動物にかかわる仕事がしたいと考えた時に、獣医師をイメージする人が多いのではないでしょうか。
2024年小学生の将来の夢ランキングでは、女子の第4位に獣医師が入っています(引用:日本FP協会「将来なりたい職業」ランキング)。2018年には、実に52年ぶりに獣医学科が新設され、獣医師の人気は年々高くなっています。
一方で、獣医師になって後悔したという意見もあるのをご存じですか?そこで、獣医師やめとけと言われる理由や、向いてない人を徹底解説していきます。
- 辞めとけと言われる理由
残業が多く拘束時間が長いわりに給料があまり高くない。また人間関係が閉鎖的になったり怪我をするリスクがある。安定的な仕事内容や、人とのコミュニケーションを避けたい人には向かない。 - 向いてないと思ったら転職も検討しよう
なぜ向いてないと思ったのか根拠を考える。そこから別の病院へ転職したり、時短勤務にするなど働き方を変えたりして再スタートしてみる。獣医師免許があれば臨床以外への業種への転向も可能。
本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。
この記事の結論:
獣医師やめとけと言われる理由・デメリット
獣医師として働くことのデメリットは下記のとおりです。それぞれ順を追ってご説明していきます。
- 残業が多く、拘束時間が長い
- 給料がイメージより低い
- 人間関係が閉鎖的になりがち
- ケガ、感染症のリスク
- 獣医師以外に転職しにくい
獣医師やめとけと言われる理由#1
残業が多く、拘束時間が長い
獣医の悩みはトップに、就業規定時間以外の時間外労働が多いことがあげられます。
小動物臨床医が多い東京都の獣医師の平均就業時間は月198時間でした。月の日数が30日として、一日8時間勤務×週5日だとすると、毎日約1.3時間していることになります(引用:職業情報提供サイトjob tag)。

病気の動物は、予測不可能な時間に来院するため、急な残業や早朝出勤が頻繁に発生します。昼休みの時間も日によって短い場合や取れないこともあるため、精神的・体力的に負担の大きい仕事です。
若いうちは気合で乗り越えられても、年齢が上がるとともに体力面できつくなったり、家庭を持つと家事や子供の送り迎えの時間を確保が難しくなったりします。
獣医師やめとけと言われる理由#2
給料がイメージより低い
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、獣医師の平均年収は一般的な会社員より高いですが、同じ6年制大学卒である歯科医や医師(内科医)と比べると低いです。

また、時間外労働として「みなし残業やサービス残業を行うと時間当たりの給与はかなり低くなる」と考えられます。
獣医師の約4割を占める小動物臨床医は、定年退職するまでずっと同じ職場で働き続ける人は少なく、開業や出産育児に伴う時短勤務などにより、一度給与が下がってしまうイベントがくるケースが多いです。このような理由から世間一般のイメージより、実際の給与は低いと感じてしまうのでしょう。(引用:職業情報提供サイトjob tag)
獣医師やめとけと言われる理由#3
人間関係が閉鎖的になりがち
獣医師の職場では、人間関係が閉鎖的になりがちです。
例えば、小動物臨床医で個人病院だと各施設にスタッフが5~10人位という病院が多いです。ある程度規模の大きい病院でも20~30人程度のため、一般的な会社員に比べると常に同じ人と同じ空間で仕事をすることになります。さらに院長と新人獣医師だと年齢の差が大きく、世代のギャップがありコミュニケーションがとりにくいという意見もあります。
大動物臨床医や公務員の場合も、各施設で獣医師は数名しか在籍しないことが多いので、20歳以上年の離れた先輩と二人きりで仕事をするなんてこともよくあります。
そのため、一度人間関係に悩むと距離を置くこともできず、長時間同じ職場で過ごすので、より苦痛に感じてしまいます(引用:日本獣医師会「獣医療とコミュニケーション」)。
獣医師やめとけと言われる理由#4
怪我、感染症のリスク
獣医師には、動物から受ける怪我、感染症のリスクがあります。
獣医師は動物看護師や飼い主が怪我しないよう保定の指示を出すため、動物の攻撃で怪我をするリスクは高いです。普段おとなしい動物でも病院という慣れない環境に来ると、予測できない行動をとることがあります。致命傷は避けれても、傷跡が残るようなひっかき傷や噛み傷が絶えないので、特に女性は素肌を出す服を選びにくくなります。
また、雑菌が傷に入って化膿したり、発熱したりする感染症のリスクもあります。もっと恐ろしいものだと、人獣共通感染症という重い症状の出る病気に感染する可能性もあるため、常に危険にさらされています。ペット・家畜の臨床医はもちろんですが、公務員でも保健所、空港に係留されている動物の検査、畜産試験場などで動物に触れるため、感染のリスクはあります。
獣医師やめとけと言われる理由#5
獣医師以外に転職しにくい
獣医学科を卒業した場合、基本的に獣医師免許が必要な職に就くことになるため、獣医師以外に転職しにくいです。
どうしても獣医業が合わないと感じて全く別の職種に転職しようとしても、大学では他の職業に対応する科目はほとんど習いません。特に臨床医を選択した場合、就活の方法や勤務形態が会社員とは大きく異なるので一般企業への転職は難しいです。
また一般的に転職は、「30歳を過ぎると難易度が上がる」と言われています。獣医学科を最短で卒業しても24歳から働き始めるため、転職を考えて資格取得などをする余裕はあまり多くはありません。転職した先も「結局は獣医師」のため、心機一転というわけにもいかないですね。
獣医師に向いている人
ここでは、動物看護師に向いている人について解説していきます。一概に一言で向き不向きを決めつけることはできませんが、獣医師として大切なことを解説します。
- 伝える力がある人
- 向上心がある人
- 細かい作業ができる人
- 気持ちの切り替えができる人
獣医師に向いている人#1
伝える力がある人
正確な診断・治療を行うためには、飼い主の方と上手にコミュニケーションを取ることが大切です。
特に、重症の動物の検査・診断結果をご家族に伝える際には、間違いや誤解がないよう、丁寧に説明を行う必要があります。獣医師は動物の状態を正確に伝え、どのような治療を選択するのかご家族と十分に話し合うことで、治療の奏効を目指します。
また、実際に治療や入院管理を開始した際には、動物の様子や検査・処置の内容など、病院スタッフの間で細かく情報を共有しなければなりません。
このため、話し相手に理解してもらえるよう情報を正確に伝え、円滑なコミュニケーションを取ることができる人は、獣医師に向いていると言えるでしょう。
獣医師に向いている人#2
向上心がある人
向上心がある人は獣医師に向いています。獣医師の仕事には、下記のような幅広い知識が必要です。
- 病気の知識
- レントゲン装置や超音波装置など医療機器を使うための技術
- 手術に対する知識
- 薬の知識
もちろん、一度に全てを覚えることは難しいですが、経験を積みながら、スキルアップを目指すことが大切でしょう。
獣医師に向いている人#3
細かい作業ができる人
細かい作業ができる人は獣医師に向いています。
獣医師の仕事のひとつに、治療のための薬剤の管理や処方があります。また、獣医師はハムスターやインコのような小動物から牛や馬などの大動物まで、様々な大きさの動物の薬を扱わなければなりません。それぞれの動物に必要な薬用量を計算し、正確な調剤を行うことが重要です。
また、検査や実験を行う際には、細胞や血液などわずかな量の検体を取り扱いが必要となります。細かい作業もミスなく丁寧にできることは、仕事をする上で強みとなるでしょう。
獣医師に向いている人#4
気持ちの切り替えができる人
ポジティブな思考ができる人は獣医師に向いています。
獣医師の仕事は責任が大きく、職域も多岐にわたるため、仕事をする中で苦労を感じる機会もあります。そのような時に気持ちを上手く切り替えたり、気分転換を行うことで、前向きに仕事を続けることができるといえます。
獣医師に向いていない人
次に、獣医師に向いていない人について解説します。もちろん、これに当てはまると獣医師を諦めた方がいいというわけではありませんが、就職後に困難を感じることは多いかもしれません。
- 周囲のスタッフとの協調性がない
- 責任感がなく、仕事で妥協をしてしまう
- 検査材料にさわることが苦手な人
獣医師に向いていない人の特徴#1
周囲のスタッフとの協調性がない
獣医師の仕事は1人で行うのではなく、周りのスタッフと連携して行います。
治療で最善を尽くすためには医療チームである仲間とコミュニケーションをとり、お互いの意見を交換することが必要です。仲間の意見を受け入れ、柔軟に対応することが難しい人は、獣医師の仕事に向いていません。
もちろん、自分の意思を持つことも大切ですが、一人だと考えも偏ってしまうため、周りの意見も聞き入れれる方がいいですね!
獣医師に向いていない人の特徴#2
責任感がなく、仕事で妥協をしてしまう
責任感のない人は獣医師に向いていません。
獣医師は動物を治療するための医療チームのリーダーとして働きます。小さな判断のミスが大きな問題につながることもあるため、自分の仕事に妥協をせず、リーダーとして周りのチームスタッフを率いる責任感をもつことが必要です。
命を預かる仕事という点でも、責任感を持つことは大切ですね。
獣医師に向いていない人の特徴#3
検査材料にさわることが苦手な人
獣医師は検査や処置のために、「動物の血液や体液、糞便や尿、体の組織や細胞などの検体」を扱うことがあります。
初めは苦手に感じたとしても、勉強や仕事をするうちに慣れていくことも多いですが、検体を触ることに抵抗がある人は苦労を感じることも多いでしょう。どうしても血液が苦手だったり、糞便や尿の取り扱いに抵抗がある人もいるので、自分がどうかしっかり考えてみてくださいね。
獣医師が向いていないときの選択肢
働いていて「自分は獣医師に向いてないんじゃないか・・?」と思ったら、選択肢として、次のものがあげられます。
- 本当に向いてないのか客観的な視点で考える
- 職場を変える
- 勤務形態を変える、業種を変える
獣医師が向いていないときの選択肢#1
本当に向いてないのか客観的な視点で考える
なんで向いてないと思ったのか、その根拠を考えてみましょう。
感情的にならず、向いてないと思った理由を書き出してみると、何に悩んでいていたのかが見えてきます。思うように治療ができなかった、飼い主さんから心無い言葉をかけられた、同期との実力差に落ち込んだ、思い描く生活ができてないことに気付いた、など働く前の想像と現実のギャップに打ちのめされることは多々あります。
なぜうまくいかなかったのか、治療内容に間違いや見落としがなかったのか、過去を振り返るのには勇気がいります。しかし、自分を見つめなおすことで自信がついて、向いてないと自分を卑下する感情も薄れるはずです。見つめ直して、次回に生かすことで、どんどん自信もついてきます。
獣医師が向いていないときの選択肢#2
職場を変えて新しい経験を積んでみる
向いていないと感じても、職場を変えることで解決できる場合もあります。
獣医師の4割は小動物臨床に従事していますが、就職して1年以内に約6割が転職していると言われています。ネットやSNSの発達により職場の情報収集はしやすくなりましたが、実際働きやすいかは就職するまでわかりません。働きにくいと感じた時は、職場を変えて再チャレンジするのも一つの方法です。
ただし、なし崩し的に職場を変えるのではなく、なぜ向いてないと考えるに至ったのかを考察してから計画的に転職しましょう。
実際、就職先を変更することで小動物臨床を続けることができる場合も多いです!自分に合った職場かどうかに左右されるところも大きいですね。
獣医師が向いていないときの選択肢#3
勤務形態を変える、業種を変える
勤務形態や業種を変えることによって、獣医師を続けることができる場合もあります。
フルタイムだと体力が続かない場合は、時短勤務を検討してみてください。臨床医は拘束時間が長いですが、企業病院のような獣医師が多い職場であれば、自分に合ったシフトで働くことができる場所もあります。動物の治療ができるのは獣医師だけです。向いてないと諦めずに短時間でも診察を続けるほうが患者さんのためになります。
また、臨床を続けることが困難であれば、会社員として薬やフードなどで獣医療を支えることはできます。せっかく獣医師免許を取得したのですから、諦めずに自分ができる働き方を模索しましょう。
獣医師の業務は多岐にわたるので、今の仕事が向いてないと思っても、諦めずに別の仕事を探してみるといいですね。

