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農園型障害者雇用とは?メリット・注意点・比較ポイント

農園型障害者雇用は、農園や水耕栽培施設などを就業場所にし、障害のある方を自社の社員として雇用する方法です。

導入前に見るべき点は、雇用率を満たせるかだけではありません。仕事の実態、指揮命令、評価、合理的配慮、成果物の活用を、企業側が雇用主として説明できるかが重要です。

この記事では、企業の人事担当者・現場責任者向けに、農園型障害者雇用の仕組み、メリット、注意点、支援サービスを比較するときの確認項目を整理します。

目次
編集 セオリーズ編集部

本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。

農園型障害者雇用は農園を就業場所にする雇用モデル

農園型障害者雇用とは、企業が障害のある方を雇用し、農園、温室、植物工場、水耕栽培施設などで農作業や関連業務に従事してもらう形を指します。

外部の支援会社が、施設、作業、採用支援、現場支援を提供する場合もあります。ただし、雇用契約を結ぶ企業が雇用主である以上、労務管理や評価まで外部に任せきりにはできません。

厚生労働省は、農園やサテライトオフィス等の施設・設備と業務の提供を行う事業を「いわゆる障害者雇用ビジネス」として実態把握しています。

令和7年11月末時点では、把握できた就業場所223カ所のうち農園153カ所、サテライトオフィス58カ所とされています。

形態 主な特徴 企業側の確認点
農園型 農園や水耕栽培施設で農作業・関連業務を行う 成果物の活用、作業量、現場管理、評価
サテライトオフィス型 本社外の拠点で事務・軽作業などを行う 業務指示、情報管理、本社との接点
自社内雇用 既存部署で業務を切り出して雇用する 配属先、指導担当、職務設計
公的支援活用 ハローワークや支援機関と連携して採用する 求人、本人同意、支援範囲、定着支援

農園で働くこと自体が問題なのではありません。問題になりやすいのは、雇用率達成だけが先行し、本人の仕事、成長、企業活動との関係が曖昧なまま進む場合です。

出典: 厚生労働省「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」(2026年5月確認)

メリットは職域を作りやすいこと

農園型のメリットは、定型作業を組み立てやすく、複数名で同じ場所に勤務する体制を作りやすい点です。社内で職域を作れずに止まっている企業では、選択肢の一つになります。

メリット#1
仕事を見える形にしやすい

種まき、収穫、選別、包装、清掃、出荷準備などは、手順書や品質基準を作りやすい作業です。作業の量と難易度を分ければ、本人の特性に合わせた担当設計もしやすくなります。

メリット#2
複数名で勤務する体制を作りやすい

同じ場所で複数名が働くため、朝礼、作業分担、休憩、体調確認をまとめて運用しやすくなります。孤立しにくい職場を作れる点もメリットです。

メリット#3
支援者と連携しやすい

支援会社、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどと連携しやすい場合があります。採用前後の相談先を整理できれば、定着支援につなげやすくなります。

メリット#4
農福連携の考え方と接点がある

農福連携は、障害のある方などが農業分野で活躍することで、社会参画や農業側の生産工程の見直しにつながる取組です。農園型を検討する際も、この趣旨に沿って仕事の意味を設計します。

出典: 農林水産省「農福連携の推進」(2026年5月確認)

注意点は雇用率目的だけで進めないこと

農園型は、雇用率対策として紹介されることがあります。しかし、雇用率を満たすことだけを目的にすると、本人の仕事、企業活動、現場の責任が弱くなります。

注意点 起きやすい問題 確認すること
成果物の使い道 野菜やハーブの活用方針がない 販売、社内利用、寄付、廃棄時の扱い
業務量 採用人数に対して仕事が足りない 日次作業、繁忙期、閑散期の作業量
指揮命令 支援会社任せになり雇用主の関与が薄い 誰が指示し、誰が評価するか
キャリア 本社や通常部署から切り離される 研修、面談、昇給、業務拡張の機会
合理的配慮 農園環境に合わない人にも同じ働き方を求める 本人との話し合い、作業環境、体調変化時の対応

厚生労働省の資料では、成果物の活用方針がない事例や、雇用率達成のみを目的とした利用への懸念が示されています。企業は、障害のある方が自社の事業活動に参画し、能力を発揮できるかを確認する必要があります。

雇用分野では、障害者差別の禁止と合理的配慮の提供が義務とされています。農園型でも、本人に合う作業、勤務時間、休憩、相談方法を個別に検討します。

出典: 厚生労働省「把握した事例と課題等への対応に求められる望ましい取組のポイント」、厚生労働省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」(2026年5月確認)

比較ポイントは支援範囲と雇用管理

農園型の支援サービスを比較するときは、費用や採用人数だけで判断しないことが重要です。自社が担う部分と支援会社が担う部分を分けて確認します。

比較軸 確認質問 判断の目安
事業とのつながり 作物や業務は自社の事業活動とどう関係するか 社内利用、顧客接点、地域連携まで説明できる
雇用管理 勤怠、評価、面談、労務相談は誰が担うか 雇用主側の責任者が明確である
現場支援 支援員は何を支援し、何をしないか 業務指示と生活相談の線引きがある
安全衛生 暑熱、薬剤、刃物、転倒、体調急変にどう備えるか 緊急連絡、休憩、作業制限が文書化されている
費用と契約 初期費用、月額費、採用支援費、解約条件は明確か 採用後の追加費用まで確認できる
定着支援 面談頻度、支援機関連携、課題発生時の動きはどうなるか 入社後の記録と改善フローがある

契約前には、農園見学だけでなく、実際の作業日報、面談記録、評価シート、緊急時対応表のひな形も確認します。見た目が整った施設でも、雇用管理の中身が曖昧なら導入後に迷います。

導入前チェックリスト

支援会社の提案を受けた段階で、次の項目を確認します。未整理の項目が多い場合は、契約前に社内検討と公的機関への相談を挟みます。

  • 農園で行う仕事と成果物の使い道を説明できる
  • 作業量、繁忙期、閑散期、欠勤時の運用を整理している
  • 雇用主側の責任者、現場担当、人事窓口を決めている
  • 業務指示、勤怠管理、評価、面談の担当を文書化している
  • 本人同意の取り方と、支援会社・社内で共有する情報を分けている
  • 合理的配慮の相談方法と、体調変化時の対応を決めている
  • 暑熱、転倒、刃物、薬剤、衛生管理など安全面の手順を確認している
  • 契約終了時や支援会社変更時に、雇用をどう継続するかを確認している

農園型の導入は、施設を借りる契約ではなく雇用管理の設計です。採用人数や費用より先に、仕事として続けられる状態かを見ます。

企業側の導入手順

農園型を検討するときは、支援会社の提案を受ける前に、自社の目的と責任範囲を整理します。順番を間違えると、雇用後に仕事探しが始まります。

手順 企業が行うこと 残す資料
1. 目的を決める 雇用率、職域開発、地域貢献、採用定着の優先順位を整理する 導入目的メモ
2. 業務を定義する 作業内容、成果物、作業量、繁忙期を具体化する 業務一覧、作業手順書
3. 支援範囲を確認する 採用、現場支援、定着面談、設備管理の分担を確認する 役割分担表、契約条件
4. 雇用管理を設計する 勤怠、評価、面談、相談窓口、合理的配慮の検討手順を作る 面談記録、評価シート
5. 採用・配置を行う 求人、見学、実習、本人同意を通じて適性を確認する 求人票、選考記録、配慮事項メモ
6. 継続的に見直す 作業量、健康面、習熟度、キャリア希望を定期的に確認する 改善履歴、支援機関連絡記録

厚生労働省の資料では、業務を選定・創出するときに、季節ごとの定型業務、手が回らず残っている業務、後回しになりがちな業務などの観点で抽出する例が示されています。

農園型でも、採用後の職務遂行状況や習熟状況を見て、作業の分担や進め方を見直します。最初に決めた作業だけで固定しないことが、働きがいと定着につながります。

具体例3つ

具体例#1
社内食堂や福利厚生で作物を活用する

企業が水耕栽培で葉物野菜を育て、社内食堂や福利厚生の配布に使う例です。作物の用途が明確なため、仕事の成果を社内に説明しやすくなります。

この場合は、収穫量、品質基準、配送、衛生管理、繁忙期の作業量を決めます。社員に配ること自体よりも、仕事として継続できる作業設計が重要です。

具体例#2
雇用率対応だけで農園を借りようとしている

人事が雇用率未達を解消したい一方で、農作物の使い道や現場責任者が決まっていない例です。

この場合は、すぐ契約せず、社内業務の切り出し、ハローワーク相談、自社内雇用、サテライトオフィス型との比較を行います。農園型を選ぶ理由を雇用率以外でも説明できる状態にします。

具体例#3
地域連携として農業事業に参加する

地域の農業者や福祉関係者と連携し、農作業、包装、販売準備、イベント運営まで関わる例です。農福連携の趣旨に近く、地域との接点を作りやすい形です。

この場合は、地域側の支援範囲、企業側の雇用管理、収益や成果物の扱いを事前に整理します。地域貢献だけでなく、本人が能力を発揮できる仕事として設計します。

相談先を使い分ける

農園型を検討するときは、支援会社だけで判断せず、公的機関にも相談します。雇用率、求人、職務設計、定着支援では相談先が異なります。

相談先 相談しやすい内容 企業側で用意するもの
ハローワーク 求人、雇用率、採用相談、支援制度 求人条件、仕事内容、採用予定人数
地域障害者職業センター 雇用管理、職場適応、ジョブコーチ支援 作業内容、職場課題、支援を受けたい目的
障害者就業・生活支援センター 就業面と生活面を含む地域連携 本人同意、共有範囲、連絡窓口
農福連携の窓口 農業分野での連携、地域事例、支援策 農作業の想定、地域、連携目的

外部支援を使う場合も、企業側の窓口を一本化します。人事、配属責任者、支援会社、本人、支援機関が別々に動くと、情報の行き違いが起きやすくなります。

関連記事

農園型だけで検討を閉じず、支援サービス全体、サテライトオフィス型、ジョブコーチ、公的相談先も合わせて確認すると、導入目的に合う方法を選びやすくなります。

よくある質問

FAQ#1
農園型障害者雇用は使ってはいけないのですか?

一律に避ける対象ではありません。農園で働く仕事の実態、雇用主としての指揮命令、評価、合理的配慮、成果物の活用を説明できるかで判断します。

FAQ#2
農園型とサテライトオフィス型はどちらがよいですか?

作りたい仕事で判断します。農作業や成果物の活用まで設計できるなら農園型、事務・データ入力・資料作成など自社業務を遠隔で任せたいならサテライトオフィス型が比較対象になります。

FAQ#3
支援会社を選ぶときに最初に聞くことは何ですか?

「採用後に誰が日々の業務指示と評価を行うのか」を確認します。次に、成果物の使い道、面談記録、合理的配慮の検討手順、契約終了時の扱いを確認します。

まとめ

農園型障害者雇用は、職域を作りやすく、支援体制を整えやすい一方で、雇用率目的だけで進めると仕事の実態や雇用管理が曖昧になります。

導入前には、成果物の活用、作業量、指揮命令、評価、合理的配慮、キャリア形成を確認します。支援会社の説明だけで決めず、ハローワークや支援機関にも相談し、自社が雇用主として責任を持てる形を選びます。

参考にした公的情報


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法人番号 8010001246220

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