障害者雇用で採用できない原因と求人・面接・職域の見直し方

障害者雇用で採用できないときは、応募者の少なさだけでなく、求人票、面接、職域設計、受け入れ体制のどこで詰まっているかを分けて見直します

最初に増やすべきなのは、募集チャネルではなく判断材料です。任せる仕事、応募条件、選考で見る項目、配慮できる範囲を同じ表に並べ、矛盾をなくします。

この記事では、企業の人事担当者・現場責任者向けに、障害者雇用で採用できない原因と、求人・面接・職域の見直し方を整理します。

この記事でわかること
  • 原因の切り分け:
    応募不足・選考停滞・内定辞退・現場不安のどこで詰まっているかを整理しましょう。
  • 求人票の見直し:
    仕事内容・必須条件・配慮相談の書き方を、応募者目線で確認してください。
  • 面接・選考の見直し:
    職務に必要な適性・能力で評価し、NG質問や記録方法を確認してください。
  • 職域と受け入れ体制:
    作業を分解し、教育担当・相談窓口・初月の業務量を決めます。
  • 支援機関への相談:
    ハローワークや地域障害者職業センターへ相談するタイミングを整理しましょう。
目次
編集 セオリーズ編集部

本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。

採用できない原因はどこで起きているか

障害者雇用 採用できないときの見直しフロー

採用できない状態は、応募不足、選考停滞、内定辞退、現場不安に分けて考えます。採用活動が止まる理由は一つではなく、求人票の情報不足、応募条件の高さ、面接評価の曖昧さ、現場準備の不足などが重なっていることもあります

まずは「どこで止まっているのか」を分けて確認すると、求人票を直すべきか、面接基準を見直すべきか、職域や受け入れ体制を整えるべきかが判断しやすくなります。

採用できない状態見直す場所確認すること
応募が少ない求人票、勤務条件、職務内容仕事内容や配慮事項が具体的に伝わっているか
書類で見送りが多い応募条件、必須条件教育で補える条件まで足切りにしていないか
面接で決めきれない質問項目、評価基準、記録職務に必要な適性・能力で判断できているか
内定辞退が多い説明内容、労働条件、入社後支援求人票と面接説明にずれがないか
現場が不安で進まない職域、教育、相談窓口誰が何を支援するか決まっているか

厚生労働省は、公正な採用選考では応募者に広く門戸を開き、本人の適性・能力に基づく採用基準にすることを基本としています。

採用できない理由を障害名や印象に置くのではなく、予定職務、応募条件、選考方法、配慮検討の設計に戻して確認することが重要です。

出典:厚生労働省公式(公正な採用選考の基本 / 採用選考時に配慮すべき事項

障害者雇用で採用できない主な原因

障害者雇用 採用ミスマッチを防ぐ確認ポイント

採用できない原因は、候補者のスキル不足だけではありません。企業側の募集設計が曖昧だと、応募者にも現場にも判断材料が足りなくなります。

まずは、求人票、応募条件、配慮事項、面接評価、現場体制のどこに課題があるかを分けて確認することが大切です。

原因ごとの確認ポイント
  • 仕事内容
    広すぎて、応募者が働くイメージを持ちにくくないか
  • 応募条件
    高く設定しすぎて、対象者を狭めていないか
  • 配慮事項
    相談できる範囲が、応募者に伝わっているか
  • 面接評価
    印象ではなく、職務に必要な能力で見ているか
  • 現場体制
    教育担当・相談窓口・初月の業務量が決まっているか

原因#1
仕事内容が広すぎる

「事務全般」「軽作業」「庶務補助」だけでは、応募者が自分に合う仕事か判断しにくくなります。面接側も、何ができれば採用水準なのかを説明しづらいでしょう

たとえば事務職であれば、データ入力、郵便物仕分け、PDF化、備品確認、書類整理、在庫確認など、実際の作業に分けて整理しましょう。作業単位にすると、必要なスキルや配慮事項も具体化しやすくなります。

確認したいのは、職種名ではなく「入社後に何を、どの頻度で、誰の確認を受けながら行うのか」です。

ここが曖昧なままだと、応募者は判断しにくく、現場も採用後の受け入れを想像できません。

原因#2
応募条件が高すぎる

PCスキル、電話対応、対人調整、フルタイム勤務、通勤、マルチタスクなどをすべて必須にすると、応募できる人が限られます。結果として、応募が集まりにくい求人になってしまいます

応募条件は、職務に欠かせない条件、入社後に教えられる条件、会社側で調整できる条件に分けて確認するとよいでしょう。教育で補える内容まで必須条件にしている場合、不要な足切りにつながることがあります。

特に、電話対応やフルタイム勤務を一律に必須とする場合は、本当にその職務に不可欠かを見直すようにしましょう。

担当業務を分けることで、短時間勤務や一部業務からのスタートが可能になるケースもあります。

原因#3
配慮事項の書き方が曖昧

「配慮します」「相談可」だけでは、応募者はどこまで相談してよいか判断できません。一方で、配慮事項を細かく書きすぎると、対象者を狭めることもあります。

求人票では、相談できる項目の例を示しつつ、個別に話し合う余地を残します。通院、指示方法、休憩、座席、面接方法、支援機関との連携などに分けると、応募者が相談しやすくなります。

ただし、合理的配慮は本人の希望をすべてそのまま実施するものではありません。予定職務、本人の状況、会社側の体制を踏まえ、話し合いながら実施可能な方法を検討することが重要です。

原因#4
面接評価が職務と結びついていない

「明るさ」「前向きさ」「職場になじめそうか」だけで判断すると、面接官ごとに評価が変わります。応募者も、何を評価されたのか分かりにくくなります

面接では、職務理解、作業経験、報告相談、勤務条件、配慮確認など、予定職務に関係する項目に絞って質問を作ります。印象ではなく、入社後の業務に必要な行動へ置き換えて確認する視点が必要です。

たとえば「協調性」を見る場合も、抽象的に評価するのではなく、「困ったときに誰へ相談できるか」「作業の進捗をどのタイミングで報告できるか」のように確認してください。

評価基準をそろえることで、見送り理由も振り返りやすくなります。

原因#5
現場の不安が解消されていない

人事が採用したいと思っても、現場が「教える時間がない」「配慮の範囲が分からない」と感じると、採用判断が止まりやすくなります。

採用前に、教育担当、相談先、初月の業務量、困ったときの連絡経路を決めておくと、現場の不安を小さくできます。採用後に考えるのではなく、入社直後の動きを先に設計しておくことが大切です

また、本人の同意を前提に、支援機関との連携方法を確認しておくと、現場だけで抱え込む状態を避けやすくなるでしょう。

共有する情報は、障害名そのものではなく、仕事上必要な配慮や連絡方法に絞ると安全です。

出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」、JEED「雇用支援・相談窓口

求人票の見直し方

求人票は、応募者を集める広告であると同時に、採用後の労働条件の前提になります。仕事内容や勤務条件が曖昧なままだと、応募者が判断しにくく、面接後の辞退や入社後のミスマッチにもつながります

採用できない状態が続く場合は、求人票の表現だけを整えるのではなく、実際に任せる仕事、応募条件、配慮の相談範囲、労働条件の整合性を確認することが大切です。

求人票で見直すポイント
  • 仕事内容
    職種名だけでなく、作業内容・頻度・確認者まで伝わっているか
  • 応募条件
    必須条件と歓迎条件が分かれ、対象者を狭めすぎていないか
  • 労働条件
    面接時の説明と求人票の内容にずれがないか
  • 配慮事項
    相談できる項目を例示し、個別に話し合う余地を残しているか

求人票#1
仕事の内容を作業単位にする

求人票では、職種名だけでなく、作業名、頻度、使用ツール、成果物、確認者を記載します。応募者が入社後の働き方を想像できる粒度にすることが重要です

たとえば事務補助なら、「請求書のPDF化」「専用システムへの入力」「郵便物の仕分け」「備品数の確認」のように分けると、仕事内容が具体的になります。

あわせて、毎日行う作業、週数回の作業、慣れてから任せる作業を分けておくと、入社後の負荷も伝えやすくなるでしょう。

仕事内容が明確になるほど、応募者も面接側も判断しやすくなります。

求人票#2
必須条件と歓迎条件を分ける

採用できない求人では、必須条件が多くなりがちです。入社後に教えられることまで必須にしていないかを見直す必要があります

PCスキル、電話対応、フルタイム勤務、通勤、対人調整などをすべて必須にすると、応募できる人が限られます。まずは、職務遂行に欠かせない条件と、教育で補える条件を分けて整理しましょう。

区分求人票での扱い見直し例
必須条件職務遂行に欠かせない条件指定ソフトへの入力、報告、所定時間の作業
教育可能条件入社後に教える条件社内システム、商品知識、手順書の読み方
歓迎条件あれば評価する条件類似業務経験、資格、業界知識
調整可能条件相談して決める条件勤務時間、休憩、指示方法、座席

このように条件を分けると、必要以上に対象者を狭めずに済みます。

特に、教育で補える条件や調整可能な条件を必須にしていないかは、求人公開前に確認したいポイントです。

求人票#3
労働条件を後から変えない

ハローワークは、求人票に記載された労働条件が採用後の労働条件になることを前提に、分かりやすく誤解のない内容を求めています。

面接で職種、賃金、就業時間、休日、就業場所を変えると、応募者の不信感や内定辞退につながりかねません。採用後のトラブルを避けるためにも、求人票と面接説明の内容はそろえる必要があります。

条件が異なる働き方を想定している場合は、同じ求人票の中で曖昧に書かず、求人を分ける方が安全です。

特に勤務時間、勤務地、業務範囲、雇用形態は、応募者が重視しやすい項目です。

求人票#4
配慮事項は例示と相談範囲で書く

「合理的配慮あり」だけでは、応募者に伝わりにくくなります。相談しやすい項目を例示し、実施内容は職務や本人の状況に応じて話し合うと示すことが大切です。

記載例としては、「面接方法、勤務時間、休憩、指示方法、通院、支援機関との連携は個別に相談できます」のように項目を分けるとよいでしょう。

ただし、配慮事項を書きすぎると、特定の障害や働き方だけを想定している印象になる場合があります。

求人票では相談できる範囲を示し、具体的な実施内容は本人との対話を通じて確認する形が適切です。

求人票の項目ごとの書き方や記載例まで確認したい場合は、以下の記事で詳しく整理しています。

出典:ハローワークインターネットサービス「求人申込み、採用・選考に当たっての留意事項

面接・選考の見直し方

求人票を見直しても採用できない場合は、面接で何を確認し、どのように判断しているかを点検します。障害者雇用でも、公正採用選考の基本は変わりません

面接では、障害名や印象ではなく、予定職務に必要な適性・能力、勤務条件、必要な配慮を確認することが重要です。評価項目を事前にそろえることで、面接官ごとの判断のばらつきも抑えやすくなります。

面接・選考で見直すポイント
  • 評価項目
    印象ではなく、予定職務に必要な行動で判断できているか
  • 質問範囲
    家族・生活環境など、職務に関係しない事項を聞いていないか
  • 配慮確認
    配慮希望の有無だけで、不利な評価に直結させていないか
  • 選考方法
    書類だけで判断せず、必要に応じて見学や作業確認を使えているか

選考#1
評価項目を職務に結びつける

評価項目は、予定職務に必要な行動へ置き換えます。「協調性」ではなく、「決められた報告タイミングで相談できる」のように定義すると、判断基準が明確です

たとえば、事務補助であれば、入力の正確性、報告相談、手順書の確認、作業の継続性などを評価項目にできます。軽作業であれば、確認作業、作業手順の理解、安全面の注意などが候補になるでしょう。

面接官が複数いる場合は、誰がどの項目を確認するかを事前に決めます。判断理由を同じ様式で記録しておくと、見送り理由も振り返りやすくなります。

選考#2
聞いてよいことと避けることを分ける

厚生労働省は、本人の適性・能力に関係のない事項を応募書類や面接で把握することは、就職差別につながるおそれがあると示しています。

そのため、家族、生活環境、思想信条などではなく、予定業務で支障が出やすい場面、必要な調整、出勤条件、作業指示の受け方などに絞って確認します

たとえば、「家族はサポートしてくれますか」と聞くのではなく、「勤務を継続するうえで、会社側で事前に確認しておくべき出勤条件はありますか」と聞き換える方が安全です。

質問は、職務遂行や勤務条件との関係が説明できる範囲にとどめましょう。

選考#3
配慮確認を不利な評価に直結させない

雇用分野では、募集・採用の段階でも障害者差別が禁止され、合理的配慮の提供が関係します。配慮希望があることだけで、見送り理由にしない運用が必要です

合理的配慮は、本人からの申出を受け、支障となっている事情を確認し、話し合って措置内容を検討するものです。本人の希望をすべて実施するという意味でも、会社側が一方的に断れるという意味でもありません。

希望どおりの配慮が難しい場合は、職務上の制約、過重な負担、代替案を確認してください。実施できない理由と、別に取れる方法を記録しておくことも大切です。

選考#4
書類だけで判断しすぎない

書類だけでは、作業の正確性、報告相談、職場での支援の受け方が見えにくい場合があります。必要に応じて、職場見学や短時間の作業確認を組み合わせると、判断材料を増やせます。

ただし、選考方法は応募者ごとに場当たり的に変えません。評価項目、時間、確認する作業、配慮内容を事前に決め、同じ職務基準で見ることが重要です。

たとえば、簡単な入力作業や書類整理の確認を行う場合でも、見るべき点は「速さ」だけではありません。手順の理解、確認の仕方、困ったときの相談方法など、実際の職務に関係する項目で判断するとよいでしょう

面接で確認してよい質問や、避けるべき質問を具体的に整理したい場合は、以下の記事も参考になります。

出典:厚生労働省公式(採用選考時に配慮すべき事項 / 雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮

職域と受け入れ体制の見直し方

応募があっても採用に至らない場合、職域が狭すぎるか、受け入れ体制が未整理のことがあります。任せる仕事と支援方法をセットで設計することが大切です

特に、採用前の段階で「どの仕事を任せるか」「誰が教えるか」「困ったときに誰へ相談するか」が曖昧だと、現場の不安が残りやすくなります。

受け入れ前に決めること
  • 職域
    既存職種に当てはめず、担当できる作業を切り出しているか
  • 業務量
    初月から完成形を求めず、作業範囲を小さく始められるか
  • 相談窓口
    本人・人事・現場・支援機関の連絡経路が決まっているか
  • 外部支援
    求人票を出す前に、ハローワークや地域障害者職業センターへ相談できるか

職域#1
既存職種に当てはめすぎない

既存の正社員職種や一般求人にそのまま当てはめると、電話、外出、長時間勤務、複数業務の同時対応などが高い壁になることがあります。

まずは作業を分解し、担当できる部分を束ねて一つの職務にします。既存社員の負担が減る作業や、後回しになりやすい定型作業から探すと、職域を作りやすいでしょう。

たとえば、事務職全体を任せるのではなく、入力、PDF化、郵便物仕分け、備品確認などに分けて確認するのが現実的です。

そのうえで、本人の経験や必要な配慮と照らし合わせると、採用後の働き方を具体化しやすくなります。

職域#2
初月の業務量を小さく始める

採用時点で完成形の働き方を求めると、候補者も現場も不安が大きくなります。初月は、作業範囲、報告方法、確認者を絞る方が現実的です

たとえば、最初は入力とPDF化だけにし、慣れてから郵便物仕分けや社内連絡を加える方法があります。段階的に業務を広げる設計にしておくと、本人も現場も見通しを持ちやすくなるでしょう。

また、初月の目標は「すべての業務を早く覚えること」ではなく、決められた作業を安定して進められる状態を作ることです。

業務量を小さく始めることで、必要な配慮や指示方法も確認しやすくなります。

職域#3
相談窓口を先に決める

採用後に困ったときの相談先が決まっていないと、現場責任者だけに負担が集中します。本人、人事、現場、支援機関の連絡経路を先に決めておくことが重要です

相談窓口は、本人の同意を前提に共有範囲を決めます。障害名を広く共有するのではなく、仕事上必要な配慮、連絡方法、緊急時の対応に絞ると安全です。

たとえば、日々の作業相談は現場担当者、勤務条件や配慮の見直しは人事、定着面の相談は支援機関といった形で役割を分けるとよいでしょう。

誰が何を受け止めるかを決めておくと、本人も現場も相談しやすくなります。

職域#4
支援機関を採用前から使う

ハローワークでは、職域開拓、雇用管理、職場環境整備などについて、事業主からの相談を受けています。求人票を出した後ではなく、仕事内容や条件を固める前に相談する方法もあります

JEEDの地域障害者職業センターでも、事業主への雇用管理の相談・援助を扱っています。現場の不安が強い場合や、職域の作り方に迷う場合は、採用前の相談先として活用できるでしょう。

ただし、支援機関を使う目的は、採用判断を外部に任せることではありません。企業が職務、配慮、支援体制を整理し、採用後に働き続けられる条件を整えるために活用する視点が大切です。

職域を広げるには、既存職種にそのまま当てはめるのではなく、社内業務を作業単位に分けて整理することが重要です。

職域設計や業務の切り出し方を知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。

出典:ハローワークインターネットサービス「障害者の方の雇用に向けて」、JEED「地域障害者職業センター

注意点と法的な線引き

採用できないときほど、焦って条件を変えたり、面接で広く聞きすぎたりしやすくなります。採用数を増やす前に、選考の線引きを確認することが大切です

特に、障害種別で一律に判断すること、求人票と異なる基準で選考すること、合理的配慮の検討をせずに見送ることは、トラブルにつながるおそれがあります。

採用前に確認したい線引き
  • 障害種別
    障害名だけで一律に判断せず、予定職務との関係で確認できているか
  • 採用基準
    求人票と面接で、応募条件や評価基準にずれがないか
  • 合理的配慮
    過重な負担と判断する前に、代替案を検討しているか

注意点#1
障害種別で一律に判断しない

「この障害種別は難しい」と一律に扱うと、職務に必要な適性・能力で見る原則から外れます。判断は、予定職務と個別の働き方に基づいて行うことが重要です

確認するのは、障害名そのものではなく、担当業務で支障が出やすい場面、必要な調整、会社が実施できる範囲です。たとえば、同じ障害名でも、得意な作業、苦手な環境、必要な配慮は人によって異なります。

そのため、面接や配慮確認では「どの業務で、どのような支障が想定されるか」「会社側でどのような調整が可能か」を職務と結びつけて確認してください。

障害種別を採否の結論に直結させない運用が必要です。

注意点#2
採用基準を途中で変えない

求人票では経験不問と書き、面接で経験必須として扱うと、応募者の期待を裏切ることになります。条件変更が必要な場合は、求人票と面接説明をそろえなければなりません

また、選考途中で「やはりフルタイムでないと難しい」「電話対応も必須にしたい」と判断する場合は、その理由を職務要件に戻して確認してください。求人票と実際の判断基準がずれると、内定辞退や不信感につながりやすいでしょう。

不採用理由も、年齢、家族状況、生活環境などではなく、職務要件や採用基準との関係で記録します。

評価項目を事前に決め、面接官ごとに判断が変わらないようにすることも大切です。

注意点#3
過重な負担を理由にする前に代替案を検討する

合理的配慮では、事業活動への影響、実現困難度、費用・負担、公的支援の有無などを踏まえて検討しましょう。本人の希望どおりに実施できない場合でも、すぐに見送り理由へつなげるのは避けたいところです

希望する配慮を実施できない場合は、本人と話し合い、別の方法で支障を減らせないか確認してください。

たとえば、勤務時間の変更が難しい場合でも、休憩の取り方、作業指示の方法、席の配置、業務範囲の調整などを検討できることがあります。

それでも対応が難しい場合は、なぜ実施できないのか、どの代替案を検討したのかを記録しておくことが重要です。会社都合だけで判断したように見えないよう、記録を残しておきましょう。

出典:厚生労働省公式(公正な採用選考の基本 / 雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮

具体例: 採用できない状況の見直し方

採用できない状況は、求人、面接、現場準備のどこで止まっているかを分けると、改善策を選びやすくなります。ここでは、企業で起こりやすい3つの場面に分けて整理します。

原因を一つに決めつけるのではなく、求人票、選考基準、職域、受け入れ体制のどこに不足があるかを確認することが大切です

状況別に見る見直しポイント
  • 応募が集まらない
    仕事内容・勤務条件・配慮相談の範囲が伝わっているか
  • 面接で見送りが続く
    印象ではなく、職務要件に沿って評価できているか
  • 現場が決めきれない
    初月の業務量・教育担当・相談窓口が決まっているか

具体例#1
事務補助の応募が集まらない

求人票に「事務全般」「電話対応あり」「PC基本操作」とだけ書いていると、具体的な仕事量や配慮の余地が伝わりにくくなります。応募者にとって、入社後の働き方を想像しづらい状態です

見直す場合は、電話対応を必須から外せるか、データ入力やPDF化などの作業を分けられるかを確認してください。あわせて、勤務時間、休憩、指示方法、通院相談の範囲も書くと判断材料が増えます。

求人票では、「毎日行う作業」「週数回の作業」「慣れてから任せる作業」に分けるとよいでしょう。応募者が自分に合う仕事か判断しやすくなり、面接でも確認すべき項目が明確になります。

具体例#2
面接で見送りが続く

面接後に「不安がある」「現場に合わなそう」とだけ記録している場合、採用基準が曖昧になっている可能性があります。何が不安なのかを、予定職務に戻して確認する必要があります

たとえば、報告相談が不安なら、困った場面をどう共有するかを質問します。作業速度が不安な場合は、短い実技や職場見学で確認する方法もあるでしょう。

配慮希望が出た場合は、希望の有無だけで判断しません。職務上の支障、調整案、代替案を分けて記録し、合理的配慮を検討したうえで採用基準との関係を確認してください。

具体例#3
現場が受け入れを決めきれない

現場が採用に慎重な場合、仕事の教え方や相談先が未整理のことがあります。「採用してから考える」ではなく、初月の運用を先に決めておくことが重要です。

最初の担当作業、教育担当、確認タイミング、困ったときの連絡先、支援機関との連携方法を1枚にまとめます。ここまで整理できると、現場責任者だけに負担が集中しにくくなります。

社内だけで判断しにくい場合は、ハローワークや地域障害者職業センターに相談し、職域や雇用管理の見直しに使うとよいでしょう。

外部支援は採用判断を任せるためではなく、自社の受け入れ体制を整えるために活用します。

支援機関に相談するタイミング

採用できない状態が続くときは、求人公開後ではなく、求人票を作る前に相談する方が見直しやすくなります。職務や条件が固まりすぎる前に相談できるためです

相談先によって得意な支援は異なります。求人票や職域の相談はハローワーク、雇用管理やジョブコーチ支援は地域障害者職業センター、本人との情報共有や定着支援は支援機関と分けて考えるとよいでしょう。

相談先相談しやすい内容使うタイミング
ハローワーク求人票、職域開拓、雇用管理、職場環境整備求人票作成前、応募が少ないとき
地域障害者職業センター雇用管理の相談、支援計画、ジョブコーチ支援現場の不安が強いとき
応募者が利用する支援機関本人との情報共有、定着支援、相談窓口づくり面接前後、入社前、入社直後

支援機関を使う目的は、採用判断を外部に任せることではありません。企業が職務、配慮、支援体制を整理し、採用後に働き続けられる条件を整えることです。

応募者が利用する支援機関と情報共有する場合は、本人の同意を前提にします。共有内容は、障害名や私生活の詳細ではなく、仕事上必要な配慮、連絡方法、定着支援の進め方に絞ると安全です。

出典:ハローワークインターネットサービス「障害者の方の雇用に向けて」、JEED「雇用支援・相談窓口

障害者雇用で採用できないときのよくある質問

障害者雇用で応募がない場合、最初に何を見直すべきですか?

最初に見るのは、求人票の仕事内容と応募条件です。職種名だけでなく、作業内容、頻度、勤務条件、相談できる配慮事項を具体化します。あわせて、教育で補える条件まで必須にしていないか確認してください。

障害者雇用で面接の見送りが続く場合、何が原因ですか?

面接の見送りが続く場合、評価項目が職務と結びついていない可能性があります。「不安がある」「合わなそう」ではなく、作業経験、報告相談、勤務条件、配慮の検討状況に分けて確認してください。

採用基準に達しない場合、不採用にしてもよいですか?

予定職務に必要な適性・能力に基づき、合理的配慮を検討しても職務遂行が難しい場合は、採用基準との関係で判断します。ただし、障害種別や配慮希望だけで一律に判断しないことが重要です。

配慮が必要な応募者を採用すると現場負担が増えませんか?

現場負担をゼロにすることはできませんが、分散することは可能です。初月の業務量、教育担当、相談窓口、支援機関との連携方法を先に決めると、現場だけで抱え込む状態を避けやすくなります。

障害者雇用で採用できないとき、どこに相談できますか?

求人票や職域の相談はハローワーク、雇用管理やジョブコーチ支援は地域障害者職業センターが相談先になります。応募者が支援機関を利用している場合は、本人の同意を前提に連携を検討しましょう。

採用後のミスマッチを防ぐには、何を確認すべきですか?

求人票、面接説明、実際の業務内容にずれがないかを確認してください。仕事内容、勤務時間、配慮の相談範囲、初月の業務量、相談窓口を事前にそろえると、入社後の認識違いを減らしやすくなります。

障害者雇用の採用を見直す関連記事

障害者雇用で採用できない原因は、求人票・面接・職域・受け入れ体制のどこで詰まっているかによって異なります。

各テーマを詳しく見直したい場合は、関連記事で具体的な作り方や質問例、相談先の活用方法を確認できます。

まとめ

障害者雇用で採用できないときは、応募者側の問題として片づけず、求人票、面接、職域、受け入れ体制を分けて確認することが大切です

採用できないときの見直しポイント
  • 応募が少ない場合:
    求人票の仕事内容、応募条件、配慮相談の範囲を見直す
  • 面接で見送りが続く場合:
    印象ではなく、職務に必要な適性・能力で評価する
  • 現場が迷う場合:
    職域、初月の業務量、教育担当、相談窓口を先に決める
  • 配慮が必要な場合:
    本人と話し合い、実施可能な方法や代替案を検討する
  • 社内だけで判断しにくい場合:
    ハローワークや地域障害者職業センターに相談する

採用数を増やす前に、仕事内容、採用基準、配慮の相談範囲をそろえることで、応募者にも現場にも判断しやすい採用活動になります。

必要に応じて外部支援も活用しながら、採用後に働き続けられる条件を整えましょう。

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