「適応障害の経験は転職エージェントに伝えるべきか」「伝えた場合のメリット・デメリットは何か」は、迷いやすいポイントです。
結論として、伝えるメリットはほとんどないので、開示しないことをおすすめします。伝えるべきという法的義務もありません。
ただ、やむを得ない事情で働き続けなくてはならない場合もあるかと思いますので、その場合はせめて親身に寄り添ってくれるエージェントを利用してください。
適応障害は言わなくて問題ない
適応障害の経験があっても、現時点で体調が安定し、業務に支障がないのであれば、基本的に大きな問題にはなりにくいです。病歴はプライバシー性が高く、履歴書や職務経歴書に記載する義務もありません。
仮に伝えても転職エージェントは「企業様にお伝えして納得してもらいましょう」としか言いません。担当によっては「隠しましょう」と言うこともあります。
「理解のある会社を探してくれるかも」と思うかもしれませんが、どちらかといえば「再発リスクがあっても妥協するくらい人手不足な不人気企業」ばかりが見つかることになります。
適応障害を伝えるメリットがない
よくある勘違いですが、転職エージェントに適応障害を伝えても良いことはありません。強いてあげれば、話すことで「あなたの気持ちが軽くなる」くらいです。
- 誤解①理解ある会社が見つかる
- 誤解②自分の性質を知ってもらえる
- 誤解③転職理由を組み立てやすい
- 誤解④仕事で配慮をしてもらえる
適応障害を伝えるメリットの誤解①
理解ある会社が見つかる
適応障害はどう捉えてもネガティブ要素なので、合理的な意思決定ができる採用担当はまず避けます。「気にしないよ」なんて管理職は一人もいません。
特に人気企業ほど、候補者が多いぶん慎重な判断になりがちです。ほぼ落ちるので、どんどん求人に応募させられることになりますが、結果として辿り着くのは「あなたもなにかしら妥協する必要がある会社」だけです。
- 給料が低い会社
- 従業員のレベルが低い会社
- 人がすぐ辞めてしまう企業
適応障害を伝えるメリットの誤解②
自分の性質を知ってもらえる
「適応障害になった」と聞いた面接官からすると、環境要因なのか当事者要因なのかがわからないので、信頼関係が構築されていない以上、むしろネガティブに評価します。
以下のように誤解されてしまうかもしれません。
- ストレス耐性が低い(繊細)
- ストレスを感じやすい(神経質)
- 職務能力が低い
- タスク管理ができない
- コミュニケーションが苦手
- 体調管理ができない
- 一人で抱え込みやすい
適応障害を伝えるメリットの誤解③
転職理由を組み立てやすい
ストレスや不満のようにネガティブな出来事を起点として転職理由を組み立ててはいけません。必ずポジティブなものを起点にしてください。
なぜなら、転職理由がネガティブだと、仕事に対する前向きな姿勢や責任感を感じず「転職しても他責志向で不満ばかり言うのでは?」と思われるからです。
適応障害を伝えるメリットの誤解④
仕事で配慮をしてもらえる
「障害者雇用」なら配慮した仕事や環境を用意してくれますが「一般雇用」では配慮してもらえません。企業側には任せたい仕事があり、活躍できる人を雇います。スキルベースでの即戦力採用が中途採用の基本です。
ただでさえ管理職は、目標や日々の業務に追われて忙しいので、管理工数を増やされ、再発リスクがある人材をあえて部下にしたいとは思いません。
適応障害を伝えると転職で不利になる
結論として、適応障害を伝えると選考で不利になります。採用目線で考えたらわかりますが、ネガティブなことを言われたら警戒するのが人間です(適応障害に限った話ではありません)。
もちろん、適応障害だったからといって100%不採用になることはありません。採用担当が、職務適性を公平に評価し、適切なサポートや再発防止に向けた配慮が提供できると判断できれば、採用されます。
ただ、より最悪な未来を想定して、慎重にリスクを回避するのが管理職の仕事(危機管理と言います)なので、どうしても懸念はします。
適応障害を伝えると転職で不利になる理由①
再発を懸念されるため
人事界隈では一般論ですが、適応障害は高い確率で再発します。理由は下記の通りです。
- 本人が適応障害になりやすい気質
- 逃げ癖がつく(傷病手当金もあるので)
①本人が適応障害になりやすい気質
適応障害の原因は、職場環境だけでなく当事者にもあることが多いので、再発しやすいとされています。実際、適応障害と診断された方は、5年後にはうつ病などより重い精神疾患が診断されるケースも報告されています。
- ストレス耐性が低い(繊細)
- ストレスを感じやすい(神経質)
- 職務能力が低い
- タスク管理ができない
- コミュニケーションが苦手
- 体調管理ができない
- 一人で抱え込みやすい
もちろん、前職が劣悪な職場環境であったことを、客観的事実とともに示せるのであれば、懸念にはなりません。例えば、「職場で何人も休職している」「残業時間が6時間以上/日」など。
ただ反対に、転職しても適応障害が再発する可能性があると判断されれば、不採用となる可能性が高いです。「職場が変われば、絶対に大丈夫」であることを論理的に説明しましょう。
②逃げ癖がつく(傷病手当金もあるので)
心療内科に行った方ならわかると思いますが、割と簡単に診断書をもらえるので(特に大手)、嫌なことがあったら無責任に休むことも再発率を高める要因です。(正確には再発していませんが)
なぜなら、働かなくても、働いたときとほぼ手取り同額の「傷病手当金」がもらえるので、金銭的デメリットがないためです。誠実でない限り、すぐには戻りません。
まあ、仮病でもお金もらえるならそうですよね。傷病手当金がもらえるギリギリまで籍を置いてから、転職する方もいますね。
これらが、適応障害の再発を高める要因です。危機管理が仕事の管理職としては、どうしても慎重になってしまいます。少なからず不利にはなるでしょう。
適応障害を伝えると転職で不利になる理由②
管理職のコスト増加を懸念される
メンタル不調をおこした過去があると、採用したあとに管理職が配慮をしなくてはならないので、どうしても慎重になります。なぜなら、適応障害は再発するケースも多くみられるからです。
ただでさえ管理職は、事業数値への責任、経営陣や部下との板挟み、マルチタスクなどで、日常的に余裕がなく、メンタル不調になりやすいくらい大変なポジションです。事業運営がよほど順調でない限り、リスクは避けたいのが本音なんですよね。
適応障害を伝えると転職で不利になる理由③
職務・自己管理能力の低さを懸念される
残念ながら適応障害を伝えてしまうと、職務能力や自己管理能力が低いかも?と疑われることがあります。理由は下記の通りです。
- 職務・自己管理能力が高いプレイヤーは適応障害にならない
- 優秀なら企業がフォローするので転職しない
①職務・自己管理能力が高いプレイヤーは適応障害にならない
まず、プレイヤーとして職務能力や自己管理能力が高い人は適応障害になりません。なぜなら、仕事でそうそう困らない、かつ業務量やストレスを自分で管理して、自ら適切なコミュニケーションを取るからです。
「仕事ができる部下」を好きにならない管理職はいないので、なにかと優遇もされるはずです。プレイヤーである限り、働きやすい環境が手に入るでしょう。
ただ、管理職になってしまうと話は別です。管理職としての優秀さ以前に、自分でコントロールできない外的要因が多すぎるので、運が悪いと適応障害になり得ます。例えば、業績のプレッシャー、経営陣と部下の板挟み、マルチタスク、残業、など負担が大きいのです。
②優秀なら企業がフォローするので転職しない
優秀な人材なら、企業側が徹底的にフォローするので、すぐに転職する方はいません。休職中にも定期的に上司や人事との面談があり、復職に向けたプランもじっくりと検討してくれます。
さらに復帰した後も、再発に気を遣ってもらえるので、すごく楽になります。そのため、休職中や休職明け直後に転職活動をする方はそうそういません。
そもそも休職という制度は、「職場への復帰」を前提として、企業に籍を置きながらも、雇用契約で交わした「労働」を提供していない状態なので、職場へ復帰するつもりがないのは筋が通りません。復帰してから一定期間(半年以上)はいるイメージがありますね。
適応障害を伝えると転職で不利になる理由④
懸念を払拭するための説明が必要になる
最後に「採用後は大丈夫であること」を採用担当が納得するように伝えなくてはならないので、単純に面接のハードルが上がります。
適応障害になったことを伝えると、おそらく下記のようなことを聞かれるはずなので、明瞭かつ論理的に伝える必要があります。
- なぜ、適応障害になったのか
- 事前に回避はできなかったのか
- どういう状況のときにストレスを感じるか
- 新しい職場環境には何が必要か
- 転職で見極めるためにどうするのか
特に、適応障害は目に見えない症状なので、他人からは判断ができません。そのため、相手が納得できるように説明する必要があります。また、再発しないかを慎重に見極めるためにも、逆質問も事前に考え尽くされていなくてはなりません。
適応障害を伝えると転職で不利になる理由⑤
そもそも伝える義務もメリットがない
そもそも面接は「自分」という商品を企業にPRする場所です。にも関わらず、そこでネガティブなことをあえて自ら伝えるのは「営業センスがないかも?」と思われる可能性があります。
人によっては「配慮して欲しい」という“甘え”の表れでは?と厳しく捉える方もいるかもしれません。聞かれてもいないのに、自分から伝えるのは合理的ではないように思います。
もちろん、採用側が抱える全ての懸念を払拭できるくらいに論理武装できているのであれば、問題にはなりません。むしろ正直で誠実な印象を与えられることもあるでしょう。
適応障害は隠してもバレないのか
結論、「適切な対策」を講じれば、病名までバレることはまずありません。ただ、3ヶ月以上の休職をしていた場合、税金や年金の手続き上の「違和感」から、休職を疑われるリスクがあるため対策が必要です。
- 経路①源泉徴収票を提出して給与額からバレる
前職の源泉徴収票を提出すると、給与額が極端に少ないことから怪しまれる可能性がある
対策:会社に源泉徴収票を提出せず「自身で確定申告をする」と伝える - 経路②住民税の納税額が少ないことでバレる
住民税は前年の所得で決まるのでため、極端に低いと経理に怪しまれる可能性がある
対策:従業員でコントロールはできないが、経理は個人情報に興味はなく、上司が経理でもない限りほぼ安全
休職が転職先にバレるケース①
休職していると源泉徴収票で休職がバレる

転職をすると人事担当から前職の源泉徴収票を求められますが、支給額が少ないことで、給料が支給されていない期間(=休職期間)があったことがバレるので注意しましょう。
1ヶ月程度の欠勤なら「有給消化」で誤魔化せますが、適応障害だと2~3ヶ月と長期で休職をする場合が多いので、さすがに違和感をもたれます。
ただ、休職理由は知られない
会社に源泉徴収票を提出したとしても「休職期間があったこと」が知られるだけで「休職理由」までは知られません。
そのため、仮に休職理由を質問されても、正直に答えなければバレることはありません。(両親の介護で休職をしていた、等)
ただ、理由はどうあれ長期で休職していたこと(かつ面接で隠していた)が転職直後に知られると、今後の信頼関係に響くので、源泉徴収票を提出せずに休職そのものを隠すことをおすすめします。
源泉徴収票を提出しなければ休職はバレなくなる
会社に源泉徴収票を提出しなければ、休職期間があったことがバレることはなくなります。
そもそも源泉徴収票とは、その年の前職における総所得と納税額が記載されたもので、転職先で年末調整をおこなうための書類なので、年末調整を転職先でしなければ提出する必要がありません。
転職後に人事から提出を依頼されても「自分で確定申告をする」と伝えればOKです。
ほとんどないと思いますが、もし確定申告をする理由を聞かれたら「前職在職中の副業、株の売買益がある」とでも言いましょう。転職先が副業禁止なら、「現在は副業をやめている」旨を伝えれば大丈夫です。
源泉徴収票を提出しないと決めたら、入社初日に「ふるさと納税を利用しているので確定申告は自分で行います」などと人事に伝えておきましょう。年末になってから渋るよりも、最初から「そういう人」として認識させておく方が、事務手続きもスムーズに進みます。
源泉徴収票を提出しなければ自分で確定申告をする必要がある(翌年2/16~3/15)
年末調整を企業側でおこなわない場合、自身で確定申告をする必要がありますが、前職と転職先の源泉徴収票の情報をもとに、税務署に確定申告書を提出するだけです。
WEB上で確定申告書等作成コーナー(国税庁)で作成して提出するのが一番楽です。初めてでよくわからなければ、税務署で直接職員に質問しながら書類を作成すると良いでしょう。
慣れれば簡単にできますが不安かと思いますので、確定申告に関する手続き等(国税庁)を参考にしてみてくださいね。ちなみに直接税務署で質問した方がわかりやすいです。
ここまでの内容をまとめると、以下の通りです。
- 源泉徴収票を提出すると休職がバレる
あまり期間が長いと人事が現場に話す可能性あり - 休職理由はバレないが怪しまれるので、そもそも提出しないのがおすすめ
自身で確定申告をすれば提出する理由がなくなる
上記のようにすることで、源泉徴収票経由で「適応障害での休職」がバレることはなくなります。
一番注意すべきなのが「源泉徴収票」なので注意してくださいね。では次の注意点についても見ていきましょう!
休職が転職先にバレるケース②
住民税の納税額が極端に少ないと怪しまれる

サラリーマンの「住民税」は、前年の所得金額によって決まり、かつ企業の給与から自動で天引き(特別徴収)されるので、毎月の納税額が極端に少ないと、長期間の休職を疑われる可能性があります。
ただ、基本的に経理担当しか触れないので、直属の上司が経理を担当していない限りは知られることがなく、経理担当もあえて報告しません(他人の個人情報ですし報告する意味もないので)。
従業員は普通徴収(自分で納税)に変更できない
よくある勘違いですが、ネット上の間違った知識で「住民税を自分で払う設定(普通徴収)にすればバレない」というものがありますが、これは不可能です。
現在、ほとんどの自治体で、企業に勤める従業員の住民税は「特別徴収(給与天引き)」が義務付けられています。
副業禁止の会社であればなおさら、本業の給与にかかる住民税を自分個人で払うという選択肢は認められません。
<住民税の納付方法>
- 特別徴収(会社給与から天引き)
→正社員はこれ。変更も拒否もできない。 - 普通徴収(自分で納付する)
→基本的に個人事業主や、副業分のみ。
「切り替えられないなら詰んでいるのでは?」と思うかもしれませんが、安心してください。経理担当が、あなたの履歴書の年収までチェックして、住民税と突き合わせることは物理的に不可能です。
補足|副業や個人事業主なら普通徴収に切り替え可能

上記画像のように、確定申告書には「住民税の徴収方法」に関する項目があるので、「自分で納付」に◯をつけるだけです。
健康保険(傷病手当金)を受け取っていた場合はバレるのか?
傷病手当金を受け取っていても、健康保険組合から会社に病名が通知されることは、プライバシー保護の観点から制度上ありません。
傷病手当金の履歴でバレることはないので、安心してください。
隠していた適応障害が転職先にバレたらどうなる?
結論から言えば、過去の病歴を隠していたことだけを理由に、即座にクビ(解雇)になることはまずありません。
日本の労働契約法は非常に労働者側に強く、一度結んだ雇用契約を「過去の病歴」だけでひっくり返すのは、企業にとって極めてハードルが高いからです。
ただ、以下の3パターンに該当する場合だと「内定取り消し・解雇(退職勧奨)」の正当な理由にされるリスクがあるので注意が必要です。
- 休職中の転職活動だった場合
- 採用面接で虚偽の申告をしていた場合
- 入社後、すぐに再発・欠勤した場合
内定取り消し・解雇のリスク#1
休職中の転職活動だった場合
前職の休職中に転職活動をしていたことが発覚すると、企業によっては内定取り消しや解雇となる可能性があります。
もちろん発覚時点で完治しており、問題なく就業できている(かつ社内評価が高い)ようなケースでは気にされないことが多いですが、そうでない場合には注意が必要です。
もともと労働者は、一方的に解雇されることがないように法律(労働基準法や労働契約法、等)で守られていますが、「健康が著しく悪化している状態」を秘匿して労働契約を交わした場合、企業側の義務である「労働者の安全への配慮」を果たせないことを立て付けに、解雇される(自己都合退職を促される)可能性があります。
実際のところ、内定通知書の「内定取り消しの要項」として、健康状態の著しい悪化やそれに準ずる可能性を記載している企業は多く、業務成績が優れない場合は高い確率で離職を求められます。
そもそも休職は「現在の勤務先に復職すること」を前提として設けられている制度なので、休職中の転職活動は不誠実であり、評価が少なからず下がります。
内定取り消し・解雇のリスク#2
採用面接で虚偽の申告をしていた場合
採用面接で質問をされたときに虚偽の申告をしてしまうと「経歴詐称」に該当し、バレた場合、内定取り消し・解雇となるケースがあります。以下のような問答です。
- 過去休職していたことはありますか?
→いいえ、ありません(虚偽) - 過去メンタル不調で休職した経験はありますか?
→いいえ、ありません(虚偽)
実際、ほとんどの企業の就業規則では「入社時に虚偽申告をしていた場合、懲戒処分(解雇)の対象になる」といった旨が記載されています。
あなたの業績パフォーマンスが優れている場合であれば、懲戒処分にはせずに雇用し続けるべきである、と判断される可能性もありますが、経験上そうならないことの方が多いです。
内定取り消し・解雇のリスク#3
入社後、すぐに再発・欠勤した場合
「健康でバリバリ働ける」という前提で採用されたのに、入社直後に適応障害が再発し、まともに働けなくなった場合は注意が必要です。
就業状況を踏まえて、試用期間で契約を終了される可能性があるので留意しておきましょう。
適応障害後の転職活動の進め方(4step)
適応障害の再発リスクを下げるためには、復職・転職を急がず、段階的に進めることが重要です。転職活動は、次の4ステップで整理すると判断しやすくなります。
- ストレスの原因を把握する
- 復職後の勤務条件を検討する
- 産業医や職場と面談して復職する
- 復職後に様子を見て転職活動を始める
もし適応障害が完治していないなら
適応障害は、うつ病のような精神障害と異なり、ストレスの原因を断つことで完治に向かっていくので、まずは休職して回復に努めることをおすすめします。(→休職までの流れ)
ただ、やむを得ない事情で働き続けなくてはならない場合もあるかと思いますので、その場合はせめて親身に寄り添ってくれるエージェントを利用してください。
適応障害後の転職活動の進め方#Step1
ストレスの原因を把握する
適応障害は、特定のストレス要因を背景に症状が出ることが多いため、再発を防ぐには「何が負担だったか」を具体化しておくことが有効です。例えば、以下のように原因と対策候補を対応づけて整理します。
- Case1. 過労で適応障害
原因:仕事量・責任が過大
対策:業務量や役割、残業の上限調整 - Case2. 人間関係で適応障害
原因:上司を中心とした人間関係
対策:配属変更、業務分担の見直し、相談ルートの明確化
原因と対策を事前に整理しておくことで、復職後に同じ環境要因が再現されるのを避けやすくなります。
まだ言語化できていないストレス要因も整理する
自分では気づきにくい負担要因を整理したい場合は、「ストレスを感じる要素」を可視化するために「ミイダス」のコンピテンシー診断(無料)などのツールを参考にしてください。
<ミイダスのコンピテンシー診断結果>

※ミイダスのコンピテンシー診断
ストレス要因は大きく3つ(職場環境、仕事内容、人間関係)に分類されるので、どの領域の負荷が高いかを把握しておくと、復職条件や次の職場選びの軸が明確になります。
職場環境によるストレス要因
| ストレス要因 | 説明 |
|---|---|
| 変化、混沌 | ・先の予測できない環境に置かれる ・体制や仕事内容が急激に変化する |
| 突発的な出来事 | ・前もって計画を立てる時間がない ・アクシデントへの臨機応変な対応が必要 |
| ハードスケジュール | ・厳しい時間制限とプレッシャーがある ・余裕のないスケジュールを強いられる |
| 戦略や目標の欠如 | ・どこを目指しているのかが不明確 ・はっきりとした目標が与えられない |
| 上下関係の厳しさ | ・命令や上下関係に縛られる企業文化 |
| 評価されない | ・目標を達成しても評価されない ・評価に対する対価がもらえない |
| ぬるま湯体質 | ・結果が良くても悪くても評価が同じ ・周囲のやる気、向上心が低い |
| 自主的にできない | ・仕事の進め方を決める権利がない ・独自性が発揮できない |
| 意思決定に参画できない | ・物事が自分のいないところで決定される |
仕事内容によるストレス要因
| ストレス要因 | 説明 |
|---|---|
| 高度な分析力 | ・アウトプットに高いレベルを求められる ・論理的な根拠が求められる |
| 知的要素の不足 | ・知的好奇心が刺激されない ・興味のない仕事をする |
| ルーティーン | ・仕事の内容に変化が少ない ・定型業務を繰り返す |
| 創造的機会の欠如 | ・創造性を発揮できない ・新しいものを生み出せない |
| 難しい局面での決断 | ・必ず批判を伴う決断をする ・誰かの意見を否定する決断 |
人間関係によるストレス要因
| ストレス要因 | 説明 |
|---|---|
| 営業、交渉 | ・商材を売ったり、交渉したりする |
| 意見交換、調整 | ・他者との意見交換や連絡が必要 |
| 人間関係の葛藤 | ・意見や価値観が異なる人間がいる ・対人関係で緊張感がある |
| ドライな社風 | ・ビジネスライクな付き合いを求められる ・あたたかさや慣れ合いがない |
| 矢面に立つ | ・喜ばしくない事実を伝える損な役回りを請け負う |
| チームワークの強制 | ・周囲の人間と同じ歩幅で動かなくてはならない ・一人で動けない |
| 孤独な業務 | ・長い間、一人で働く ・他者と連絡を取る機会がない |
適応障害後の転職活動の進め方#Step2
復職後の勤務条件を検討する
休職を経て体調が回復し、主治医から復職可能と判断された場合は、次に復職後の勤務条件を具体的に検討します。
多くの場合は元の職場へ復帰しますが、人間関係や業務内容が発症要因だった場合は、同じ環境に戻ることで再発リスクが高まる可能性があります。
そのため、復職時には労働負荷を抑え、段階的に業務量を戻す配慮が重要です。具体的には、以下のような条件が検討対象となります。(参考:厚生労働省)
- 短時間勤務(残業なし、時短等)
- フレックスタイム制度の適用や制限
- 負担が重くない業務(軽作業や定型業務)
- 窓口業務、苦情処理業務などを避ける
- 部署異動、出張制限、転勤への配慮
- 管理職からスタッフ職への職務変更
あなたが適応障害を発症するに至った理由をふまえて、主治医と相談しながら、無理のない復職条件を整理し、企業側と調整することが重要です。
適応障害後の転職活動の進め方#Step3
産業医や職場と面談して復職する
主治医から「復職可能」とする診断書を会社へ提出した後は、産業医面談および職場(人事担当者や上司)との面談が行われるのが一般的です。
産業医面談では、診断書の内容や現在の体調を踏まえ、就業上の配慮が必要かどうかを確認します。医学的観点からの確認が中心であり、過度に構える必要はありません。
一方、職場との面談は、復職後の働き方を具体的に調整する場となります。そのため、事前に以下の点を整理しておくと、話し合いが進めやすくなります。
- 体調不良に至った主な要因(業務量・人間関係・働き方など)
- 復職にあたって必要な勤務条件や配慮事項
- 当面希望する業務内容や働き方
適応障害後の転職活動の進め方#Step4
復職後に様子を見て転職活動を始める
復職後しばらく経過し、業務や職場環境に慣れても転職を検討したい場合は、転職活動を進めると良いでしょう。復職後1か月前後を目安に、体調や業務負荷、職場との相性を冷静に振り返ることが重要です。
再発リスクを抑えるためには、「転職先企業への深い理解」と「自身の客観視」が重要なので、転職のプロ(転職エージェント)に相談して、無理のないペースで進めることをおすすめします。

