発達障害(ADHD/ASD)で仕事が続かない原因と対処法

ADHDやASD等の傾向が強いと「すぐに辞めることになってしまう」「仕事が続けられない」と感じる場面は少なくありません。どうしても個人の努力不足では説明できない、構造的にやむをえない要因があります。

実際、平均勤続年数を比較すると、全体平均で12年ほどであるのに対して、発達障害をお持ちの方で5年ほどなので、2倍以上続きにくい傾向があることがわかります

この記事のまとめ
  • なぜ仕事が続かないのか
    個人の問題ではなく制度・環境とのミスマッチが原因で、ADHD・ASD・LDなどの障害特性ごとに、向いている仕事・避けた方がよい業務傾向は異なる。選び方を間違えているだけ。
  • どうすれば長続きするようになるのか
    ポイントは「適職探し」ではなく、特性に合う職場設計・働き方・配慮の有無を見極めること。得意分野を軸に職種を選び、雇用形態の柔軟化、合理的配慮、職場見学、障害者雇用・就労移行支援の活用をしていくべき。
  • 障害者雇用の転職サービスを活用しよう
    転職支援実績が豊富な大手サービス(LITALICOかべなし求人ナビ)をいくつか併用して自分にあった職場を選べば、長期継続しやすい
目次
編集 セオリーズ編集部

本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。

発達障害の平均勤続年数は低い

厚生労働省の調査によると、発達障害を抱える人の平均勤続年数は5.1年です。フルタイムで働く一般労働者の平均勤続年数が12.4年、短時間労働者でも6.5年とされているので、短い傾向にあることがわかります

比較:フルタイム正社員の平均勤続年数

  • 日本全体:12.4年(男性13.9年/女性10年)
  • 身体障害:12.2年
  • 精神障害:5.2年
  • 発達障害:5.1年

出典:厚生労働省 令和5年度障害者雇用実態調査
出典:厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査

なお、短時間勤務(アルバイト)の平均勤続年数でも、日本全国で平均6.5年(男性5.4年/女性6.9年)なので、それよりも続きにくいという現状にあります。

精神障害や発達障害への理解が進み、配慮体制が整えられつつあるものの、まだまだ十分とは言えず、会社によって差がある状態です。

発達障害だと仕事が続かない理由

一言で「仕事合わない」と言っても、特性の幅広さゆえに状況・要因が多彩なので、まずは構造的に整理していくところから始めましょう。

仕事が続かないと感じる主な理由
  • 職場環境や人間関係が合わない
  • 仕事の覚え方や処理スピードに差を感じる
  • 長時間労働や突発的な業務が負担に感じる
  • 精神的な疲弊やメンタル不調による自信喪失

仕事が続かないと感じる理由#1
職場環境や人間関係が合わない

職場の環境や人間関係は、発達障害の人の働きやすさに大きな影響を与える要素のひとつです。

  • 発達障害への理解や配慮がない
  • 必要以上のコミュニケーションがつらい
  • 指示が曖昧で自主性を求められる

発達障害の人で仕事が続かないと感じる理由の一つに、職場の雰囲気や人間関係が合わないことが挙げられます。多くの職場では暗黙のルールや非言語的なやり取りが多く、これが理解しにくい場合、誤解を招いたり孤立感を覚える人も一定数います。

また、チームでの協力や報連相のタイミングなど、曖昧な指示を受けたときや柔軟な対応が求められる状況も負担になりやすいです。さらに、同僚や上司との距離感の取り方に悩むことで、心理的な疲労が蓄積し、働き続ける意欲を損なうケースも少なくありません。

人間関係のストレスを減らすためには、適切な職場選びや上司への特性の共有、相談できる第三者の存在が重要です。

仕事が続かないと感じる理由#2
仕事の覚え方や処理スピードに差を感じる

業務の覚え方や処理速度に関する課題は、発達障害の人が悩む原因の一つです。

  • 指示を理解するのに時間がかかる
  • 物覚えが悪い自覚がある
  • マルチタスクが苦手

発達障害の特性によっては、業務の習得方法や処理スピードに差が生じやすいです。例えば、一度に複数の作業を求められるマルチタスクや、口頭での曖昧な指示は理解しづらく、発達障害を抱える方にとってはミスにつながりやすいです。

また、作業の手順を一度で覚えることが難しい場合や情報処理に時間がかかる場合に、周囲とのスピード差を感じることでストレスとなり、離職につながるケースもあります。

タスクの優先度を明確にする・業務工程がわかりやすい独自のマニュアルを作成するなど、自力での工夫も必要です。

仕事が続かないと感じる理由#3
長時間労働や突発的な業務が負担に感じる

長時間労働や過度な業務負担は、発達障害の人にとって継続就労の大きな壁です。

  • 人より疲れを感じやすい
  • 周囲の環境による影響を受けやすい
  • 想定外の指示や指摘がストレスに感じる

発達障害の人で仕事が続かないと感じる理由の一つに、長時間労働や過度な業務量があります。日本の労働環境では残業や突発的な業務対応が発生しやすく、この点でとくに発達障害の場合体力や集中力の消耗が大きな負担となっているようです

発達障害の特性上、疲れやすさや感覚過敏などによりストレスが蓄積しやすく、十分な休息時間が確保できないと体調不良やモチベーション低下につながります。また、業務面で柔軟性がない職場では得意不得意に応じた分担が行われず、ミスが増えることで自己肯定感が下がり、退職を選ぶケースもあるようです。

短時間勤務や在宅勤務などの柔軟な働き方の利用も、長期的な就労を支える重要な手段となるでしょう。

仕事が続かないと感じる理由#4
精神的な疲弊やメンタル不調による自信喪失

発達障害の方が感じる精神的な疲労やメンタル面の不調は、仕事が続かない背景として無視できない要因です。

  • ストレスを感じやすい
  • 心の疲れが体調に出やすい
  • 労働環境に影響されやすい

精神的な疲労やメンタルの不調は、発達障害の人が仕事を続けられない理由の一つです。業務の難しさや人間関係のストレスにより、うつ症状や強い不安を抱える人は少なくありません

特性に理解のない職場では、評価やサポートが不足し、自信を失うことで心身に悪影響を及ぼします。発達障害の人は感覚過敏や過集中といった特性を持つ場合も多く、環境の刺激や過剰な業務が原因で心の疲れがたまりやすいです。

心の疲れを軽視せず、早めの受診や支援の活用を通じて健康を守ることが、仕事を長く続けるための鍵です。

発達障害ごとの特徴・向いている仕事

発達障害にはADHD、ASD、LDなど複数あり、それぞれの特性に応じて向いている仕事や環境が異なります。

発達障害種別向いてる仕事
ADHD
(注意欠如・多動症)
営業職
接客業
クリエイティブ業務
ASD
(自閉スペクトラム症・アスペルガー)
データ入力
研究職
品質管理
LD
(学習障害)
軽作業
製造業
ライン作業
その他
(協調運動症・チック症・吃音など)
特性に理解ある職場
一人作業中心の仕事
在宅ワーク全般

発達障害種別#1
ADHD(注意欠如・多動症)の特徴と適職

ADHDは集中力や衝動性に特徴があり、個性を活かせる職種の選択が重要です。

特性や特徴向いてる仕事の傾向
衝動的な行動がある
細かな作業が苦手
複雑な工程や手順が苦手
行動力を活かせる職種
発想力を活かせる業務
営業・接客・クリエイティブ職向き

ADHDは注意力の維持が難しかったり、衝動的な行動をとったりする傾向があり、事務職や細かい手順を求められる作業には苦手意識を感じやすいです。一方で、エネルギッシュで行動力があり、新しいアイデアや柔軟な発想を求められる職種には適性があります

たとえば一部営業職や特定分野の接客業、クリエイティブ業務など、変化の多い環境で強みを発揮できる可能性があります。また、ADHDの人は一度に複数の作業を行うよりも、一つのことに集中できる体制の方が能力を活かしやすいため、仕事を選ぶ際はタスクの明確さや職場のサポート体制を重視することが大切です。

タスク管理アプリやメモの活用で業務への理解力を補えるとベストです。自ら得意な分野に集中できる環境を整えることで、ミスを減らしやすくなります。

発達障害種別#2
ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー)の特徴と適職

ASDは対人関係の難しさがある一方、特定の分野で強い集中力を発揮します。

特性や特徴向いてる仕事の傾向
繊細な部分がある
集中しすぎてしまう
曖昧な指示を好まない
器用さが必要な業務
集中できる業務/職場
プログラミング・品質管理など

ASDはコミュニケーションや柔軟な対応が苦手な一方で、関心のある分野に対して高い集中力を発揮しやすい特徴があります。この特性から、明確なルールやマニュアルが整った職場、または専門性を求められる業務に向いています。

たとえば、データ入力やプログラミング・研究職・品質管理など、集中して取り組める環境が整った仕事は適性が高いとされます。また、感覚過敏がある場合には静かな職場やリモートワークが推奨されます。ASDの強みを生かすには、業務内容をできる限り明確にし、自分のペースで作業できる職場を選ぶことが重要です。

単純作業・繰り返し作業など、集中できる内容に取り組むことで覚えにくさやミスを防ぎ、力を最大限発揮できます。

発達障害種別#3
LD(学習障害)の特徴と適職

LDは特定の学習分野に困難があるため、できることを伸ばせる職種に就くことをおすすめします。

特性や特徴向いてる仕事の傾向
読み書きが苦手
計算全般が苦手
怠けてると思われがち
得意を伸ばすのが理想
営業や接客がおすすめ
計算や文章作成が苦手なら避けよう

LD(学習障害)は、読み書きや計算など一部の学習分野に困難がある障害で、知的発達には問題がないため得意な分野で力を発揮できます。たとえば、文字の読み書きに課題がある場合は、文章作成を避けた業務や音声入力を活用する職場が適しています。

また、計算が苦手な場合は、数字を扱う業務よりも対人スキルや実務経験を重視する職種で能力を活かせます。このように、できないことは無理に取り組まず、取り組むハードルの低い分野を伸ばす方向性で職種を選ぶと良いでしょう。

得意分野を活かせる職場というよりも、問題なく取り組める業務を軸に仕事を探しつつ、負担に感じる部分を補助ツールでカバーすることが理想です。

発達障害種別#4
その他の発達障害の特徴と適職

協調運動症やチック症、吃音なども理解ある環境で適職を見つけられます。

障害特性や特徴向いてる仕事の傾向
協調運動症手先が不器用
運動がぎこちない
営業など対人業務
体力を必要としない職種
チック症突発的な動作
制御不可な発声
周囲の理解がある環境
一人作業が中心の職場
吃音言葉が出にくくなる
会話がしづらい
会話/対話が不要な職種
文章作成業務など

発達障害としては、ADHD・ASD・LD以外にも多数ありますが、これらの障害も周囲の理解や配慮次第で能力を十分に発揮できるでしょう。とくに、IT・クリエイティブ職・事務職など、体を過度に使わない・コミュニケーションが極力少ない職種であれば全般的に相性がいいです

重要なのは、障害そのものよりも働く環境を準備してもらえるかどうかであり、症状に合わせて負担を軽減できる職場を選べるのが理想です。また、支援制度や特例子会社の活用など、選択肢を広げることで長期的な就労が可能となるでしょう。

症状に合った仕事や配慮を選び、働きやすい環境を整えれば、障害特性に囚われず仕事を続けられるでしょう。

発達障害に合った働き方を探し方

発達障害に合った働き方は、自分の特性を理解し、仕事に取り組む環境やサポートを重視して選ぶことが大切です。

発達障害に合った働き方を探す方法
  • 得意なことを活かせる職種を見つける
  • 自分に合った働き方や雇用形態を選ぶ
  • 障害特性に合った配慮がある勤務先を選ぶ
  • 職場見学で実際の環境を把握しておく
  • 障害者雇用や就労移行支援を利用する

働き方を探す方法#1
得意なことを活かせる職種を見つける

発達障害は得意と苦手の差が大きいため、強みを中心に職種を選ぶことが重要です。

仕事選びでおさえておきたいポイント
  • 苦手を避けるよりも得意を伸ばす
  • 苦手なことは制度やツールでカバーする
  • 得意なことへの自己理解を深める

発達障害は、不得意な分野に注目されやすい一方で、得意なことを活かせる環境に身を置くことで能力を発揮できます。たとえば、ADHDは行動力や発想力を求められる営業や接客業で活躍しやすく、ASDは集中力を発揮できるデータ分析や品質管理に適性があるなど様々です。

なによりも、自分が興味を持ちやすい分野や得意なスキルを棚卸しし、職種の特徴と照らし合わせて選ぶことが大切です。適職を見つけるには、まず自分の強みを明確にすること、その強みを求めている職種を探すことが第一歩となります。

得意を伸ばす意識で仕事を選ぶと、覚えやすくミスも減らせます。苦手はちょっとした工夫や便利ツールで補うのがポイントです。

働き方を探す方法#2
自分に合った働き方や雇用形態を選ぶ

雇用形態や勤務時間の選択は、発達障害のある方が働きやすい環境をつくる大切な要素です。

安定性・継続のしやすさを重視しよう
  • 正社員
    • 症状が軽ければおすすめ
  • アルバイト・パート
    • 休みを多めに取りたい方向け
    • 柔軟性があるから通院もしやすい
  • 業務委託(在宅)
    • 自分のペース取り組める
    • ストレスが少なく快適

発達障害のある方が長く働くには、職種だけでなく雇用形態や勤務時間の選択も重要です。正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣社員など柔軟な働き方を取り入れることで、自分に合ったペースで働きやすくなります

また、短時間勤務やリモートワークなどを活用すれば、集中力の波や感覚過敏の影響を抑えやすいです。さらに、職場での負担を減らすために、業務の分担やシンプルなタスクを選ぶことも効果的です。無理をせず、継続のしやすさを軸に、働きやすい条件を優先しましょう。

働きやすい勤務時間や業務内容の選択は、仕事を覚える負担やミスのリスクを減らす上で必要な工夫です。

働き方を探す方法#3
障害特性に合った配慮がある勤務先を選ぶ

職場選びでは、自分の障害特性を理解し適切な配慮をしてくれる企業を探すことが重要です。

発達障害の場合は「合理的配慮」に注目
  • こまめな休憩の有無
    集中力が持たない方や疲れを感じやすい方はチェックしておきたい配慮事項です。
  • パーテーションの設置
    視覚過敏で視覚情報をできるだけ抑えたい方や、集中できる環境を重要視する方に向けです。
  • 耳栓の着用可否
    聴覚過敏で環境音・雑音を抑えたい方には必須の項目です。

発達障害のある方にとって、職場での適切な配慮は働きやすさや仕事の継続に直結します。たとえば、静かな作業環境や集中できる席の配置、明確な業務指示、細かいタスクの分割などがいい例です。

これらの配慮は企業ごとに異なるため、求人情報や会社説明会、面接時のやり取りで確認することが大切です。障害者雇用の求人では、こうした配慮内容を明記していることも多く、事前に条件を比較することができます。

障害特性に合わせたサポートを受けられる職場を選ぶことで、得意分野を活かした働き方を実現しやすくなり、長期的なキャリア形成にもつながります。

働き方を探す方法#4
職場見学で実際の環境を把握しておく

職場見学は、求人情報だけではわからない実際の環境を知る有効な手段です。

職場見学で見ておくべき部分
  • 業務スペースや労働環境
  • 職場で働いている人の雰囲気
  • 人間関係やコミュニケーション頻度
  • 配慮事項と実際の現場における実施状況

発達障害のある人が安心して働くためには、実際に職場を訪れて環境を確認することも重要です。求人情報や面接だけでは、職場の雰囲気や働き方の詳細は把握しづらいため、見学で作業スペースや設備、職員の対応などを直接見ておくと安心です

たとえば、照明や音の大きさ、作業台の高さや動線などは、発達障害の特性によっては大きな影響を与える要素です。事前にこうした情報を確認すれば、自分に合うかどうか判断しやすくなります。

見学時に仕事の流れを見学させてもらうことで、働くイメージを具体的に持てます。職場見学は、就職後のギャップを減らし、仕事が続かない原因を防ぐための重要な準備のひとつです。

働き方を探す方法#5
障害者雇用や就労移行支援を利用する

障害者雇用枠や就労移行支援は、安心して働ける職場を探すための有効な選択肢です。

発達障害におすすめのサービスや制度
  • 各地の就労移行支援事業所
  • 障害者向け求人・転職サービス
  • ハローワークの専門窓口

発達障害がある方は、障害者雇用枠を活用した就職活動や就労移行支援の利用が有効です。障害者雇用枠は、障害の特性を前提にした配慮があり、無理のない業務や特性に合った働き方がしやすいのが特徴です

近年では、一般企業でも障害者雇用を積極的に取り入れており、事務や軽作業だけでなく専門的な職種の募集も増えています。また、就労移行支援事業所では、職業訓練や実習を通じて職場で必要なスキルを身につけるサポートが受けられるのも魅力です。

就職前に自分の得意・不得意を整理し、就労後のミスマッチを防ぎやすくなります。障害者雇用や支援制度を利用することは、働く場を広げるだけでなく、安定した就労継続の大切な一歩です。

障害者雇用におすすめの転職サイト

まずは大手3社に登録し、比較しながら進めるのが基本です。

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