アンダードッグ効果とは?具体例をわかりやすく解説

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編集 セオリーズ編集部

本記事は、セオリーズ株式会社の編集部が、心理学・認知科学・行動科学に関する文献や公開情報を確認したうえで作成しています。内容は一般的な知識提供を目的としており、医学的診断・治療を代替するものではありません。

まずは概要から:
アンダードッグ効果とは

アンダードッグ効果とは、より不利な立場にある負け犬(アンダードッグ)に同情、応援したくなる、といった認知バイアスのことです。

アンダードッグ効果の具体例
  • 不遇な主人公が応援されやすい
    恵まれない生い立ちの弱者が「主人公」になることで、困難を乗り越える喜びが増加する
  • 不人気なキャラクターが応援される
    一部のユーザーが、ランキング評価が低い不遇なキャラクターを応援することがある
  • 選挙で不利そうな候補者に票を入れる
    一部の有権者は、当選が難しそうな候補者にあえて入れることがある
  • モテなさそうな人に義理チョコをあげる
    バレンタインに縁がなさそうな人に、あえてプレゼントしたくなる

このように、不遇な立場にある負け犬に対して『同情する気持ちが働き、応援したい』と思う傾向がアンダードッグ効果です。

その効果は「どれくらい深く感情移入できるか」次第ですね(例:自分と境遇が似ている、努力のストーリーを知っている、等)

補足:認知バイアスとは

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって、誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスの具体例

アンダードッグ効果の起源・由来

アンダードッグ(underdog)は19世紀後半の英米で、闘犬で負けて下に押さえ込まれた犬を指した語が転じ、「不利で勝ち目が薄い側」を意味するようになりました。

心理学の研究では、米国(南フロリダ大学)のジョセフ・A・ヴァンデロが、第三者が競争や対立を観察する場面を設定し、どちらを支持するかを測定しました。(Joseph A. Vandello.2007

実験では、勝ち目が低い側を「劣勢(アンダードッグ)」として提示すると、被験者はその側により好意的になり、応援意図も高まる傾向が確認されました。一方で、劣勢でも資源や特権を多く持つと示された場合、この支持効果は弱まることも示されています。

アンダードッグ効果関連用語:
対義語はバンドワゴン効果

アンダードッグ効果と真逆の意味を持つ心理学用語に「バンドワゴン効果」というものがあります。

バンドワゴン効果とは、多くの人々が支持する意見や行動に対して賛同しやすく、自身も追随すべきだと思い込む傾向、認知バイアスのことです。

違い|アンダードッグ効果とバンドワゴン効果
  • アンダードッグ効果
    少数派、負け犬を応援する
    例:人気がない人を応援したくなる
  • バンドワゴン効果
    多数派、勝ち馬に乗る
    例:人気がある人を応援したくなる

どちらのバイアスが優位に働くか』は、境遇や状況によって大きく変わります。例えば、商品選びにおいて『不人気な商品を購入したい』という意欲は湧きにくいですよね。

そのため、ビジネス面では「バンドワゴン効果」の方が使われやすいです。(例:「人気商品」や「売上No.1」など)

アンダードッグ効果が起こる仕組み・背景

アンダードッグ効果(負け犬効果)は、勝ち目が低い側を見ると「不公平を正したい」「頑張りに報いたい」と感じ、自然と気持ちが味方へ傾く現象です。

劣勢という状況は「公平さ」や「努力の価値」を意識させ、そこに自分の経験が重なると共感が強まります。支持が高まりやすい背景には、主に次の3点があります。

アンダードッグ効果につながる主な要因
  • 公平性
    勝敗が偏りそうな場面では、人は「公平にしたい」「バランスを取りたい」と感じます。弱い立場を応援することで、不公平感を和らげ、公正に近づけたい動機が働きます
  • 努力・闘志の評価
    不利でも挑む姿は「努力している」「諦めない」と高く評価されやすいです。結果だけでなく、過程を評価し「報われてほしい」という感情が支持を後押しします
  • 自分の経験と重ねる
    劣勢側に自分の失敗や苦労を重ねると「わかる」「自分も応援したい」という感情移入が強まり、応援が“自分ごと”になります

ただ、「弱者アピールの誇張」「不誠実さ」が見えると反発されやすいです。劣勢でも努力や姿勢が伝わるほど支持が強まります。

アンダードック効果の具体例

アンダードッグ効果は、スポーツやビジネス、日常などさまざまな場面で見られます。不利な立場でも挑戦し続ける姿は共感を呼び、「応援したい」「報われてほしい」という感情を生みます。

ここでは、実際にあった事例や、仕事や恋愛などの身近な具体例を紹介します。

アンダードック効果の具体例
  • レスター・シティのプレミアリーグ初優勝(2016年)
  • カルガリー冬季五輪のジャマイカのボブスレーチーム(1988年)
  • Under Armour「Champion the Underdog」キャンペーン(2016年前後)
  • 仕事・お金に関わるアンダードッグ効果の例
  • 恋愛で起きるアンダードッグ効果

アンダードック効果の具体例#1
レスター・シティのプレミアリーグ初優勝(2016年)

サッカーのイングランド・プレミアリーグで、元日本代表の岡崎慎司氏が在籍していた昇格2年目のレスター・シティは、資金力や選手層でビッグクラブに大きく劣る存在でした。

開幕前の優勝オッズは「5000分の1」とも報じられ、残留争いが予想されていましたが、粘り強い守備と組織力で快進撃を続け、奇跡的な初優勝を達成します。挑戦者が勝ち上がる姿は注目を集め、国内外のファンが熱狂しました

勝ち目が低い側に共感と熱狂的な応援が集まった、世界的に知られるアンダードッグ効果の象徴的事例です。

アンダードック効果の具体例#2
カルガリー冬季五輪のジャマイカのボブスレーチーム(1988年)

冬季競技の実績がほとんどなく、温暖な気候のジャマイカのボブスレーチームは、資金・設備・経験で強豪国に比べ圧倒的に不利な立場にありました。

それでも1988年の冬季五輪に初出場し挑戦を続ける姿が、「報われてほしい」「頑張りを見届けたい」という共感を呼び、世界的な注目と応援が集まりました

勝ち目の薄い側を応援したくなる心理が強く表れ、のちに映画の題材にもなった、アンダードッグ効果を象徴する事例といえます。

アンダードック効果の具体例#3
Under Armour「Champion the Underdog」キャンペーン(2016年前後)

スポーツブランドのUnder Armourは、2016年前後に東南アジアで「Champion the Underdog(弱者をチャンピオンに)」を掲げたキャンペーンを展開しました。

ナイキやアディダスと比べ、規模や知名度で劣る立場を隠さず、「挑戦し続ける選手やブランド」を前面に出したストーリーテリングを採用しています。結果、努力や闘志に共感する層の支持を集めることに成功したとされています

「挑戦し続ける側」を前面に出すストーリーテリングは、共感を呼びやすく、アンダードッグ効果をマーケティングに応用した例として扱えます。

アンダードック効果の具体例#4
仕事・お金に関わるアンダードッグ効果

ビジネスやお金に関することでもアンダードッグ効果は働きます。大手や定番より、規模が小さく不利な条件でも工夫して頑張る店・商品に「応援購入したい」と感じやすいからです

努力や誠実さが見えるほど、支援のつもりが購買に結びつきます。

仕事・お金に関わるアンダードッグ効果の例
  • 個人店・小規模ブランド
    大手より価格が高くても、店主の工夫や品質へのこだわりが伝わると「応援の気持ちで買いたい」と感じる
  • クラファン支援
    資金や実績が少ない挑戦でも、目的と努力が伝わると「出資して背中を押したい」が起きやすい
  • 訳あり・規格外品
    見た目は劣っても、廃棄削減などの背景を知ると「買う=支援」と捉えやすく、選びやすくなる

ただし「弱者アピールの誇張」や不透明な資金使途は反発を招きます。応援を狙うほど、根拠(実績・工程・使途)を具体的に示すのが安全です。

アンダードック効果の具体例#5
恋愛で起きるアンダードッグ効果

恋愛でもアンダードッグ効果は起こりえます。恋の駆け引きが上手い人や人気者より、不器用でも一生懸命な人に「応援したい」「報われてほしい」と感じやすいからです

努力や誠実さが伝わるほど、好意が育ちやすくなります。

恋愛で起きるアンダードッグ効果の例
  • 恋愛経験が少ない人
    会話がぎこちなくても誠実に向き合い、不器用ながらも一生懸命努力する姿が、相手の「放っておけない、力になりたい」という庇護欲を刺激する
  • 片思いで不利な立場
    相手に本命がいても押し切らず、気遣いと献身的な一途さが周囲に「こんなに想っている人が報われないのはおかしい」という感情を抱かせる
  • ライバルが強い状況
    条件が良い相手がいても、自分は地味でも正直さやブレない誠実さが「この人の味方でいたい」という強い絆を生む

ただし「可哀想アピール」や過度な自己卑下は逆効果になりやすいです。不利さよりも、誠実さや改善行動が伝わるほど好意と信頼につながります。

認知機能(MBTI)でみるアンダードッグ効果の影響度

認知機能ベースで見ると、Fi(内向的感情)が主機能として判断基準に置かれるタイプは、アンダードッグ効果にかかりやすい傾向にあります。

アンダードッグ効果とは、不利な立場・弱者・劣勢に見える対象に対して、無意識に好意や支持を寄せてしまう認知バイアスです。このバイアスの中核にあるのは、「弱い立場にあること自体が価値を持つ」という評価のショートカットです。そのため、Fi主機能が判断を主導する場合、このバイアスが構造的に発生しやすくなります。

Fi(内向的感情):価値の再配分

  • 判断基準が「自分が正しいと感じるか」「不公平ではないか」に置かれる
  • 不利・弱者という属性に道徳的価値を付与しやすい
  • 「弱い側=応援すべき存在」という内的正当化が生まれやすい
Fi主機能のMBTIタイプ
  • INFP(仲介者)
    不利な立場にある存在を価値的に擁護しやすく、実力評価より立場評価を優先しやすい
  • ISFP(冒険家)
    感覚的な共感を起点に、弱者側への肩入れ判断を行いやすい

※あくまで判断プロセスの傾向差です。

同情の共有による補強(Fe的補強)

Fiによって生じた価値判断が、Feによって「共感される正しさ」として補強されます。

Fe(外向的感情):同情の社会的拡張

  • 判断基準が「周囲も同情しているか」「共感が共有されているか」に置かれる
  • 弱者支持が場の空気として強化されやすい
  • 「みんなが応援している=正しい判断」という前提が形成されやすい

特に、SNS・メディア・集団的議論の場では、内的価値付与(Fi)+同情共有(Fe)が同時に働き、アンダードッグ効果が強化されやすくなります。

アンダードッグ効果の影響を受けにくいMBTIタイプ

逆に、アンダードッグ効果にかかりにくいのは、判断基準がTi(内向的思考)やTe(外向的思考)に固定されているタイプです。

  • Ti(内向的思考):立場や感情から切り離し、条件・能力・因果で評価する
  • Te(外向的思考):成果・実績・再現性を基準に判断し、情緒的価値付与を抑制する

これらが主機能となっている場合、「不利かどうか」と「妥当かどうか」を分離して捉えやすく、アンダードッグ効果に陥りにくい傾向があります。

Ti/Te主機能のMBTIタイプ
  • INTP(論理学者)※Ti主機能
    立場情報を一度無効化し、構造的に妥当かを検証しやすい
  • ISTP(巨匠)※Ti主機能
    感情的文脈を排除し、機能・効率で判断しやすい
  • ENTJ(指揮官)※Te主機能
    結果責任や成果基準を重視し、同情による評価修正を行いにくい
  • ESTJ(幹部)※Te主機能
    役割や実績を基準に評価し、弱者補正を判断に持ち込みにくい

誤解しやすい点なので補足すると、アンダードッグ効果は「優しい性格だから起きる」のではありません。不利であることを価値判断の根拠に昇格させた瞬間に発生します。

また、Ti/Teタイプであっても、評価基準が曖昧な場面ではこのバイアスは起きます。判断基準が何であれ、「立場そのものを評価理由にした時点」で、アンダードッグ効果は発生します。

アンダードック効果の影響度診断

アンダードッグ効果は共感を生みますが、ときに評価や購入判断を左右します。「応援したい」が先行すると、条件や実力差を見落とすこともあります

次のチェックで、あなたがどれくらい影響を受けやすいか確認してみましょう。

アンダードッグ効果の影響度診断(10問)

各質問に 「はい=1点/いいえ=0点」 で回答してください。

  • 「弱い立場」と聞くと、内容を詳しく見る前に応援したくなる
  • 成績よりも「努力している姿」を見ると評価が上がりやすい
  • 大手よりも、無名・小規模の店やブランドをつい選びがち
  • 勝ち目が低い側が勝つと、必要以上に嬉しく感じる
  • 「不利な条件でも頑張る人」に強く共感しやすい
  • 実力差がある勝負では、劣勢側に肩入れして見てしまう
  • 商品やサービス選びで「応援購入」という気持ちが判断に入る
  • 恋愛や人間関係で、不器用でも一生懸命な人に惹かれやすい
  • 多少の欠点があっても「不利だから仕方ない」と許しやすい
  • 「強者・勝ち組」より「挑戦者」に好感を持ちやすい
判定の目安
  • 0〜3点:低め
    影響は小さめ。状況を比較的フラットに見られています
  • 4〜6点:注意
    共感が判断に入りやすい傾向。購入や評価の前に条件確認をするようにしましょう
  • 7点以上:要注意
    「応援したい」が意思決定を動かしやすいタイプ。事実(品質・実績・条件)を一度チェックしてから決めるのがおすすめです

点数が高くても悪いことではありません。共感は強みですが、判断前に「事実・条件・代替案」を一度確認すると、納得感のある選択につながります。

認知バイアスを緩和するポイント

認知バイアスの原因は「経験や直感からくる思い込み」にあるので、対処すれば、一定は軽減できます。※人間である以上、全てを防ぐのは不可能です。

認知バイアスを緩和するポイント
  • 認知バイアスへの理解を深める
  • 認知バイアス診断で思考の癖を知る
  • 批判的に考え、第三者の意見を取り入れる

認知バイアスを緩和するポイント①
認知バイアスへの理解を深める

まず、認知バイアスの存在を知らなければ、防ぎようがありません。あなたが人間である限り『なにかしらのバイアスが少なからず働いている』という認識を持つところから始めましょう。

例えば、データ分析からアクションを検討する場合においては、下記のポイントを意識して、合理的に読み解く必要があるので、注意をしたいところです。

  • 確証バイアス
    自身の仮説を支持する都合良い情報ばかり集めていないか
  • 生存バイアス
    サンプリング対象に失敗事例は含まれているか
  • サンプリングバイアス
    サンプル対象が特定の属性に偏っていないか
  • 錯誤相関
    データ同士の相関性から間違えた因果関係を見出していないか

ちなみに「自分は大丈夫」「今回のケースは大丈夫」と思うのであれば、それもバイアスです。(楽観バイアスや正常性バイアスなど)。

ソクラテスの哲学「無知の知」にあるように、理解したつもりにならず、謙虚に向き合い、今後の学びに繋げていきましょう。

認知バイアスを緩和するポイント②
認知バイアス診断で思考の癖を知る

次は、自身が「どういったバイアスを持ちやすいのか」という思考の癖を知ることをおすすめします。簡易的なものであれば、無料アプリの「ミイダス」で診断可能です。

▼ミイダスで診断してみよう

引用:バイアス診断ゲーム(ミイダス)

ミイダスはもともと、転職市場価値を診断できるアプリですが、「バイアス診断ゲーム」をはじめとした心理学系の診断がいくつかあります。数分の診断で結果がわかるので、興味があれば試してみてください。

認知バイアスを緩和するポイント③
批判的に考え、第三者の意見を取り入れる

認知バイアスに陥るのを防ぐために「なにごとも疑ってかかる」「自分と異なる意見を取り入れる」ことが重要です。 例えば以下のようにですね。

  • 何が事実で、何が解釈か
  • 別の観点から考えると、解釈は変わるか
  • どのような反対意見があるか

このように、さまざまな角度から複眼的にとらえることができれば、認知バイアスに陥りにくくはなります。いわゆるクリティカルシンキング(批判的思考)ですね。

第三者の意見を取り入れるのもおすすめです。利害関係がなく、都合が悪いことも率直に伝えてくれる相手にしましょう。自身と違った境遇・価値観を持つ方であればあるほど、視野が広がります。


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