障害者雇用の除外率とは、特定業種で法定雇用障害者数を計算するとき、算定基礎から一定割合を控除する経過措置です。
2025年4月1日から、除外率は対象業種ごとに一律10ポイント引き下げられました。対象企業では、必要な雇用人数が増える場合があります。
この記事では、人事・現場責任者向けに、対象業種、計算方法、2026年改定を見据えた確認手順を整理します。
- 除外率は、対象業種の算定基礎を一部控除する経過措置
- 2025年4月から、各除外率設定業種で一律10ポイント引き下げ
- 引き下げ前に10%以下だった業種は、2025年4月以降は対象外
- 2026年7月の法定雇用率2.7%も見据えて人数表を見直すことが重要
本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。
障害者雇用の除外率とは
除外率は、障害者雇用率制度の分母を一部控除する仕組みです。
対象は、障害のある労働者が就業することが難しい職種の割合が高いとされた一部業種です。
ただし、除外率制度は雇用義務を免除するものではなく、廃止に向けて段階的に縮小される経過措置として扱われています。
| 項目 | 意味 | 企業で確認すること |
|---|---|---|
| 除外率 | 算定基礎から控除できる割合 | 2025年4月以降の率を使う |
| 対象業種 | 省令等で定められた業種 | 事業内容と業種区分を照合する |
| 算定基礎 | 法定雇用障害者数を計算する分母 | 常用労働者数から除外率相当数を引く |
| 必要人数 | 企業が満たすべき雇用人数 | 控除後の人数に法定雇用率を掛ける |
- 除外率は「雇用しなくてよい」という免除ではない
- 対象業種でも、控除後の人数で必要人数を確認する
- 制度は段階的に縮小される方向で運用されている
- 採用計画と定着支援の準備は引き続き必要になる
出典:JEED「令和8年度記入説明書」/JEED「令和8年度版ご案内」
2025年4月以降の除外率設定業種一覧
2025年4月以降は、各除外率設定業種で除外率が10ポイント下がっています。引き下げ前に10%以下だった業種は、除外率制度の対象外になりました。
以下は、2025年4月以降に適用される主な除外率設定業種と除外率の一覧です。
| 2025年4月以降の 除外率 | 対象業種 |
|---|---|
| 5% | 非鉄金属第一次製錬・精製業、貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く) |
| 10% | 建設業、鉄鋼業、道路貨物運送業、郵便業(信書便事業を含む) |
| 15% | 港湾運送業、警備業 |
| 20% | 鉄道業、高等教育機関、医療業、介護老人保健施設、介護医療院 |
| 25% | 林業(狩猟業を除く) |
| 30% | 金属鉱業、児童福祉事業 |
| 35% | 特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く) |
| 40% | 石炭・亜炭鉱業 |
| 45% | 道路旅客運送業、小学校 |
| 50% | 幼稚園、幼保連携型認定こども園 |
| 70% | 船員等による船舶運航等の事業 |
業種名だけで判断しにくい場合は、管轄のハローワークや労働局に確認します。
複数事業を行う企業では、会社名や主な商号だけで判断せず、実際の事業内容、事業所ごとの業務実態、算定単位を確認することが重要です。
出典:JEED「令和8年度記入説明書」/JEED「令和8年度版ご案内」
除外率を使った計算方法
除外率の計算では、対象業種、常用労働者数、除外率相当数、法定雇用率を順番に確認します。
- 最初に、自社が除外率設定業種に該当するか確認する
- 常用労働者数は、通常の在籍人数ではなく制度上の数え方で整理する
- 対象業種なら、常用労働者数から除外率相当数を控除する
- 控除後の人数に法定雇用率を掛け、必要人数を確認する
計算#1
対象業種に該当するか確認する
最初に、自社の事業が除外率設定業種に該当するかを確認します。
「現場作業が多いから対象」という感覚では決めず、公式の業種区分と実際の事業内容を照合します。複数事業を行う企業では、会社名だけで判断せず、どの事業が算定対象になるかも確認することが重要です。
計算#2
常用労働者数を整理する
次に、制度上の常用労働者数を整理します。
通常の在籍人数ではなく、勤務時間、継続雇用見込み、短時間労働者の扱いを分けて確認します。人数表を作る際は、雇用区分ごとに分けて整理しておくと、除外率相当数の計算や後の見直しがしやすくなります。
計算#3
除外率相当数を控除する
対象業種であれば、常用労働者数から除外率相当数を控除します。
例えば除外率10%なら、常用労働者数の10%相当を差し引いた人数が算定基礎になります。この段階で、前年の除外率を誤って使っていないか、2025年4月以降の率に更新できているかも確認します。
計算#4
法定雇用率を掛けて必要人数を出す
控除後の人数に、民間企業の法定雇用率を掛けて必要人数を確認します。
民間企業では2026年6月まで2.5%、2026年7月1日以降は2.7%で管理します。2025年4月の除外率引き下げと、2026年7月の雇用率引き上げの両方を見て試算しておくと、採用計画を前倒しで見直しやすくなります。
| 例 | 計算の流れ | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 建設業400人 | 400人から10%相当を控除し、360人を基礎にする | 360人に法定雇用率を掛け、端数処理後の必要人数を確認する |
| 医療業200人 | 200人から20%相当を控除し、160人を基礎にする | 2026年7月以降は2.7%で再試算する |
| 旧10%以下業種80人 | 2025年4月以降は控除せず、80人を基礎にする | 前年の除外率を使わず、最新の対象表で確認する |
実際の申告では、端数処理や短時間労働者の扱いを年度ごとの記入説明書で確認します。
出典:JEED「令和8年度記入説明書」/厚生労働省「障害者雇用対策」
2025年引き下げで変わる実務
2025年4月の引き下げでは、控除できる人数が減るため、算定基礎が広がる点に注意します。
- 除外率が下がると、必要人数が増える場合がある
- 旧10%以下の業種は、2025年4月以降は対象外になる
- 2026年7月の法定雇用率2.7%もあわせて試算する
- 人数計算だけでなく、採用計画と受け入れ体制も見直す
実務#1
必要人数が増える場合がある
除外率が下がると、法定雇用率を掛ける前の人数が大きくなります。
前年の計算表を流用すると、不足人数を少なく見積もる可能性があります。まずは2025年4月以降の除外率で人数表を作り直し、採用時期や不足人数に影響がないかを確認しましょう。
実務#2
対象外になった業種を確認する
引き下げ前に10%以下だった業種は、2025年4月以降に除外率制度の対象外になりました。
過去に5%や10%の控除を使っていた企業は、最新の対象表で再確認します。複数事業を行う企業では、会社名ではなく実際の事業内容と算定単位を見直すことが重要です。
実務#3
2026年7月の雇用率引き上げも見る
民間企業の法定雇用率は、2026年7月1日から2.7%へ上がります。
除外率の引き下げと雇用率の引き上げを別々に見ると、採用時期を見誤ることがあります。2025年4月時点の人数表と、2026年7月以降の必要人数を並べて試算しておくと、前倒しで準備しやすくなります。
実務#4
計算だけで採用計画を終わらせない
不足人数が見えたら、採用人数だけでなく、任せる仕事と受け入れ体制を決めます。
職務の切り出し、相談担当、勤務時間、配属先の説明を同時に準備すると、採用後のミスマッチを減らせます。人数計算は出発点にすぎないため、採用計画と定着支援まで一体で整理することが重要です。
除外率の引き下げは、障害者雇用率制度の基本や2026年7月以降の法定雇用率引き上げとあわせて確認することが重要です。制度全体や改定内容を詳しく確認したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
出典:JEED「障害者雇用納付金制度改正の概要」
業種別の確認ポイント
除外率の見直しでは、業種ごとに確認すべき実務が少し異なります。
- 対象業種でも、現場職だけでなく周辺業務を確認する
- 資格職や専門職だけで判断せず、補助業務を切り出せるか見る
- 安全配慮や本人情報の共有範囲をあらかじめ整理する
- 不足人数が見えたら、採用計画と職務設計につなげる
業種#1
建設業・鉄鋼業・道路貨物運送業
建設業、鉄鋼業、道路貨物運送業の除外率は、2025年4月以降10%です。
現場職だけでなく、積算補助、資材管理、書類確認、配送管理などの周辺業務も確認します。安全上の制約がある業務と、事務・管理・確認作業として切り出せる業務を分けて整理すると、採用可能な職務を見つけやすくなります。
業種#2
医療業・介護老人保健施設・介護医療院
医療業などの除外率は、2025年4月以降20%です。
資格職の人員配置だけで判断せず、事務補助、予約管理、物品補充、環境整備の職務化を検討します。医療行為や介護業務そのものが難しい場合でも、周辺業務を分けることで受け入れ可能な職域が見つかる場合があります。
業種#3
教育・保育関連の事業
幼稚園や小学校などは、除外率が比較的高く残っている業種です。一方で、事務、教材準備、環境整備、行事準備など、職務を分けられる領域もあります。
子どもや保護者に関わる情報の扱い、安全配慮、本人情報の共有範囲を整理し、現場に過度な不安が残らない説明を準備します。配属前に、任せる業務と避ける業務を具体的に分けておくことが重要です。
必要人数が見えたあとは、実際に任せる職務や採用計画を整理する段階に進みます。業務切り出しや採用計画の作り方を確認したい場合は、以下の記事も参考にしてください。
出典:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」/JEED「令和8年度記入説明書」
社内で進める確認フロー
除外率の確認は、労務担当だけで閉じず、採用担当と配属先を含めて進めます。
- 自社の事業が除外率設定業種に該当するか確認する
- 2025年4月以降の除外率で人数表を作り直す
- 2026年6月までの2.5%と、7月以降の2.7%で試算する
- 不足人数を部署別、職務別、時期別に分ける
- 採用できる職務と、配慮できる勤務条件を整理する
- ハローワークや支援機関に相談する内容をまとめる
- 入社後の面談、相談先、記録方法を決める
不足人数が増えた場合でも、求人だけを先に増やすのは避けます。先に職務と受け入れ体制を整えることで、採用後の定着支援までつなげやすくなります。
仕事内容の整理や雇用義務の対象判定を詳しく確認したい場合は、以下の記事も参考にしてください。
障害者雇用の除外率に関わるよくある質問
- 除外率がある業種なら障害者雇用は不要ですか?
-
不要ではありません。
除外率は、法定雇用障害者数の算定基礎を一部控除する経過措置であり、雇用義務を免除する制度ではありません。対象業種でも、控除後の人数で必要人数を確認します。
- 2025年4月以降の除外率で何が変わりましたか?
-
2025年4月から、各除外率設定業種の除外率が10ポイント引き下げられました。
これまで10%以下だった業種は対象外となるため、前年の人数表をそのまま使わず再計算が必要です。
- 自社の業種が除外率の対象か分からない場合はどうしますか?
-
管轄のハローワークまたは労働局に確認します。
複数事業を行う企業では、会社名だけで判断せず、実際の事業内容、職種構成、過去の報告控えを準備して相談すると確認しやすくなります。
- 除外率を使った計算で端数はどう扱いますか?
-
端数処理は、常用労働者数、除外率相当数、法定雇用障害者数のどの段階かで確認が必要です。
実際の申告や報告では、年度ごとの記入説明書や労働局・ハローワークの案内を確認しましょう。
- 除外率の見直しだけで雇用計画は十分ですか?
-
十分ではありません。
必要人数が分かったら、採用人数だけでなく、任せる職務、受け入れ部署、勤務条件、相談体制まで整理することが大切です。計算と採用準備をあわせて進めましょう。
まとめ
障害者雇用の除外率は、特定業種で算定基礎から一定割合を控除する経過措置です。
2025年4月から各除外率設定業種で10ポイント引き下げられ、旧10%以下の業種は対象外になりました。
2026年7月の法定雇用率2.7%への引き上げも控えているため、最新の除外率で人数表と不足人数を見直すことが重要です。あわせて、任せる職務、受け入れ部署、勤務条件、相談体制まで整理しておきましょう。
