先を探すのは時間がかかります。
管理職の転職が難しいとされる理由#5
転職リスク以上の期待値を得るのが難しい
最後に、転職失敗で失うものが大きいために慎重になりやすい、というのも管理職の転職が難航しやすい理由です。リスク以上のリターンを期待できる求人はそう多くありません。
最悪のケースだと下記の事例もあります。
- うまく馴染めず精神的負荷がかかる
- “うつ病”等のメンタル不調になる
- 試用期間で切られてしまい、無職になる
実際のところ、中間管理職の負担は大きく、”うつ病”をはじめとしたメンタル不調が多いとされています(出典:日本産業カウンセラー(2019))
特に、管理職として活躍する人材は合理性やリスク思考力が高いので、「高い評価を受けている現状を捨ててまで新しい環境へ飛び込むべきか」と考えるものです。また管理職の給与は、会社間の格差が大きいので、現職での報酬が高いと探しにくくなる特性もあります。
それこそ採用力が低く人材が枯渇しやすいベンチャー企業だと、管理職手当を積むことで転職されないよう対策しているので、ますます判断が難しくなります。
ここまで説明した「管理職の転職が難しい理由」を再掲すると下記の通りです。
- 求人母数が限られる
- 管理職求人は転職サイトでは公開されない
- 採用条件(能力、実績)が高い
- 求められるカルチャーマッチ度合いが高い
- 転職リスク以上の期待値を得るのが難しい
このような理由から、管理職の転職活動は長期化(3ヶ月以上)しやすいので覚悟が必要です。次は、転職で求められる管理職経験をみていきましょう。
管理職に期待される役割(アンケート)
管理職は、担当部署のリーダー(責任者)として、「組織」と「事業」の管理を任されており、いずれの軸でもハイレベルな結果が期待されているものです。
- 組織を成長させること(生産性の向上)
例:メンバー育成や業務改善 - 事業で結果を出すこと(利益の創出)
例:目標達成、プロジェクト完遂
具体的な期待役割を、リクルートマネジメントソリューションズが300名(人事150名、管理職150名)を対象におこなった調査から見てみましょう。

引用:マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2021
管理職層の回答を降順にすると下記の通りです。
- 1位「メンバーの育成(47.3%)」
- 2位「業務改善(34.0%)」
- 3位「事業の重点テーマの推進(33.3%)」
- 4位「担当部署の目標達成/業務完遂(32.7%)」
- 5位「新価値、イノベーション推進(30.0%)」
上記の期待役割を見るに、担当部署のメンバー育成は当然として、事業状況に合わせた推進(業務改善や重点テーマ推進、新価値創造等)が期待されていることがわかります。
このように現場事業の司令塔としてチームを引っ張りつつ、経営目線で事業拡大に向けて推進する“リーダーシップ”を求められるのが管理職というものです。
管理職となると業績ばかりが話題に上がりますが、同じくらい、あるいはそれ以上に「人の成長」も重要です。
なので管理職の採用では「人を惹きつけ、モチベーションをあげ、成長させる」といった育成能力(環境づくり含め)を期待されることが多いですね。
管理職が転職で求められる経験・実績
「管理職の転職」で求められるのは「組織と事業の成長に向けてリーダーシップをとった経験(実績があればなお良し)」です。具体的にみていきましょう。
| 役割/目的 | 具体的な経験・実績 |
|---|---|
| 組織の成長 (生産性の向上) | ①メンバー育成 ②業務プロセス改善 |
| 事業の結果 (利益の創出) | ③目標達成、及び事業成長 ④新価値の創造、イノベーション |
組織や事業成長に向けてリーダーシップをとった取り組みの結果、目に見える「実績」があればベストです。
ただ、ヒトを扱うマネジメントの特性上、必ずしも定量化できるわけではないので、ポイントさえ押さえれば大丈夫ですよ!
管理職が転職で求められる経験・実績#1
メンバー育成
管理職として、部下を指導し、成長を支援した経験はどの組織でも重宝されます。なぜなら、会社の経営資源である「ヒト」の価値をあげることができるからです。
特に、自身の体系化されたノウハウを組織に還元して「一定レベルの能力を持った社員」を量産してくれる管理職は、退職後も「ヒト」や「ヒトが育つ仕組み」を残してくれるので需要が高いです。
- 心理的安全性の確保
例:1on1やメンター制度、リモート下の交流 - モチベーション向上の取り組み
例:個人の成果や貢献の可視化、理念の浸透 - 業務スキルの成長支援
例:スキルマップ作成や育成し合う体制づくり
たとえば「営業チームのスキル標準化を推進し、成約率が向上。事業営利がYoYで120%成長しました」など、行動&結果のセットで伝えると良いでしょう。
「無能を有能に変える錬金術師」としての役割が管理職には求められます。もし仮に、部下を使い捨ての道具だと思っていても、今はコンプラ意識が高い企業が多いので注意してください。
「みんなの成長や活躍が自分のことのように嬉しい」と面倒見が良い雰囲気を演出しておきましょう。
管理職が転職で求められる経験・実績#2
業務プロセスの改善
管理職の転職では、業務プロセスを改善した経験も求められます。実際、組織の生産性をあげるためには、従業員の成長だけでなく、事業運営の仕組みを見直すことも重要です。
- 人員配置、体制変更
- 販路や集客チャネルの見直し
- 予算や実行スケジュールの管理
- 成果分析
上記のように、プロジェクトが円滑に進むための「潤滑油」としての役割を担った経験を、具体的に、企業側に伝えられると良いでしょう。
「無能を無能のままにしない」ことも管理職の仕事です。健全な流動性を促す目的で退職させるのも良いですが、個々の適性を踏まえた人員配置や、新しい仕事を作ることも求められます。
それこそ某保険会社は、介護事業も手掛けており、営業ができない営業職を介護要員として異動させています。こういった全体最適化に向けた判断や取り組みも重要です。
管理職が転職で求められる経験・実績#3
目標達成、及び事業成長
あえていうまでもありませんが、事業やチームの責任者として、目標数値の達成も求められます。そのため、事業を担当してからの取り組みと結果(YoYの成長率等)を、下記の観点で整理しておきましょう。
- 高い目標を掲げる
- 目標に向かって全力を尽くす
- 周囲をエンパワーメントする
特に、ナレッジや予算、時間が限られた中、「達成が難しい」とされる高い目標に向かって、創意工夫をしながら全力で挑んだ経験、さらに達成した実績まであると有利になります。
株主や経営陣からの高い期待に対して、いかに組織の潜在能力を引き上げ、限界を超えたハイパフォーマンスを出せるかが重要です。
たとえ目標数値の無茶振りをされても、前向きに捉え、建設的に行動することができる“都合の良い歯車”であることをそれとなく伝えましょう!
管理職が転職で求められる経験・実績#4
新価値の創造、イノベーション
リスクをとって、新しい価値創出に挑戦した経験も重要です。特に、成長が鈍化した成熟事業において、過去の延長線上で運営するだけでは、遠くない未来で緩やかに衰退してしまうでしょう。
マーケティング理論「プロダクトライフサイクル」であるように、会社として利益を創出し続けるために、中長期目線で新しい芽を作っていくことも重要です。
- 事業領域拡大、M&A
- 既存アセットを活用した事業創出
- 新規事業への挑戦、イノベーション
- 競合がやっていない新しい取り組み
上記のような新しい取り組みの実績や、あなたならではの工夫があると、企業から採用されやすくなります。特に、市場変化が大きい事業ドメインや、ベンチャーマインドの高い会社では重宝されるでしょう。
おすすめのハイクラス転職エージェント
ここでは高年収・ハイクラス向けにおすすめできる転職エージェントをご紹介していきます。どこも実績が豊富で、専門性の高いコンサルタントが在籍しています。
- 取引企業数が多いこと
- 利用者の評判口コミが高いこと
- 高年収向けの支援実績が多いこと
| 順位 | サービス | おすすめ度 | おすすめの理由・特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|---|---|
1位 | JACリクルートメント | 4.4 | ハイクラス特化で実績が多い 専門性の高いコンサルタントが求人提案 | 詳しく見る |
2位 | 転機 | 4.3 | 年収800万以上のハイクラス求人が豊富 エグゼクティブ層を目指すなら | 詳しく見る |
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6位以降の比較表
| 順位 | エージェント | おすすめ度 | おすすめの理由・特徴 | 公式サイト |
|---|---|---|---|---|
| 6位 | エンワールド | 4.0 | 東京近郊の外資求人に特化 職業紹介優良事業者の認定あり | 詳しく見る |
| 7位 | ロバートウォルターズ | 4.0 | 外資系・グローバル企業に特化 30~40代管理職から人気が高い一社 | 詳しく見る |
| 8位 | dodaエージェント | 3.8 | 人材会社大手で取引企業数が多い 選抜されたアドバイザーが個別対応 | 詳しく見る |
| 9位 | パソナキャリア | 3.7 | 年収800万円〜の転職支援に強い 丁寧な転職支援で年収UP実績が多い | 詳しく見る |
| 10位 | type転職エージェント | 3.6 | 一都三県のIT系・営業職に強い 女性向けサービスも展開している | 詳しく見る |
| 11位 | エンエージェント | 3.5 | 職業紹介優良事業者に認定済み 他エージェントを試したら選択肢に上がる | 詳しく見る |
| 12位 | LHH転職エージェント | 3.3 | 障害者雇用向け案件あり 他エージェントを試したら選択肢に上がる | 詳しく見る |
ハイクラス層だと、いま出回っている求人から応募するものではなく、長期的に求人提案を受けながら良い転職先を探すことになるので、じっくりと寄り添って伴走してくれる担当者を選ぶことが重要です。
担当者にはどうしても相性があるので、いくつか登録して対応品質を比較していきましょう。
おすすめ転職サービス:
ハイクラス向けスカウトサイト
また、ハイクラス層の転職では、ポストが空くタイミングが重要なので、スカウト型転職サイトにも登録して、長期的に企業スカウトを待つこともおすすめです。
- 利用しているスカウト企業数
- 企業ブロックやセキュリティの充実度
- エージェントのスカウトをオフにできること
選び方の補足
選ぶときは、求人数は気にしなくて構いません。不特定多数のエージェントが社名非公開で大量に傘増ししていて、情報が古い釣り求人のケースが多いので。
また、後述していますが、エージェントスカウトはオフを推奨しているので、登録エージェント(ヘッドハンター)の数も気にしなくて構いません。
| 順位 | サービス | おすすめ度 | Pマーク | 企業ブロック | コメント | 公式サイト |
|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | ![]() ビズリーチ | 3.5 | あり | あり | 取引企業数が2万社以上 最大手のスカウト型転職サイト | 詳しく見る |
2位 | リクルートダイレクトスカウト | 3.0 | あり | あり | 最大手人材会社リクルートが運営 多くの企業が利用するのでおすすめ | 詳しく見る |
3位 | doda X | 3.0 | あり | あり | dodaと連携した求人紹介 転職エージェントのスカウトが多め | 詳しく見る |
登録後は、エージェントスカウト機能をオフにして、企業スカウトだけを待つことを推奨します。
エージェントスカウトをオフにしないと、不特定多数の事業者から届く膨大なスカウトメール(毎日10件〜)がノイズになります。最初から評判が良いエージェントを使った方が効率的です。
管理職経験を転職で伝えるときのポイント
管理職採用の面接では、法人営業と同じように、①企業側の採用ニーズを把握して、②数字とエピソードで“自分を採用するメリット”を提案しましょう。
- 企業で求められる役割、スキルを把握する
- 数字とエピソードで採用メリットを伝える
管理職経験を転職で伝えるときのポイント#1
企業で求められる役割、スキルを把握する
管理職の転職は求められる能力が高くミスマッチが起きやすいので、事前にカジュアル面談を通して、求められる役割や期待を把握するようにしてください。
- 組織の中期計画
- 何を任されるのか(裁量と責任)
- 最低限、期待される役割はなにか
- 管理する部下(人数、年齢、人となり)
- 入社初期の動き(キャッチアップ期間)
そもそも中途面接は「私は御社の期待に応えられます」と営業する意識で臨んでください。最低限の期待役割すら理解せずに「質問して判断して〜」と受け身でいるようでは採用されません。
自身が活躍できるかわからない状態で選考応募してしまうような管理職だと、単純に「仕事ができないのでは?」と思われるので注意してくださいね!
管理職経験を転職で伝えるときのポイント#2
数字とエピソードで採用メリットを伝える
職務経歴書もそうですが、採用面接では企業の採用ニーズを把握したうえで、期待に添える結果を出せることを“客観的な実績”で伝える必要があります。
- 新規事業創出、1年で黒字化
- 50名の組織を管理、前期比130%の業績
- 1on1MTG取り入れ以降、2年間離職率ゼロ
このように、自分ならではの取り組みと、結果として得られた定量的な成果を伝えることで、企業側からはグッと魅力的に見えるものです。
- 定量化|数字で語りましょう
- 整合性|行動と結果の因果関係に注意
- 必要性|該当業務に優先度を割いた理由




