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障害者雇用率とは?企業の義務と計算の基本をわかりやすく解説

障害者雇用率とは、企業が常用労働者数に応じて雇用する必要がある、障害のある労働者の割合を示す基準です。

民間企業では、2026年6月1日報告は2.5%、2026年7月1日以降の採用計画や月次管理は2.7%を前提に確認します。

ただし、障害者雇用率は社員数だけで単純に計算できるものではありません。短時間労働者、重度障害者の算定、6月1日時点の報告、未達成時の対応を分けて整理する必要があります。

この記事では、企業の人事・現場責任者向けに、対象企業、計算方法、人数カウント、未達成時の確認事項をわかりやすく解説します。

この記事で整理すること
  • 対象企業
    自社が雇用義務の対象に入るか確認する
  • 計算方法
    常用労働者数と必要人数を分けて見る
  • 人数カウント
    短時間勤務・重度判定・手帳確認を整理する
  • 未達成時の対応
    納付金・行政指導・採用計画を確認する
目次
編集 セオリーズ編集部

本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。

障害者雇用率とは

障害者雇用率は、企業が雇用している労働者数に対し、障害のある労働者をどの程度雇用しているかを見る制度上の指標です

制度上は、企業が常用労働者数に応じて一定割合以上の障害者雇用を進めることが求められています。実務では、現在の法定雇用率と改定時期を確認したうえで、自社の必要人数を整理します。

実務では、法定雇用率だけでなく、自社の実雇用率や必要人数、計算の基礎になる常用労働者数を分けて確認します。まずは、障害者雇用率を確認するときに使う基本用語を整理しておきましょう。

用語意味実務で見ること
法定雇用率法律上求められる雇用割合現在の率と改定時期を確認する
実雇用率自社で実際に雇用している割合算定対象者を正しく数える
法定雇用障害者数常用労働者数から計算する必要人数端数処理と月別の人数を確認する
常用労働者数雇用義務や報告の基礎になる人数雇用区分ではなく勤務時間と継続見込みで見る
法定雇用率で最初に見る数字
  • 民間企業の法定雇用率は2026年6月まで2.5%
  • 2026年7月1日以降は2.7%へ引き上げ
  • 2026年6月までの対象企業は常用労働者40.0人以上
  • 2026年7月1日以降は37.5人以上へ対象が広がる

出典:厚生労働省「障害者雇用対策」/JEED「障害者雇用率制度

対象企業と2026年の変更点

2026年は、6月1日の雇用状況報告と、7月1日以降の法定雇用率改定を分けて扱う必要があります。

同じ年度内でも、報告時点の基準と改定後の管理基準が異なるため、6月報告用の確認と、7月以降の採用計画を分けて整理しましょう。

特に常用労働者が40人前後の企業では、7月以降に新たに対象となる可能性があるため、採用予定や退職予定、短時間労働者の人数も早めに確認しておくことが重要です。

時期民間企業の
法定雇用率
対象企業の基準実務上の扱い
2026年6月まで2.5%常用労働者40.0人以上6月1日報告と現行不足人数を確認する
2026年7月1日以降2.7%常用労働者37.5人以上採用計画、月次管理、翌年報告に備える

変更点#1
37.5人以上の企業も対象に入る

2026年7月1日以降は、常用労働者37.5人以上の民間企業が障害者雇用の対象に入ります

これまで対象外だった40人未満の企業でも、労働者数によっては雇用義務が生じるため、正社員数だけでなく、短時間労働者や継続雇用見込みのある従業員も含めて確認します。

変更点#2
6月1日報告と7月改定を混同しない

障害者雇用状況報告は、毎年6月1日現在の雇用状況をハローワークへ報告する手続きです。

2026年6月1日時点では、7月改定前の2.5%を前提に報告を整理します。一方で、7月以降の採用計画や月次管理では2.7%で不足人数を試算する必要があります

変更点#3
採用計画は改定後の率で試算する

7月以降の採用計画では、2.7%を前提に必要人数を試算します。

現行基準で達成していても、改定後に不足が出る企業は、求人化、配属先の調整、業務の切り出し、受け入れ体制の準備を前倒しで進めることが大切です

2026年の雇用率改定や対象企業の基準を詳しく確認したい場合は、以下の記事もあわせて参考にしてください。

出典:愛知労働局「障害者を雇用する義務とは」/厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等

障害者雇用率の計算方法

障害者雇用率の計算では、分母になる常用労働者数と、分子になる障害のある労働者数を分けて確認します。

社員数一覧をそのまま使うのではなく、勤務時間、継続雇用見込み、障害種別、重度判定を制度上のカウントに直してから計算します

計算項目基本の見方確認資料
分母短時間以外の常用労働者は1人、短時間労働者は0.5人で見る雇用契約、所定労働時間、継続見込み
分子障害種別、重度判定、勤務時間に応じて算定する本人同意を前提にした確認記録
必要人数常用労働者数に法定雇用率を掛け、小数点以下を切り捨てる月別人数表、報告書記入要領
不足人数必要人数から算定対象の障害のある労働者数を差し引く6月1日現在の報告資料、月次管理表

計算#1
常用労働者数を制度用に置き換える

常用労働者数は、正社員数だけでは判断できません。

1年以上の継続雇用見込みがある労働者を対象に、週所定労働時間が30時間以上なら1人、20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人として整理します

パートや契約社員が多い企業では、雇用形態ではなく、勤務時間と継続見込みをもとに確認することが大切です。

計算#2
障害のある労働者の算定数を確認する

障害のある労働者の算定では、障害種別、重度判定、週所定労働時間で人数の扱いが変わります。重度身体障害または重度知的障害のある常用労働者は、制度上2人として算定されます

一方で、短時間勤務や精神障害のある労働者、週10時間以上20時間未満の特定短時間労働者では扱いが変わるため、勤務時間ごとに分けて確認します。

計算#3
必要人数と不足人数を分ける

法定雇用障害者数は、常用労働者数に法定雇用率を掛け、小数点以下を切り捨てて確認します。

たとえば、2026年7月以降に常用労働者120人なら、120人×2.7%=3.24人となり、必要人数は3人です

そのうえで、算定対象となる障害のある労働者数を差し引き、不足人数を確認します。必要人数と不足人数を分けると、採用計画や月次管理に落とし込みやすくなります。

出典:JEED「障害者雇用率制度」/愛知労働局「障害者を雇用する義務とは

人数カウントで注意すること

障害者雇用率は、採用人数を単純に足せばよい制度ではありません。

勤務時間、障害区分、短時間勤務、特定短時間勤務の扱いを分けて確認します。

対象30時間以上20時間以上
30時間未満
10時間以上
20時間未満
身体障害・知的障害のある労働者1人0.5人原則は分子の対象外
重度身体障害・重度知的障害の
ある労働者
2人1人0.5人
精神障害のある労働者1人当面の間1人として算定0.5人

10時間以上20時間未満の特定短時間労働者は、重度身体障害、重度知的障害、精神障害のある労働者が0.5人算定の対象です。ただし、就労継続支援A型事業所の利用者は算定対象外とされています。

注意点#1
短時間労働者を分母と分子で分ける

分母では、20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人として算定します。

一方で分子では、障害種別、重度判定、週所定労働時間によって0.5人、1人、2人の扱いが変わります

同じ短時間勤務でも、分母と分子で見方が異なるため、社員名簿の人数をそのまま足さず、制度上のカウントに直して確認します。

注意点#2
特定短時間労働者の扱いを確認する

週10時間以上20時間未満の特定短時間労働者は、分母には含めません。

ただし、重度身体障害、重度知的障害、精神障害のある労働者は、分子で0.5人として算定されます

短い時間から働く人を雇用している場合は、分母に含めるか、分子で算定できるかを分けて確認することが大切です。

注意点#3
手帳確認はプライバシー配慮とセットで行う

障害者雇用状況報告では、報告に当たりプライバシーに配慮した把握・確認を行うよう案内されています。

社内で確認する場合も、利用目的、確認範囲、保管方法、担当者を明確にして扱います。

障害者手帳などの情報は個人情報に関わるため、雇用率の算定に必要な範囲で確認し、関係者以外に共有しない運用を整えておきましょう

出典:JEED「障害者雇用率制度」/厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等

算定で間違えやすい実務ポイント

障害者雇用率の算定では、時点、勤務時間、制度の対象範囲をそろえることが重要です。

特に6月報告、納付金、除外率は、同じ表で管理していても基準が異なるため、項目ごとに分けて確認します。

間違えやすい点起きやすい問題確認方法
社員名簿の人数で計算する短時間労働者や継続見込みの扱いが混ざる所定労働時間と雇用見込みを列に分ける
6月1日以外の予定を入れる報告時点の人数と採用予定が混ざる6月1日現在と月次見込みを別表にする
納付金の対象と雇用義務を混同する100人超の基準だけで対象外と誤解する雇用義務、報告、納付金を別項目にする
除外率を古いまま使う算定基礎人数が実態とずれる該当業種と最新の除外率を確認する

6月1日報告や除外率の考え方は、算定ミスが起きやすい項目です。詳しい確認方法は、以下の記事もあわせて参考にしてください。

未達成時に確認すること

障害者雇用率が未達成の場合は、不足人数だけでなく、納付金、行政指導、採用計画、定着支援を分けて確認します。

雇用率達成だけを優先して採用を急ぐと、入社後の業務設計や配慮事項が合わず、ミスマッチにつながることがあります。

未達成時に確認するポイント
  • 不足人数を月別に見る
  • 納付金の対象有無を確認する
  • 行政指導につながる場合もある
  • 採用計画と職域設計を同時に作る

未達成時#1
不足人数を月別に見る

6月1日時点の不足だけでなく、採用予定、退職予定、休職、復職、勤務時間変更の見込みを月別に置きます。

月別で見ると、どの時期までに求人化、面接、配属先の調整、受け入れ準備を進めるべきか判断しやすくなります。

未達成時#2
納付金の対象有無を確認する

JEEDでは、常時雇用している労働者数が100人を超える事業主で法定雇用率未達成の場合、納付金の対象になると案内しています。

納付金は不足1人当たり月額50,000円ですが、納付しても雇用義務そのものがなくなるわけではありません

対象有無を確認したうえで、採用計画、職域設計、定着支援まで見直すことが大切です。

未達成時#3
行政指導につながる場合もある

障害者雇用率が大きく不足している場合、ハローワークから雇入れ計画の作成を求められることがあります

雇入れ計画とは、障害者雇用の不足を改善するために、企業が採用予定や受け入れ体制などを整理する計画です。

計画の実施状況によっては勧告や公表につながる可能性もあるため、不足人数だけでなく、採用計画と職域設計を同時に見直します。

未達成時#4
採用計画と職域設計を同時に作る

不足人数を採用人数に置き換える前に、任せる業務、勤務時間、配慮できる範囲、相談先を整理します。

職域設計がないまま求人を出すと、入社後に「任せる仕事がない」「評価基準が合わない」という問題が起きやすくなります

未達成時の対応や納付金、採用計画の作り方を詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。

出典:JEED「障害者雇用納付金制度 Q&A」/JEED「障害者雇用率制度

具体例で見る計算

ここでは、企業規模や勤務時間が異なる3つの場面で、障害者雇用率の見方を整理します。

同じ労働者数でも、2026年6月までと7月以降では対象企業の基準が変わるため、時期を分けて確認することが大切です。

具体例で確認するポイント
  • 常用労働者39人の企業
    2026年7月以降に対象となる可能性がある
  • 常用労働者120人の企業
    2.7%で必要人数を試算する
  • 短時間勤務者が多い企業
    0.5人カウントを確認する

具体例#1
常用労働者39人の企業

2026年6月までは40.0人未満のため、民間企業の雇用義務の対象外です。

2026年7月1日以降は37.5人以上が対象になるため、39人の企業は必要人数1人の確認が必要になります

40人前後の企業では、採用予定や退職予定、短時間労働者の人数によって対象可否が変わるため、月次で人数を確認しておきましょう。

具体例#2
常用労働者120人の企業

2026年7月以降の2.7%で計算すると、120人×2.7%=3.24人です。小数点以下を切り捨てるため、法定雇用障害者数は3人になります

実際の管理では、必要人数3人から算定対象となる障害のある労働者数を差し引き、不足人数を確認します。

具体例#3
短時間勤務者が多い企業

短時間労働者が多い企業では、分母の0.5人カウントが積み上がり、対象企業に入ることがあります

障害のある労働者側も、週所定労働時間や重度判定で算定数が変わるため、勤務時間変更のたびに見直します。

特にパート、契約社員、時短勤務者が多い企業では、社員数ではなく、所定労働時間と継続雇用見込みをもとに整理することが重要です。

企業側の確認フロー

障害者雇用率の管理は、年1回の報告直前だけでなく、月次の人数管理と採用計画に接続します。

人事だけで完結させず、現場責任者、経理、産業保健、外部支援機関と確認範囲を分けます。

月次確認フロー
  • 常用労働者数を勤務時間別に確認する
  • 障害のある労働者の算定数を確認する
  • 2.5%と2.7%の両方で不足見込みを試算する
  • 不足がある場合は職域、採用時期、受け入れ体制を決める
  • 6月1日報告に向けて根拠資料を保管する

採用計画では、人数目標と同じ管理表に、配属予定部署、業務内容、合理的配慮、面談予定を入れます。雇用率を満たすことだけを目的にせず、入社後に働き続けられる体制まで確認することが重要です

不足人数を確認したあとは、採用計画の作成や合理的配慮の整理まで進めておくと、入社後の定着支援につなげやすくなります。

よくある質問

障害者雇用率は大企業だけの制度ですか?

大企業だけの制度ではありません。民間企業では、2026年6月までは常用労働者40.0人以上、2026年7月1日以降は37.5人以上が対象に入ります。40人前後の企業も早めに確認しておきましょう。

障害者雇用率は社員数だけで計算できますか?

社員数だけでは計算できません。常用労働者数、短時間労働者、障害のある労働者の算定方法、重度判定、6月1日時点の報告基準をそろえて確認する必要があります。

未達成なら納付金を払えば終わりですか?

納付金の対象になっても、雇用義務そのものがなくなるわけではありません。不足人数、採用計画、職域設計、合理的配慮、定着支援をあわせて見直すことが重要です。

2026年7月以降は何が変わりますか?

民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられ、対象企業も常用労働者37.5人以上に広がります。採用計画や月次管理では、改定後の率で不足人数を試算しましょう。

障害者雇用率が未達成の場合、まず何を確認すべきですか?

まずは必要人数と現在の算定人数を確認し、不足人数を月別に整理します。そのうえで、採用予定、退職予定、勤務時間変更、配属先、業務内容、受け入れ体制を見直します。

まとめ|まずは自社の必要人数と不足人数を確認しよう

障害者雇用率は、企業が障害のある労働者の雇用状況を確認するための基本指標です。2026年7月1日以降は民間企業の法定雇用率が2.7%となり、対象企業も常用労働者37.5人以上へ広がります。

実務では、社員数だけで判断せず、常用労働者数、短時間労働者、障害のある労働者の算定数、6月1日報告、納付金の対象有無を分けて確認することが重要です。

不足が見込まれる場合は、必要人数を確認したうえで、採用計画、職域設計、合理的配慮、定着支援まで早めに整理しておきましょう。


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