誤情報効果(Misinformation Effect)とは|具体例をわかりやすく解説

誤情報効果
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編集 セオリーズ編集部

本記事は、セオリーズ株式会社の編集部が、心理学・認知科学・行動科学に関する文献や公開情報を確認したうえで作成しています。内容は一般的な知識提供を目的としており、医学的診断・治療を代替するものではありません。

誤情報効果とは

誤情報効果(Misinformation Effect)とは、元の記憶が、事後に与えられた誤情報によって書き換えられる現象である。エリザベス・ロフタスの一連の研究(1970〜80年代)によって体系的に示された。

誤情報効果は、記憶が想起のたびに組み立て直されるという記憶の再構成の性質から生じる書き換えメカニズムであり、その極端な帰結として、経験していない出来事までが「記憶」として形成される虚偽記憶が知られている。

本記事では、その中間にあたる「既存記憶の書き換え」に焦点を当てる。

誤情報効果のポイント
  • 事後情報(誘導的な質問・ニュース・他者の話など)が記憶を上書きする
  • 被験者は書き換えられた記憶を「本当の記憶」として確信することが多い
  • 目撃証言の信頼性に深刻な疑問を投げかける重要な知見である

誤情報効果のメカニズム

誤情報効果は、記憶が再構成的であるために生じる「書き換え」現象である。なぜ記憶が再構成的なのかという理論的背景は記憶の再構成の記事で扱う。

誤情報が記憶に取り込まれる経路については、複数の説が提唱されている。①「痕跡変容仮説」では、事後情報が元の記憶痕跡を直接上書きするとされる。

②「共存説」では、元の記憶と事後情報が共存し、想起時に事後情報が優先されるとされる。③「ソース・モニタリング失敗説」では、情報の出所(元の経験か事後情報か)を混同することで誤情報が「記憶」として扱われるとされる。

現代的な解釈ではソース・モニタリングの失敗を重視する立場が有力である。

誤情報効果の具体例

ここでは誤情報効果が日常でどのように現れるかを具体例で説明します。

具体例#1
ロフタス&パーマー 自動車事故実験(smashed vs hit)

Loftus & Palmer(1974)の実験では、交通事故の映像を見せた後、質問の動詞だけを変えて推定速度を尋ねた。「車が衝突(smashed)したとき」と「接触(hit / contacted)したとき」のように表現を変えた。

「smashed」群は「hit」群より有意に高い速度を答え、さらに1週間後に「割れたガラスを見ましたか」と尋ねると、「smashed」群の方が実際には存在しない割れたガラスを「見た」と答える割合が高かった。

質問の一語が、後の記憶内容そのものを書き換える典型例である。

具体例#2
事後誤情報パラダイム(スライド+読み物)

事後誤情報パラダイムでは、スライドで出来事を見せた後に、細部をすり替えた文章(例:一時停止標識を「徐行標識」と記述するなど)を読ませる。

後のテストで、被験者は元のスライドにはなかった「徐行標識」を見たと誤って答える。既存の記憶が、後から読んだ言語情報で上書きされることを示す代表的手続きである。

具体例#3
SNS・報道による目撃記憶の汚染

事件や事故を目撃した後、SNSやニュースで犯人の人相や経緯など誤った情報を繰り返し読むことで、目撃者本人の記憶がその誤情報に沿って変わっていくことがある。

広告やキャンペーンでも、体験後に特定の印象を与えるメッセージを流すことで、消費者の「思い出す内容」を誘導できるという応用研究が行われている。

なお、ショッピングモールで迷子になったというエピソードを丸ごと植え付ける「ロストインモール」実験のように、経験していない出来事全体を記憶として作り出すケースは虚偽記憶で扱う。

関連する概念

  • 記憶の再構成
    記憶は保存・再生ではなく再構成されるという理論的枠組み。誤情報効果が成り立つ前提。
  • 虚偽記憶
    事後情報による書き換えが極端に進み、経験していない出来事全体が「記憶」として生成される状態。
  • フラッシュバルブ記憶
    強烈な出来事の記憶は正確だという直感があるが、実際には誤情報効果の影響を受けることが示されている。
  • 符号化特異性
    記憶の符号化と想起が文脈に依存することを示す原理。誤情報効果では符号化後の文脈変化が記憶を変容させる。

誤情報効果を理解して活用する方法

誤情報効果を理解して活かす3つのポイント
  • 重要な出来事の記録はすぐに行う:記憶は時間とともに外部情報に汚染されやすくなる。重要な経験(事故・交渉・面接など)は直後にメモや録音で記録し、後の「記憶」に頼らない。
  • 聴取・面接では誘導的な質問を避ける:証言を聞く立場では、特定の答えを示唆するような質問が記憶を変容させる。「何を見ましたか」と開かれた質問をすることで、記憶汚染を防げる。
  • 「自分の記憶は正確だ」という過信を捨てる:誤情報効果は誰にでも起きる。情報の出所を意識し、自分の記憶と後から得た情報を区別する習慣(ソース・モニタリング)が重要。

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