生成効果(Generation Effect)とは|自分で作ると記憶が定着するメカニズムをわかりやすく解説

目次
編集 セオリーズ編集部

本記事は、セオリーズ株式会社の編集部が、心理学・認知科学・行動科学に関する文献や公開情報を確認したうえで作成しています。内容は一般的な知識提供を目的としており、医学的診断・治療を代替するものではありません。

生成効果とは

生成効果(Generation Effect)とは、情報をただ読むだけでなく、自分で答えや言葉を作り出しながら学習すると、後で思い出しやすくなる現象です。「読んで覚える」より「考えて作る」ほうが残りやすい、能動的学習に関する認知心理学の知見です。

ノーマン・J・スラメッカとピーター・グラフ(1978)は、単語対をそのまま読む条件と、手がかりや規則にもとづいて反応語を生成する条件を比較しました。その結果、生成した語のほうが、後の再認・再生でよく記憶されることを体系的に示しています。(出典:Slamecka & Graf, 1978

その後、語断片の補完や手がかりにもとづく単語生成などを中心に研究が広がりました。教育場面では、要約・自作問題・人に説明する学習など、自分の言葉で情報を作り直す学習法とも関連づけて語られています。

生成効果のポイント
  • 読むだけの場合より、自分で作る場合のほうが、後で思い出しやすくなる傾向がある
  • 生成時の認知的努力が記憶痕跡を豊かにすると考えられる
  • 単語対の生成・語断片の補完・自作問題・要約・説明など多様な形式で現れる

生成効果のメカニズム

生成効果が起こる理由は、ひとつに決まっているわけではありません。ただ、共通しているのは、自分で考えて答えを作る過程で、情報を深く処理しやすくなるという点です

例えば、答えを読むだけなら一度流して終わる情報でも、自分で空欄を埋めたり、自分の言葉で説明したりすると、意味を考えたり、知っている知識と結びつけたりします。その結果、後で思い出すための手がかりが増えやすくなります

一方で、難しければよいわけではありません。まったく分からない問題を無理に考え続けると、かえって理解しにくくなることもあります。生成効果を活かすには、少し考えれば答えに近づけるくらいの難易度が大切です。

ロバート・A・ビョークらの「望ましい困難(desirable difficulties)」は、学習中の手応えを悪くしつつ、長期保持を支えることがある学習条件です。生成活動も、適切な難しさがある場合には「望ましい困難」の一例として説明されることがあります(出典:Bjork & Bjork, 2011)。

テスト効果との違い

生成効果とテスト効果は似ていますが、焦点が異なります。

生成効果 vs テスト効果
  • 生成効果:
    答えや説明を自分で作ることで、記憶に残りやすくなる現象。穴埋め問題を解く、要点を自分の言葉でまとめるなどが例。
  • テスト効果:
    覚えた内容を思い出すことで、記憶に残りやすくなる現象。小テストを受ける、見ずに書き出すなどが例。

つまり、生成効果は「自分で作る」、テスト効果は「思い出す」ことに重点があります。実際の学習では、穴埋め問題や白紙に書き出す学習のように、両方が重なることもあります。

生成効果の具体例

ここでは生成効果が学習・日常・職場でどのように現れるかを具体例で説明します。

生成効果の具体例
  • 穴埋め問題:
    答えを考えることで記憶に残りやすい
  • 読書メモ:
    自分の言葉でまとめると理解しやすい
  • チェックリスト:
    手順を作ることで仕事に使いやすい

具体例#1学習
穴埋め問題を考えてみる

例えば、「光合成とは、植物が太陽光を使って〔  〕を作るプロセスである」という空欄を見たとします。答えをすぐ読むより、まず自分で「何が入るだろう」と考えるほうが、後で思い出しやすくなる場合があります

空欄を埋めようとすると、知っている知識と照らし合わせたり、文の意味を考えたりします。こうした考えるプロセスが、記憶に残る手がかりを増やしやすくします

具体例#2日常
読んだ本を自分の言葉でまとめる

読んだ本をそのまま書き写すだけでは、内容が頭に残りにくいことがあります。一方で、本を閉じて「今日学んだこと」を自分の言葉で書き出すと、内容を思い出しやすくなる場合があります

これは、内容をただ写すのではなく、自分の中で整理し直しているからです。なお、本を閉じて思い出す要素はテスト効果にも近いですが、自分の言葉で再構成する点では生成効果とも関連します。

具体例#3職場
自作チェックリストの作成

職場でも、既製のマニュアルを読むだけより、自分で手順のチェックリストを作るほうが、流れを覚えやすくなる場合があります

チェックリストを作るには、手順の意味や順番、注意点を自分で考える必要があります。既製の情報を使える形に整理することで、知識として定着しやすくなります

生成効果に関連する概念

生成効果を理解するには、似た学習効果や記憶のしくみもあわせて見ると分かりやすくなります。ここでは、テスト効果・処理水準理論・精緻化リハーサルの3つを簡単に紹介します。

関連する概念
  • テスト効果(Testing Effect)
    想起する行為が記憶を強化するという関連現象。生成効果と重複する部分が多く、能動的学習の有効性を共に支持する。
  • 処理水準理論
    生成効果は「深い意味処理が記憶を強化する」という処理水準理論と整合的。生成行為が深い処理を引き起こすと考えられる。
  • 精緻化リハーサル
    既存知識と結びつけながら情報を処理する技法。生成効果を意図的に引き出す精緻化リハーサルの実践形のひとつ。

生成効果を活かす方法

生成効果を活かすポイントは、ただ読むだけでなく、少しでも「自分で考える時間」を入れることです。ここでは、今日から取り入れやすい学習法を3つに分けて紹介します。

生成効果を使った学習法3ステップ
  • 読む前に「予測して埋める」習慣をつける:
    テキストを読む前に、見出しや問いを見て「何が書かれているか予測する」。予測が外れても、その差が記憶の手がかりを増やすと考えられる
  • 学んだことを自分の言葉で書き出す:
    ノートを閉じて「今日学んだこと」を自分の言葉で書く。思い出す要素はテスト効果にも近いですが、内容を自分で整理し直す点では生成効果とも関連します
  • 他者への説明を学習の一環にする:
    人に説明すると、学んだ内容を自分の言葉で整理しやすくなります。説明しにくい部分に気づくことで、理解不足の確認にもつながります

運営者情報

当サイトはセオリーズ株式会社が運営しています。

会社名セオリーズ株式会社
法人番号8010001246220
公式HPhttps://theories.co.jp/corp/
本社所在地106-0032
東京都港区六本木6丁目10番1号
六本木ヒルズ森タワー16階

内容の正確性および最新性の確保には細心の注意を払っておりますが、記事の内容に誤り(情報が古い等)があった場合はこちらからご共有いただけると幸いです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次