獣医師の年収は、民間平均と比べると低くありません。ただし、6年制課程、国家試験、診療現場の負荷を考えると「見合わない」と感じる人は多いです。
この記事では、公式統計で確認できる獣医師の平均年収と、年収が低く感じられる理由を整理します。後半では、転職や専門性づくりで年収を上げる考え方も解説します。
- 獣医師の平均年収は680.5万円
厚生労働省job tagでは、獣医師の賃金は680.5万円、平均年齢は38.7歳です。 - 民間平均より高いが、医師・歯科医師より低い
比較対象を医師や歯科医師に置くと、獣医師の年収は低く見えやすくなります。 - 年収アップは職場選びと専門性が重要
給与水準の高い病院・企業・職域を比較し、評価される症例経験を積むことが大切です。
本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。
この記事の結論:
獣医師の平均年収は680.5万円
厚生労働省job tagによると、獣医師の賃金は680.5万円です。国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査における平均給与478万円より高い水準です。
一方で、同じ6年制の医師や歯科医師と比べると差があります。ここが「獣医師の年収は低い」と検索される大きな理由です。
| 比較対象 | 年収・平均給与 | 出典 |
|---|---|---|
| 獣医師 | 680.5万円 | 厚生労働省 job tag |
| 民間平均給与 | 478万円 | 国税庁 |
| 医師 | 1,512.3万円 | 厚生労働省 job tag |
| 歯科医師 | 1,062.7万円 | 厚生労働省 job tag |
参照:厚生労働省 job tag 獣医師、国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査
職場別に獣医師の年収差が出るポイント
獣医師の年収は、勤務先の種類で差が出ます。平均年収だけを見るより、どの職場で、どの役割を担うかまで分けて考えるほうが現実的です。
- 小動物病院は症例数・手術経験・役職で差が出やすい
- 企業勤務は研究、薬事、品質管理、営業技術など経験の見せ方が重要
- 公務員・産業動物系は給与制度、勤務地、手当まで確認する
職場別#1
小動物病院は症例数と役割で差が出る
小動物病院では、一般診療だけでなく、手術、夜間対応、専門外来、後輩指導を担えるかで評価が変わります。院長候補や分院長候補になると、求められる役割も広がります。
求人を見るときは、月給だけでなく、賞与、残業代、夜間手当、手術手当、教育体制まで確認してください。診療件数が多くても、手当が薄い職場では負担が増えやすいです。
職場別#2
企業勤務は獣医師資格以外の経験も評価される
企業勤務では、研究開発、薬事、品質管理、学術、営業技術、ペット関連事業など、獣医師資格を活かす職種があります。臨床経験だけでなく、資料作成や社内外の調整力も評価されます。
企業求人を狙う場合は、診療経験をそのまま書くだけでは足りません。担当症例、説明経験、改善した業務、チームで担った役割を職務経歴書に落とし込みましょう。
職場別#3
公務員・産業動物系は制度と勤務地を確認する
公務員や産業動物系は、給与制度、手当、勤務地、異動の有無が働き方に大きく影響します。安定性を重視する人には候補になりますが、希望地域に求人があるとは限りません。
小動物臨床から移る場合は、仕事内容も変わります。給与だけでなく、担当業務、キャリア形成、生活圏との相性まで見て判断しましょう。
獣医師の年収が低いと感じる理由
獣医師の平均年収は民間平均より高いものの、資格取得までの難易度や仕事内容を考えると低く感じられます。特に次の3点は、年収への不満につながりやすいです。
- 資格取得までの負担が大きい
- 診療現場の責任と労働負荷が重い
- 医師・歯科医師と比較されやすい
低く感じる理由#1
資格取得までの負担が大きい
獣医師になるには、獣医学の6年制課程を修了し、獣医師国家試験に合格する必要があります。進学、学費、勉強期間の負担が大きい資格です。
農林水産省が公表した第77回獣医師国家試験では、受験者1,433人、合格者980人、合格率68.4%でした。資格取得のハードルは低くありません。
低く感じる理由#2
診療現場の責任と労働負荷が重い
小動物臨床では、診療、手術、検査、飼い主対応、夜間対応などを幅広く担います。動物の命に関わる判断が続くため、精神的な負担も小さくありません。
勤務先によっては、長時間勤務や休日対応が発生します。給与額だけでなく、労働時間、夜間手当、休日数、症例数を含めて見る必要があります。
低く感じる理由#3
医師・歯科医師と比較されやすい
獣医師は、同じ「医師」という言葉で医師や歯科医師と比較されることがあります。job tag上の賃金では、医師や歯科医師のほうが高い水準です。
そのため、民間平均より高くても「同じ6年制なのに低い」と感じやすくなります。比較する対象によって、年収への印象は大きく変わります。
獣医師の年収が高くなりにくい背景
獣医師の年収は、本人の努力だけで決まるものではありません。勤務先の収益構造、職域、地域、役割によって上限が変わります。
- 動物病院は設備投資や人件費の負担が大きい
- 勤務医のままでは給与テーブルの上限に当たりやすい
- 職場によって症例数・夜間対応・手当の差が大きい
背景#1
動物病院は設備投資や人件費の負担が大きい
小動物診療は自由診療で、診療価格や設備投資の考え方が病院ごとに異なります。検査機器、手術設備、薬剤、スタッフ採用にも費用がかかります。
病院の利益が十分でなければ、勤務獣医師の給与にも反映されにくくなります。年収を見るときは、給与額だけでなく病院の診療体制や評価制度も確認しましょう。
背景#2
同じ職場だけでは給与交渉の余地が限られやすい
勤務医として経験を積んでも、院内の給与テーブルが低ければ大きな昇給は難しくなります。役職、手術対応、夜間対応、教育担当などの評価条件も職場ごとに違います。
年収に不満がある場合は、今の職場で昇給を待つだけでなく、他院や企業求人の条件を比較することが現実的です。
獣医師が年収を上げるための方法
獣医師が年収を上げる方法は、転職、専門性の強化、副業、開業に分けられます。リスクが低い順に考えるなら、まずは職場比較と専門性づくりです。
- 給与水準の高い病院・企業へ転職する
- 専門性や症例経験を評価材料にする
- 副業・非常勤・開業を検討する
年収を上げる方法#1
給与水準の高い病院・企業へ転職する
現職の給与テーブルに上限があるなら、転職で条件を比較するのが現実的です。二次診療施設、企業、研究、行政、産業動物など、職域によって給与水準は変わります。
ただし、年収だけで決めるとミスマッチが起きます。夜間対応、手術件数、教育体制、休日数、残業代、退職金、通勤距離まで確認しましょう。
獣医師求人を比較するなら、VetAgentの評判記事と、獣医師向け転職エージェント比較も確認しておくと判断しやすいです。
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年収を上げる方法#2
専門性や症例経験を評価材料にする
今の職場で年収を上げたい場合は、評価される専門性を作ることが重要です。外科、循環器、皮膚、腫瘍、画像診断など、強みがあると交渉材料になります。
症例数、手術実績、後輩指導、院内オペレーション改善なども整理しておきましょう。転職時の職務経歴書でも、具体的な実績として伝えやすくなります。
年収を上げる方法#3
副業・非常勤・開業はリスクを確認する
副業や非常勤勤務は、収入源を増やす選択肢です。ただし、勤務先の就業規則、守秘義務、競業避止、体力面の負担を確認してから始めましょう。
開業は年収上限を広げられる一方で、資金調達、採用、集患、設備投資、経営リスクを背負います。まずは勤務医として経営数字や院内運営を学ぶことが大切です。
転職で年収アップを狙う前に確認すること
年収アップを目的に転職する場合、提示年収だけで判断しないでください。条件の見落としがあると、年収は上がっても働き方の満足度が下がります。
- 月給・賞与・昇給条件
- 固定残業代と残業時間
- 夜間・休日対応の有無
- 症例数・手術件数・教育体制
- 退職金・住宅手当・通勤手当
- 院長や経営層の評価方針
まとめ
獣医師の平均年収は680.5万円で、民間平均給与より高い水準です。ただし、医師・歯科医師との比較や仕事の負荷を考えると、低く感じられる理由があります。
年収を上げたいなら、まずは現職の給与テーブルと他職場の条件を比較しましょう。転職、専門性づくり、副業、開業の順に、自分のリスク許容度に合う方法を選ぶことが大切です。
