ロクイチ報告は、毎年6月1日現在の障害者雇用状況を、対象事業主がハローワークへ報告する手続きです。
書き方の出発点は、6月1日時点の人数を固定し、常用雇用労働者、障害のある労働者、雇用率、提出方法を同じ基準でそろえることです。
この記事では、企業の人事・労務担当者向けに、ロクイチ報告の準備、記入順、提出前チェック、間違えやすい場面を整理します。
本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。
ロクイチ報告とは
ロクイチ報告とは、障害者雇用状況報告を指す実務上の呼び方です。
基準日が毎年6月1日であるため、社内で「6月1日報告」「ロクイチ報告」と呼ばれることがあります。
| 項目 | 確認する内容 | 実務で残すもの |
|---|---|---|
| 基準日 | 毎年6月1日現在 | 基準日時点の人員データ |
| 対象事業主 | 2026年6月基準では従業員40.0人以上 | 制度用の常用雇用労働者数 |
| 提出期限 | 原則7月15日まで | 提出日、提出方法、控え |
| 提出先 | 管轄ハローワークなど | 提出先、担当者、問い合わせ記録 |
- 6月1日時点の人数で集計する
- 対象判定は制度上の常用雇用労働者数で見る
- 様式や記入要領は年度ごとの最新版を使う
- 障害に関する情報は必要最小限で扱う
出典:厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等」/厚生労働省「高年齢者・障害者雇用状況報告の提出について」(2026年5月28日確認)
提出前に集めるデータ
ロクイチ報告は、様式を開いてから考えるより、先に根拠データをそろえる方が正確です。
特に、給与計算用の人数と制度上の人数は一致しない場合があります。
| 準備するもの | 見るポイント | 確認例 |
|---|---|---|
| 従業員一覧 | 6月1日時点の在籍、雇用見込み | 人事台帳、雇用契約書 |
| 労働時間 | 週30時間以上、週20時間以上30時間未満 | 所定労働時間、シフト |
| 障害のある労働者の情報 | 区分、勤務時間、確認資料 | 本人同意を前提にした確認記録 |
| 会社情報 | 事業主名、所在地、法人番号、担当者 | 登記情報、社内連絡先 |
| 提出方法 | 電子申請、郵送、来所 | GビズID、e-Gov、提出先 |
準備#1
人員データを基準日に合わせる
最初に、6月1日時点の人員データを固定します。
5月末や6月末の一覧を混ぜると、入退社や休職の扱いで報告基準がずれます。
準備#2
短時間労働者の扱いを分ける
週所定労働時間によって、人数の数え方は変わります。
週20時間以上30時間未満の短時間労働者は、原則として0.5人で扱う点を先に確認します。
準備#3
障害に関する情報の扱いを決める
障害に関する情報は、報告に必要な範囲で確認します。
本人に確認する場合は、目的、利用範囲、保管場所、閲覧できる担当者を明確にします。
出典:厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等」/ハローワーク福井「障害者雇用の促進に向けて」(2026年5月28日確認)
ロクイチ報告の書き方
書き方は、事業主情報、常用雇用労働者数、障害のある労働者数、雇用率の順に整理すると迷いにくくなります。
実際の欄名や様式番号は、年度ごとの記入要領で確認します。
書き方#1
事業主情報と提出単位を書く
事業主名、所在地、法人番号、担当者、電話番号などを確認します。
特例子会社や関係会社の認定がある場合は、単独会社と提出単位が変わることがあります。
書き方#2
常用雇用労働者数を書く
正社員だけでなく、1年を超えて雇用される見込みのある契約社員やパートも確認します。
雇用契約の更新見込み、所定労働時間、短時間労働者の0.5カウントを分けて整理します。
書き方#3
障害のある労働者数を書く
障害のある労働者は、様式や記入要領の区分に沿って整理します。
重度障害、短時間勤務、特定短時間労働者などは、カウント方法が変わる場合があります。
書き方#4
雇用率と不足人数を確認する
従業員数と障害のある労働者数を整理したら、実雇用率と不足人数を確認します。
民間企業の法定雇用率は2026年5月時点で2.5%です。2026年7月から2.7%へ引き上げられます。
ロクイチ報告では6月1日時点の状況を正確に書き、7月以降の管理は別表で確認します。
出典:厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等」/愛知労働局「障害者を雇用する義務とは」(2026年5月28日確認)
提出方法の選び方
提出方法は、電子申請、郵送、来所のいずれかで考えます。
どの方法でも、6月1日時点のデータ、確認者、控えの保存先を先に決めることが重要です。
| 提出方法 | 向いている場面 | 事前確認 |
|---|---|---|
| 電子申請 | 郵送や来所の負担を減らしたい | GビズID、電子署名、e-Govの利用環境 |
| 郵送 | 紙の控えと社内決裁を合わせたい | 提出先、到着日、控えのコピー |
| 来所 | 窓口で確認したい項目がある | 管轄ハローワーク、受付時間、持参物 |
提出方法#1
電子申請は様式を取り違えない
厚生労働省は、障害者雇用状況報告の電子申請を6月1日より申請可能と案内しています。
一方で、掲載されているExcelやPDF様式は電子申請には使用できないものがあります。
提出方法#2
紙提出は控えと期限を管理する
郵送や来所で提出する場合は、最新様式、提出先、控えの扱いを確認します。
社内承認が必要な企業では、7月15日から逆算して確認者と決裁日を予定に入れます。
出典:厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等」/厚生労働省「障害者雇用状況報告の電子申請による提出」(2026年5月28日確認)
間違えやすい注意点
ロクイチ報告では、人数の計算だけでなく、基準日、本人情報、似た制度の違いを混同しないことが大切です。
注意点#1
基準日以外の人数を混ぜない
報告は、毎年6月1日現在の状況で作成します。
6月2日以降の入社や退職、6月末時点の人数を混ぜると、報告内容がずれます。
注意点#2
障害に関する情報を広げすぎない
報告のために障害に関する情報を扱う場合は、本人のプライバシーに配慮します。
現場に必要以上の情報を共有したり、申告を強く迫ったりする運用は避けます。
注意点#3
納付金や相談員選任と分ける
障害者雇用状況報告、障害者雇用納付金、障害者職業生活相談員の選任は、確認する基準が違います。
例えば、状況報告の対象だからといって、直ちに納付金の対象になるわけではありません。
出典:ハローワーク福井「障害者雇用の促進に向けて」/JEED「障害者雇用納付金制度の概要」(2026年5月28日確認)
具体例
ロクイチ報告で迷いやすい場面を、企業の実務に近い形で整理します。
具体例#1
従業員が境界に近い会社
正社員などが39人、週20時間以上30時間未満の短時間労働者が2人いる会社では、短時間労働者を0.5人で数えます。
算定上は39人と1.0人で40.0人です。2026年6月基準では、報告対象に入る可能性があります。
具体例#2
基準日の翌日に入社した人がいる会社
6月2日に入社した人は、原則として6月1日現在の人数には含めません。
ただし、7月以降の雇用率管理や採用計画では、その入社を別表で反映します。
具体例#3
確認資料が古い会社
障害のある労働者を雇用していても、確認資料や勤務時間の情報が古いままのことがあります。
この場合は、現場へ広く照会せず、人事が目的と範囲を説明したうえで必要な確認を行います。
提出前チェックリスト
提出前は、数字だけでなく、根拠資料、提出方法、提出後の対応まで確認します。
- 6月1日現在の人数で集計している
- 常用雇用労働者と短時間労働者を分けている
- 障害のある労働者の確認情報を必要最小限で扱っている
- 提出方法に合った様式や入力画面を使っている
- 提出期限、提出先、控えの保存先を決めている
- 未達成の場合の採用計画と定着支援を次の予定に入れている
未達成の場合は、報告だけで終えず、採用計画、業務切り出し、求人票、入社後面談まで分解します。
人数を満たすことだけを急ぐと、採用後のミスマッチや定着不安につながります。
よくある質問
最後に、ロクイチ報告の書き方で質問になりやすい点を整理します。
FAQ#1
ロクイチ報告は誰が書くべきですか?
人事や労務の担当者が中心になります。
ただし、従業員数、勤務時間、本人情報、社内承認が関係するため、給与・勤怠担当とも連携します。
FAQ#2
障害のある労働者がいない場合も必要ですか?
対象事業主に該当する場合は、障害のある労働者が0人でも6月1日現在の状況として整理します。
雇用していないことを理由に、対象判定や提出確認を省略しないようにします。
FAQ#3
記入に迷った場合はどこへ確認しますか?
最新の記入要領を確認したうえで、管轄のハローワークへ相談します。
特例子会社、グループ算定、出向、休職、短時間勤務などは、社内判断だけで進めない方が安全です。
まとめ
ロクイチ報告の書き方は、6月1日現在の人数を固定し、制度上の人数に整理することが出発点です。
2026年6月基準では従業員40.0人以上に該当するかを確認し、原則7月15日までに提出します。
最新様式、プライバシー配慮、提出後の改善計画までセットで管理すると、翌年の対応にもつながります。
