適応障害を経験すると、「これ以上負担が大きくなる前に、職場環境を変えたい」と考える方は少なくありません。
一方で、体調が十分に安定しないまま転職活動を進めると、転職活動による新たなストレスで症状が悪化したり、焦って選んだ転職先が合わなかったりする可能性もあるので、慎重に進める必要があります。
本記事では、適応障害を経験した後に転職を検討する際の考え方や、進め方のポイント、注意点について整理して解説します。
適応障害の症状回復前の転職はしないこと
まず注意すべきなのが「無理して転職活動を進めない」ことです。職場への抵抗感から転職先をすぐにでも探したい気持ちはわかりますが、まずは休んで回復に努めましょう。
なぜなら、転職活動そのものに大きなストレスがかかるので、適応障害の抑うつ症状が長引いたり、悪化したり(うつ病へ移行)する可能性があるからです。(研究によって幅はありますが、適応障害の診断後に、うつ病などより重い精神疾患が診断されるケースも報告されています。)
- 症状が悪化する可能性があるから(うつ病等)
- 転職活動で不利になるから
- 伝えれば休むよう言われて見送られる
- 隠して転職すると内定取り消しもある
- 心身の不調は面接官に伝わってしまう
- ゆとりを持って転職先を吟味できないから
- 傷病手当金をもらって休まないのは単純に損
適応障害の症状はあくまで一時的なものであり、休職を通じてストレス因を遮断すれば、6カ月以内に症状が軽くなるケースも多いため、まずは休みましょう。
- まだ回復していない
→休職までの流れ - すでに回復した
→適応障害後の転職活動の進め方4step
医師の診断書をもらえば、傷病手当金を受け取りながら休職することができるので、まずは完治させることに専念することが重要です。
「仕事に復帰して良い状態か」は医師の判断を仰いでください!
適応障害後の転職活動の進め方(4step)
適応障害の再発リスクを下げるためには、復職・転職を急がず、段階的に進めることが重要です。転職活動は、次の4ステップで整理すると判断しやすくなります。
- ストレスの原因を把握する
- 復職後の勤務条件を検討する
- 産業医や職場と面談して復職する
- 復職後に様子を見て転職活動を始める
もし適応障害が完治していないなら
適応障害は、うつ病のような精神障害と異なり、ストレスの原因を断つことで完治に向かっていくので、まずは休職して回復に努めることをおすすめします。(→休職までの流れ)
ただ、やむを得ない事情で働き続けなくてはならない場合もあるかと思いますので、その場合はせめて親身に寄り添ってくれるエージェントを利用してください。
適応障害後の転職活動の進め方#Step1
ストレスの原因を把握する
適応障害は、特定のストレス要因を背景に症状が出ることが多いため、再発を防ぐには「何が負担だったか」を具体化しておくことが有効です。例えば、以下のように原因と対策候補を対応づけて整理します。
- Case1. 過労で適応障害
原因:仕事量・責任が過大
対策:業務量や役割、残業の上限調整 - Case2. 人間関係で適応障害
原因:上司を中心とした人間関係
対策:配属変更、業務分担の見直し、相談ルートの明確化
原因と対策を事前に整理しておくことで、復職後に同じ環境要因が再現されるのを避けやすくなります。
まだ言語化できていないストレス要因も整理する
自分では気づきにくい負担要因を整理したい場合は、「ストレスを感じる要素」を可視化するために「ミイダス」のコンピテンシー診断(無料)などのツールを参考にしてください。
<ミイダスのコンピテンシー診断結果>

※ミイダスのコンピテンシー診断
ストレス要因は大きく3つ(職場環境、仕事内容、人間関係)に分類されるので、どの領域の負荷が高いかを把握しておくと、復職条件や次の職場選びの軸が明確になります。
職場環境によるストレス要因
| ストレス要因 | 説明 |
|---|---|
| 変化、混沌 | ・先の予測できない環境に置かれる ・体制や仕事内容が急激に変化する |
| 突発的な出来事 | ・前もって計画を立てる時間がない ・アクシデントへの臨機応変な対応が必要 |
| ハードスケジュール | ・厳しい時間制限とプレッシャーがある ・余裕のないスケジュールを強いられる |
| 戦略や目標の欠如 | ・どこを目指しているのかが不明確 ・はっきりとした目標が与えられない |
| 上下関係の厳しさ | ・命令や上下関係に縛られる企業文化 |
| 評価されない | ・目標を達成しても評価されない ・評価に対する対価がもらえない |
| ぬるま湯体質 | ・結果が良くても悪くても評価が同じ ・周囲のやる気、向上心が低い |
| 自主的にできない | ・仕事の進め方を決める権利がない ・独自性が発揮できない |
| 意思決定に参画できない | ・物事が自分のいないところで決定される |
仕事内容によるストレス要因
| ストレス要因 | 説明 |
|---|---|
| 高度な分析力 | ・アウトプットに高いレベルを求められる ・論理的な根拠が求められる |
| 知的要素の不足 | ・知的好奇心が刺激されない ・興味のない仕事をする |
| ルーティーン | ・仕事の内容に変化が少ない ・定型業務を繰り返す |
| 創造的機会の欠如 | ・創造性を発揮できない ・新しいものを生み出せない |
| 難しい局面での決断 | ・必ず批判を伴う決断をする ・誰かの意見を否定する決断 |
人間関係によるストレス要因
| ストレス要因 | 説明 |
|---|---|
| 営業、交渉 | ・商材を売ったり、交渉したりする |
| 意見交換、調整 | ・他者との意見交換や連絡が必要 |
| 人間関係の葛藤 | ・意見や価値観が異なる人間がいる ・対人関係で緊張感がある |
| ドライな社風 | ・ビジネスライクな付き合いを求められる ・あたたかさや慣れ合いがない |
| 矢面に立つ | ・喜ばしくない事実を伝える損な役回りを請け負う |
| チームワークの強制 | ・周囲の人間と同じ歩幅で動かなくてはならない ・一人で動けない |
| 孤独な業務 | ・長い間、一人で働く ・他者と連絡を取る機会がない |
適応障害後の転職活動の進め方#Step2
復職後の勤務条件を検討する
休職を経て体調が回復し、主治医から復職可能と判断された場合は、次に復職後の勤務条件を具体的に検討します。
多くの場合は元の職場へ復帰しますが、人間関係や業務内容が発症要因だった場合は、同じ環境に戻ることで再発リスクが高まる可能性があります。
そのため、復職時には労働負荷を抑え、段階的に業務量を戻す配慮が重要です。具体的には、以下のような条件が検討対象となります。(参考:厚生労働省)
- 短時間勤務(残業なし、時短等)
- フレックスタイム制度の適用や制限
- 負担が重くない業務(軽作業や定型業務)
- 窓口業務、苦情処理業務などを避ける
- 部署異動、出張制限、転勤への配慮
- 管理職からスタッフ職への職務変更
あなたが適応障害を発症するに至った理由をふまえて、主治医と相談しながら、無理のない復職条件を整理し、企業側と調整することが重要です。
適応障害後の転職活動の進め方#Step3
産業医や職場と面談して復職する
主治医から「復職可能」とする診断書を会社へ提出した後は、産業医面談および職場(人事担当者や上司)との面談が行われるのが一般的です。
産業医面談では、診断書の内容や現在の体調を踏まえ、就業上の配慮が必要かどうかを確認します。医学的観点からの確認が中心であり、過度に構える必要はありません。
一方、職場との面談は、復職後の働き方を具体的に調整する場となります。そのため、事前に以下の点を整理しておくと、話し合いが進めやすくなります。
- 体調不良に至った主な要因(業務量・人間関係・働き方など)
- 復職にあたって必要な勤務条件や配慮事項
- 当面希望する業務内容や働き方
適応障害後の転職活動の進め方#Step4
復職後に様子を見て転職活動を始める
復職後しばらく経過し、業務や職場環境に慣れても転職を検討したい場合は、転職活動を進めると良いでしょう。復職後1か月前後を目安に、体調や業務負荷、職場との相性を冷静に振り返ることが重要です。
再発リスクを抑えるためには、「転職先企業への深い理解」と「自身の客観視」が重要なので、転職のプロ(転職エージェント)に相談して、無理のないペースで進めることをおすすめします。
適応障害におすすめの転職エージェント
ここでは適応障害になった方向けの転職エージェントを紹介していきます。再発防止に向けて「一人ひとりに寄り添って、親身な相談をしてくれるかどうか」を重視して選ぶことにしましょう。
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