障害者雇用の配慮事項の書き方|応募前の整理メモと記入例

障害者雇用で伝える配慮事項は、診断名を並べることではなく、仕事で支障が出やすい場面・自分でできる工夫・企業に相談したい調整の3つに分けて整理するのが基本です。

この記事は、障害のある方が応募書類や面接の準備で「何を、どこまで、どう伝えるか」に迷う場面を想定しています。配慮事項を企業に伝わる形へ整理する手順を、書類・面接前の準備に絞って確認できます。

この記事の結論
  • 仕事で支障が出やすい場面を具体的にする
    診断名だけでなく、どの業務や環境で困りやすいかを整理します。
  • 自分の工夫と企業に相談したい配慮を分ける
    自分で対応できることと、企業に調整を相談したいことを整理します。
  • 書類は要点、面接では具体的な働き方を伝える
    履歴書・職務経歴書は簡潔にまとめ、詳しい運用方法は面接で補足します。
目次
編集 セオリーズ編集部

本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。

配慮事項は診断名ではなく「場面・工夫・相談」に分けて整理する

障害者雇用で伝える配慮事項は、診断名や症状名を並べるだけでは整理しきれません。応募前に見るべきなのは、仕事で支障が出やすい場面・自分でできる工夫・企業に相談したい調整の3つです。

たとえば「発達障害があります」だけでは、企業側はどの業務で何を調整すればよいか判断しにくくなります。

一方で、「口頭指示だと抜け漏れが出やすいため、重要な指示はチャットやメモでも確認できると正確に対応しやすい」と伝えれば、業務上の調整点が明確になります。

配慮事項を整理する3分割
  • 仕事で支障が出やすい場面
    どの業務・環境で困りやすいかを具体的にします。「電話対応」「急な予定変更」など、場面で整理しましょう。
  • 自分でできる工夫
    メモやチェックリストなど、自分で対応できる方法を整理します。過去にうまくいった工夫も参考になります。
  • 企業に相談したい調整
    自分の工夫だけでは難しい部分を整理します。指示方法や勤務時間、職場環境など、相談したい内容を具体化します。

配慮事項を整理する前に押さえたい3つの前提

配慮事項は、一方的な条件表ではなく、企業とすり合わせるための材料として整理します。最初に前提をそろえておくと、書類や面接での伝え方が落ち着きます。

整理前の3つの前提
  • すり合わせ材料として整理する
  • 診断名と業務場面を分ける
  • 働けるイメージまで添える

整理前の前提#1
配慮事項は企業とすり合わせる材料として整理する

合理的配慮の提供は、雇用分野で事業主の義務とされています(厚労省「雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮」)。そのうえで応募・面接の場面では、業務上の場面に落として企業とすり合わせる材料として整理すると伝わりやすくなります。

厚労省リーフレットでも、募集・採用時は障害のある方から支障や必要な配慮を申し出て、事業主と話し合う流れが示されています(厚労省リーフレット)。伝えるときは「できないこと」だけで終えず、「こう調整できれば対応しやすい」という形に整えます。

合理的配慮は、本人からの申出や職場で支障となっている事情をもとに、企業と話し合いながら具体的な方法を検討します。希望した方法がそのまま実施されるとは限らないため、必要に応じて代替案も考えておくと相談しやすくなります。

整理前の前提#2
診断名と業務場面を分けて記述する

診断名は重要な情報ですが、診断名だけでは業務上の支障は特定できません。同じ診断名でも、困りやすい場面、必要な支援、得意な業務は人によって異なります

書類や面接では、診断名の説明よりも「どの業務場面で」「どの程度」「どんな工夫や調整が必要か」を中心に整理します。

医療的な判断が必要な内容は、企業に断定的に求めるのではなく、主治医や支援者に確認したうえで伝える範囲を決めてください。

整理前の前提#3
その配慮があればどう働けるかまで書く

配慮事項は、配慮の内容だけでなく、その配慮があるとどのように働けるかまで添えると伝わりやすくなります。たとえば「残業はできません」だけでは、企業側が業務調整の見通しを持ちにくい場合があります。

「月末繁忙期は事前に業務量を確認できれば、優先順位を付けて対応できます」のように、働ける条件も合わせて示します。この書き方にすると、配慮事項が企業との対話につながりやすくなります。

「できないこと」と「こうすれば働けること」をセットで書くと、配慮事項が前向きな提案として読まれやすくなります。

配慮事項を整理する4ステップ

配慮事項は、最初からきれいな文章にしようとせず、書き出し、分類し、優先順位を付ける順で整理します。応募書類に入れる前に、整理メモを作るつもりで進めてください。

整理の4ステップ
  • 場面を書き出す
  • 3段階に振り分ける
  • 働けるイメージを添える
  • 書類と面接で分ける

整理の4ステップ#1
困った場面・調整した場面を書き出す

まずは、過去の職場、学校、訓練、日常生活で困った場面を具体的に書き出します。「電話対応が苦手」ではなく、「電話を受けながら同時にメモを取ると聞き漏らしが出やすい」のように場面で書きます

反対に、うまくいった場面も書きます。「事前に手順書があると正確に進められた」「短い休憩を挟むと午後も集中しやすかった」など、働ける条件の手がかりになります。

困った場面だけでなく、うまくいった工夫もセットで書き出すと、後で「自分で対応できる」項目に振り分けやすくなります。

整理の4ステップ#2
「必須/相談したい/自分で対応できる」に振り分ける

書き出した内容は、すべてを同じ重さで伝えるのではなく、「必須/相談したい/自分で対応できる」の3段階に分けます。ここでの分類は雇用枠を選ぶためではなく、応募書類と面接前の整理メモを作るための分類です。

「必須」はないと業務継続が難しい配慮、「相談したい」はあると働きやすいが代替案も考えられる配慮、「自分で対応できる」は企業に依頼しなくても自分の工夫で対応できる項目です。

区分考え方
必須ないと業務継続が難しい定期通院日の半休、車いす利用に必要な動線確認
相談したいあると安定しやすいが代替案もある重要な指示の文書化、業務量の優先順位確認
自分で対応できる企業への依頼ではなく自分の工夫で対応するタスク管理アプリの使用、休憩前後のセルフチェック

整理の4ステップ#3
必要な配慮に「働けるイメージ」を添える

必須または相談したい配慮には、働けるイメージを一文で添えます。「通院のため月1回の半休が必要です」だけでなく、「日程が事前に分かれば、前日までに担当業務を整理しておけます」と補足します。

企業側が知りたいのは、配慮の有無だけではなく、その配慮を前提に業務を任せられるかです。成果や役割に結びつく形にすると、面接でも説明しやすくなります。

困りごとと配慮、伝え方例を並べて整理すると、書類や面接でそのまま使える材料になります。次の表は、困りごとごとに「必要な配慮」と「伝え方例」をひとつのセットにした例です。

困りごと(場面)必要な配慮伝え方の例
口頭指示だけだと抜け漏れが出やすい重要な指示の文書化重要な指示はチャットやメモでも確認できると、抜け漏れを減らして対応できます
急な差し込みが多いと混乱しやすい業務量・優先順位の確認優先順位を確認できれば、期限順に整理して進められます
定期通院が必要通院日の半休・日程調整通院日を事前に共有できれば、前日までに担当業務を整理しておけます
強い光や音で疲労が出やすい座席位置の相談座席位置を相談できると、集中しやすい環境で業務に入れます

整理の4ステップ#4
書類で書く内容と面接で補足する内容を分ける

配慮事項は、書類にすべてを書き込む必要はありません。書類では重要度の高い項目だけを簡潔に示し、背景や運用イメージは面接で補足する形が現実的です。

細かい症状経過や医療情報まで書きすぎると、採用担当者が業務上の判断に使いにくくなることがあります。書類は要点、面接は具体例、エージェントや支援者には補足情報というように、相手ごとに深さを分けます。

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配慮事項の具体例を5つの項目別に紹介

配慮事項は、障害名別に固定で決まるものではありません。応募する職種や職場環境に合わせて、次の5つの項目から必要な配慮を整理します。

厚労省の合理的配慮指針でも、通院・体調への配慮、業務指示の明確化、作業手順の提示、感覚過敏への対応などを例として確認できます(厚労省「合理的配慮指針」)。

5つの項目別の具体例
  • 勤務時間・通院
  • 業務量・優先順位
  • 指示方法・コミュニケーション
  • 職場環境・感覚過敏
  • 体調変動・休憩

整理する項目#1
勤務時間・通院に関する配慮

勤務時間や通院に関する配慮は、採用前に優先して整理したい項目です。定期通院、服薬のタイミング、短時間勤務、時差出勤、残業上限などは、勤務条件や配属先に関わります。

伝えるときは、「月1回の通院があります」「通院日は事前に共有できます」のように頻度と見通しを分けましょう。勤務できる時間帯や繁忙期の対応も整理すると、企業側が調整範囲を考えやすくなります。

また、通院があると伝えることで不利にならないか不安になる方もいます。伝える際は、通院の頻度と事前共有のしやすさをセットで示すと、企業側も勤務調整の見通しを立てやすくなるでしょう。

入社後に必要となる配慮は、選考中から入社前までに運用イメージを共有しておくと、職場とのミスマッチを防ぎやすくなります。

整理する項目#2
業務量・優先順位に関する配慮

業務量や優先順位の配慮は、成果を出すための進め方として説明します。「急な差し込みが多いと混乱しやすい」だけでなく、「優先順位を確認できれば、期限順に対応できます」と書きます。

業務量の段階調整、納期の明確化、タスクの見える化、繁忙期前の相談などが候補になります。自分で行っている工夫もあわせて伝えると、企業側が具体的な調整方法を検討しやすくなります

整理する項目#3
指示方法・コミュニケーションに関する配慮

指示方法の配慮は、職場での認識違いを減らすために整理します。口頭指示、チャット、メール、チェックリスト、マニュアル、定例面談など、どの形だと正確に動きやすいかを確認します。

たとえば「重要な変更点は口頭だけでなくチャットでも確認できると、抜け漏れを減らせます」という伝え方です。雑談が苦手、曖昧な表現が苦手といった内容も、業務指示や確認方法の話に置き換えると伝えやすくなります

聴覚障害がある場合は筆談・チャット・メールなど、情報を受け取りやすい方法を具体的に整理するのも一例です。障害名から決めるのではなく、自分が業務上どの方法なら確認しやすいかを基準に考えます。

「苦手」をそのまま伝えるより、「どの形なら正確に動けるか」に置き換えると、企業が用意できる調整に結びつきます。

整理する項目#4
職場環境・感覚過敏に関する配慮

職場環境の配慮は、座席、音、光、人の出入り、設備、休憩場所などに分けて整理します。何が負担になり、どのような調整があると働きやすくなるかを具体的に考えましょう。

車いすを利用する場合は移動経路や机周りのスペース、視覚障害がある場合は職場内の配置や資料の確認方法なども、応募先の仕事内容に応じて整理しておきましょう。

感覚過敏がある場合は、症状名だけでなく、たとえば「強い蛍光灯の下では疲労が出やすいため、座席位置を相談できると集中しやすい」のように、負担になる環境と希望する調整をセットで伝えます

厚労省指針では、発達障害のある方への例として、感覚過敏を緩和するためのサングラスや耳栓の使用を認める対応も示されています。

整理する項目#5
体調変動・休憩に関する配慮

体調変動がある場合は、変動の有無だけでなく、予兆と対応方法を整理します。「体調に波があります」だけでは、企業側は判断しにくくなります。

「集中力が落ちる前に短い休憩を取ると回復しやすい」「午前中は比較的安定しやすい」など、業務調整に使える情報にします。休憩場所、休憩の取り方、連絡方法、業務の引き継ぎ方法まで考えておくと、面接で質問されたときに答えやすくなります。

体調の波は「変動する可能性」と「変動時の対応」を分けて書くと、不安を強調しすぎず、相談の前提として伝えられます。

配慮事項が整理できないときは「就労パスポート」を活用する

自分に必要な配慮をうまく言葉にできない場合は、厚生労働省の「就労パスポート」も参考になります。働くうえでの自分の特徴や希望する配慮を整理し、支援者や企業との情報共有に活用できるツールです。

就労パスポートのイメージ画像

引用元:厚生労働省「就労パスポート」

本記事では、就労パスポートの内容を参考に、配慮事項を「困りやすい場面・自分でできる工夫・企業に相談したい配慮・希望する働き方」の4つに整理して、具体的な記入例を紹介します。

配慮事項を考える4つの視点
  • 困りやすい場面|どの業務・環境で支障が出やすいか
  • 自分でできる工夫|自分で行っている対処や確認方法
  • 企業に相談したい配慮|安定して働くために相談したい調整
  • 希望する働き方|勤務時間・休憩・通院など働き方の条件

4つの視点で整理した内容は、就労パスポートの「体調管理と希望する働き方」「コミュニケーション面」「作業遂行面」などを記入する材料としても活用できます。一方、履歴書・職務経歴書にはすべてを書かず、仕事に関係する要点を選んで短くまとめましょう。

配慮事項の記入例
聴覚障害がある方の配慮事項の記入例

ここでは、聴覚障害があり一般事務の経験がある方を想定して、配慮事項の記入例を紹介します。同じ障害名でも必要な配慮は人によって異なるため、自分の仕事内容や困りやすい場面に置き換えて考えてください

以下は厚生労働省の就労パスポートを参考にしつつ、本記事で紹介している「困りやすい場面・自分でできる工夫・企業に相談したい配慮・希望する働き方」の4つに整理した架空の記入例です。

困りやすい場面の記入例

まずは、仕事のどの場面・環境で支障が出やすいかを書き出します。「聞こえにくい」だけでなく、会議や口頭指示など具体的な状況に置き換えるのがポイントです

  • 複数人が同時に話す会議では、発言者や内容を聞き分けにくいことがあります。
  • 周囲の話し声や電話が多い場所では、業務上必要な会話を聞き取りにくいことがあります。
  • 口頭だけで複数の指示をまとめて受けると、一部を聞き逃すことがあります。
  • 急な予定変更や重要な連絡を口頭だけで伝えられると、変更内容を正確に確認できないことがあります。

自分でできる工夫の記入例

次に、困りやすい場面に対して自分で行っている確認方法や対処を整理します。過去の職場でうまくいった方法があれば、具体的に書いておきましょう

  • 会話するときは、できるだけ相手の顔や口元が見える位置に移動しています。
  • 聞き取れなかった内容は推測で進めず、その場で聞き返して確認するようにしています。
  • 重要な指示や期限はメモし、タスク管理表にまとめて抜け漏れを防いでいます。
  • 自分の理解に不安がある場合は、「○○という認識で合っていますか」と内容を確認しています。

企業に相談したい配慮の記入例

自分の工夫だけでは対応しにくい部分は、企業にどのような調整を相談したいかまで具体化します。「配慮してほしい」だけで終わらせないことが大切です。

  • 重要な業務指示や予定変更は、メールやチャットなど文字でも確認できると助かります。
  • 会議では、できる範囲で複数人が同時に話さず、発言者が分かりやすい進行を希望します。
  • 主な指示・報告先を決めていただけると、質問や確認をスムーズに行いやすくなります。
  • 初めて担当する業務では、作業手順書や見本など文字・図で確認できる資料があると正確に進めやすくなります。

希望する働き方の記入例

勤務時間や休憩、通院など、安定して働くために確認しておきたい条件を整理します。できない条件だけでなく、対応できる範囲も一緒に示すと働き方をイメージしてもらいやすくなります

  • 通常の事務業務であれば、フルタイム・週5日の勤務を希望しています。
  • 長時間の会議など聞き取りに集中する業務が続いた場合は、短い休憩を取れると集中力を戻しやすくなります。
  • 基本的な事務業務に業務量の制限はありませんが、複数の依頼が重なった場合は優先順位を確認できると助かります。
  • 聴力の確認や補聴器の調整などで通院が必要な場合は、事前に日程を共有し、勤務時間や休暇を相談したいです。

記入例をそのままコピーする必要はありません。自分に当てはまる場面を選び、「困る場面 → 自分の工夫 → 企業に相談したいこと」がつながっているか確認しましょう。

応募書類へのまとめ方
整理メモから応募書類に書く配慮事項の例文を作る

整理メモに書き出した内容を、そのまますべて履歴書・職務経歴書へ記載する必要はありません。「困りやすい場面・自分でできる工夫・企業に相談したい配慮」から、仕事に関係する要点を選んで1〜2文にまとめます

ここでは、先ほどの聴覚障害がある方の記入例をもとに、整理メモから応募書類用の文章へまとめる流れを3例紹介します。

例1|口頭で複数の指示を受ける場合

整理メモ
  • 場面:口頭で複数の指示をまとめて受けると、一部を聞き逃すことがある
  • 工夫:聞き取れなかった内容はその場で確認し、重要事項はメモしている
  • 相談:重要な指示はメールやチャットでも確認したい

応募書類に書く例文

複数の指示を口頭で受けると一部を聞き取りにくいことがあります。重要な指示をメールやチャットでも確認できると、メモとあわせて正確に対応しやすくなります。

例2|会議や複数人で会話する場合

整理メモ
  • 場面:複数人が同時に話す会議では、発言者や内容を聞き分けにくい
  • 工夫:相手の顔が見える位置で会話し、不明な内容はその場で確認している
  • 相談:発言者が分かりやすい進行や座席位置を相談したい

応募書類に書く例文

複数人が同時に話す場面では内容を聞き取りにくいことがあります。会議では発言者が分かりやすい進行や、相手の顔を確認しやすい座席位置をご相談できると助かります。

例3|予定変更や優先順位の確認が必要な場合

整理メモ
  • 場面:急な予定変更を口頭だけで伝えられると、変更内容を正確に確認しにくい
  • 工夫:予定表やタスク管理表を更新し、期限や優先順位を整理している
  • 相談:重要な変更点や優先順位は文字でも確認したい

応募書類に書く例文

予定変更や複数の依頼が重なった場合は、変更点や優先順位を文字でも確認できると、タスクを整理して期限に沿って進めやすくなります。

整理メモは詳しく、応募書類は要点を簡潔にまとめるのがポイントです。すべての困りごとを書くのではなく、応募する仕事に影響する内容を優先し、詳しい運用方法は面接で補足しましょう。

書き方の注意点
伝わりにくい書き方はこう直す

配慮事項は、内容が同じでも書き方によって企業への伝わり方が変わります。診断名や要望だけで終わらせず、仕事への影響と必要な調整が分かる形に整えましょう

ここでは、応募書類で避けたい書き方と、先ほどの「場面・工夫・相談」を使った直し方を3例紹介します。

NG例1|診断名だけで配慮を求める

NG例:「聴覚障害があります。配慮をお願いします。」

障害名だけでは、どの業務で何を調整すればよいか企業側が判断しにくくなります。困りやすい場面と相談したい配慮まで具体化します。

複数の指示を口頭で受けると一部を聞き取りにくいことがあります。重要な指示をメールやチャットでも確認できると、正確に対応しやすくなります。

NG例2|希望する配慮だけを並べる

NG例:「会議では席を前方にしてください。重要事項はチャットで送ってください。」

要望だけを並べると、なぜその配慮が必要なのかが伝わりにくくなります。仕事への影響と、その調整があるとどう対応しやすいかを添えましょう。

複数人での会話では発言者を把握しにくいことがあります。会議では相手の顔を確認しやすい座席位置や、重要事項を文字でも確認できる方法をご相談できると助かります。

NG例3|業務に不要な医療情報まで詳しく書く

NG例:診断までの経緯や検査結果、治療内容などを詳しく記載する。

医療情報を詳しく書きすぎると、仕事上どの配慮が必要なのかが分かりにくくなることがあります。業務への影響と必要な調整に関係する範囲へ絞って整理します。

周囲の音が大きい環境では会話を聞き取りにくいことがあります。業務上重要な連絡は、必要に応じてメールやチャットでも確認できると助かります。

「障害名」や「してほしいこと」だけではなく、仕事で困る場面と必要な調整をセットで伝えるのがポイントです。詳しい背景や運用方法は、必要に応じて面接で補足しましょう。

就労パスポートには、「職務経験」「仕事上のアピールポイント」を整理する項目もあります。本記事では配慮事項に関わる内容を中心に扱っているため、これまでの経験やスキル、自己PRのまとめ方は、障害者雇用の職務経歴書の書き方で詳しく解説しています。

履歴書・職務経歴書に書く配慮事項と面接で補足する内容の分け方

配慮事項は、履歴書・職務経歴書と面接で同じ量を伝える必要はありません。書類では採用担当者が確認しやすい要点を示し、面接では働き方や配慮の具体的な運用方法を補足します

応募前に整理した内容をもとに、履歴書・職務経歴書、面接、支援者への相談で、どこまで詳しく伝えるかを分けておきましょう。

伝える深さの分け方
  • 履歴書・職務経歴書は要点だけ
  • 面接では具体的な運用イメージを補足
  • 支援者には詳しい整理メモを共有

伝える深さの分け方#1
履歴書・職務経歴書は要点だけ

履歴書・職務経歴書では、重要度の高い配慮事項に絞り、業務への影響と希望する調整を簡潔に記載します。詳しい経緯や具体的な運用方法は、面接で補足しましょう。

たとえば、「定期通院のため月1回半休を希望」「重要な業務指示は文書でも確認希望」「業務量の優先順位を確認できると対応しやすい」など、必要な配慮が伝わる内容を優先します。

伝える深さの分け方#2
面接では運用イメージと自分の工夫を補足する

面接では、書類に書いた配慮事項が実際にどう運用されると働きやすいかを説明します。企業は、配慮の内容だけでなく、業務上どのような影響があるかを確認します

そのため、「文書指示を希望します」に加えて、「確認内容をタスク管理表に落とし込むことで、期限管理は自分で行えます」と補足します。面接当日の回答例に広げすぎず、応募前にはこの補足材料をメモとして準備しておきます。

面接で配慮事項を話す順番や具体的な回答例は、面接での配慮事項の伝え方でも詳しく解説しています。書類に記載した内容をもとに、面接前の準備に活用してください。

伝える深さの分け方#3
エージェント経由・直接応募で共有の深さを変える

エージェントや支援機関を使う場合は、応募書類より詳しい配慮事項メモを共有しておくと相談しやすくなります。直接応募の場合は、書類と面接で伝える範囲を自分で設計する必要があります。

厚労省の合理的配慮指針では、募集・採用時に就労支援機関の職員等の同席を認めることが例として確認できます(厚労省「合理的配慮指針」)。第三者に相談できる場合は、企業へそのまま出す文章ではなく、整理用メモとして詳しめに作ってください。

支援者向けの詳しいメモと、企業に出す要点版を分けて持っておくと、応募先ごとに伝える深さを調整しやすくなります。

\配慮体制を企業ごとに確認したい方はこちら/

応募前に配慮事項を最終チェックする

配慮事項を整理したら、応募前に「企業が働き方をイメージしやすい内容になっているか」を確認します。特に、要望だけが並んでいないか、自分の工夫を添えられているか、業務に不要な医療情報まで書いていないかを見直しましょう。

チェック観点確認すること直し方の例
条件表になっていないか「してほしいこと」だけが並んでいないか配慮があればどう働けるかを一文添える
自分の工夫があるか過去にうまくいった対応を説明できるか進捗確認やチェックリストなどの実例を添える
医療情報が過剰でないか業務に直接関係しない診断・症状経過まで書いていないか業務への影響と必要な調整を中心に整理する

すべてを詳しく説明する必要はありません。仕事への影響・自分でできる工夫・企業に相談したいことが分かる状態になっていれば、応募書類や面接でも伝えやすくなります。

配慮事項の整理に関するFAQ

最後に、配慮事項を整理するときに迷いやすい点を確認します。

よくある疑問#1
Q. 配慮事項は何項目くらい書けばよいですか?

配慮事項の項目数に決まった基準はありません。応募書類では、仕事を続けるうえで特に重要な配慮から優先して記載すると分かりやすくなります。

必須の配慮を中心にまとめ、詳しい背景や相談したい内容は面接で補足できるよう整理しておきましょう。

よくある疑問#2
Q. 書類に書かないと選考で不利になりますか?

書類にどこまで書くかは、応募枠、求人内容、必要な配慮の重さによって変わります。障害者雇用枠では、配慮事項の共有を求められる場面があり、事前に整理しておくと採用担当者の確認に対応しやすくなります

一般枠で開示する場合も、業務継続に関わる配慮は早めに整理しておく必要があります。不利かどうかだけで判断せず、入社後に働き続けるために必要な情報かどうかで考えてください。

よくある疑問#3
Q. 体調変動で必要な配慮が変わる場合はどう書けばよいですか?

体調変動がある場合は、「変動する可能性」と「変動時の対応」を分けて整理します。たとえば「季節の変わり目に体調が不安定になりやすいが、早めに相談できれば業務量を調整しやすい」という形です。

厚生労働省の合理的配慮指針でも、障害の状態や職場の状況は変化することがあるため、必要に応じて職場で支障となっている事情を確認することが示されています。入社後の見直しも前提に整理しておきましょう。

よくある疑問#4
Q. 自分の特性をうまく説明できない場合はどうすればよいですか?

自分だけで整理するのが難しい場合は、厚生労働省の「就労パスポート」を活用する方法もあります。働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などを、支援機関と一緒に整理するためのツールです。

企業へ必ず提出する書類ではないので、まずは自己理解や支援者との情報共有に使い、必要な内容を応募書類や面接へ反映していくとよいでしょう。

よくある疑問#5
Q. 配慮事項は履歴書・職務経歴書のどこに書けばよいですか?

応募先から記載欄を指定されている場合は、その欄に記入します。指定がなければ、履歴書の本人希望記入欄・備考欄や、職務経歴書の末尾などにまとめる方法があります。

すべてを詳しく書く必要はなく、仕事に影響する点と必要な配慮を簡潔に記載し、具体的な運用方法は面接で補足すると伝わりやすくなります。

よくある疑問#6
Q. 配慮事項には障害名や診断名も書く必要がありますか?

配慮事項として、障害名や診断名を詳しく説明することが目的ではありません。応募先から記載を求められている場合は必要な範囲で伝えますが、仕事への影響と必要な配慮を具体的に示すことを優先しましょう。

症状経過や服薬などの医療情報は、業務や配慮の検討に必要な範囲に絞って整理すると伝わりやすくなります。

よくある疑問#7
Q. 配慮事項は応募書類・面接・内定後のいつ伝えればよいですか?

伝えるタイミングは、必要な配慮の内容によって変わります。面接や採用試験を受けるために必要な配慮は、準備期間も考えて早めに相談しましょう。

入社後の働き方に関わる重要な配慮も、必要に応じて書類や面接までに要点を共有し、具体的な運用方法は内定後も確認しておくとミスマッチを防ぎやすくなります。

詳しいタイミングは、面接での配慮事項の伝え方でも解説しています。

まとめ|配慮事項の整理は「場面・工夫・相談」の3分割から始める

障害者雇用で伝える配慮事項は、診断名を詳しく説明することではありません。仕事で支障が出やすい場面、自分でできる工夫、企業に相談したい調整に分けることで、書類や面接で伝えやすくなります。

最初はすべてを書き出し、その後で「必須」「相談したい」「自分で対応できる」に分けてください。書類では要点を短く、面接では働けるイメージと自分の工夫を補足します。

雇用枠の選び方に迷う場合は、障害者雇用枠と一般枠の違いを先に確認してください。制度としてどのような配慮を相談できるのか詳しく知りたい方は、合理的配慮とは?転職活動で確認するタイミングも参考にしてください。

配慮事項を整理できたら、希望条件や職務経歴も確認しながら応募準備へ進みます。障害者雇用の転職準備と基本の流れでは、求人探しから書類・面接・入社調整までの進め方をまとめています。

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