特例子会社とは「障害者のみを集めたグループ会社」であり、配慮が行き届き居心地が良いメリットがある反面、低賃金で仕事が単調なデメリットがあります。
本記事では、特例子会社で働くメリットやデメリット、一般企業との比較を通じて、特例子会社をおすすめできる条件を、網羅的に解説します。
本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。
特例子会社とは
特例子会社とは、その子会社に雇用されている障害者を、親会社を含むグループ全体の実雇用率に算定できる子会社のことです。以下の要件を満たす必要があります。
▼特例子会社の認定要件(一部抜粋)
①雇用される障害者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上であること。
②雇用される障害者に占める重度身体障害者、知的障害者及び精神障害者の割合が30%以上であること。
③障害者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有していること。(具体的には、障害者のための施設の改善、専任の指導員の配置等)
上記からわかるように、特例子会社では①多くの障害者の雇用促進、②障害者が働きやすい環境や体制を用意することが、ルールとして定められています。
- ほとんどの従業員が障害者
- 重度身体障害、知的及び精神障害者が30%以上
- 障害に配慮した設備や制度、指導員がいる
- 大都市に多く、地方には少ない傾向がある
- 大企業の子会社なので、ハズレな職場が少ない
- 良い会社ほど空きが出ないから募集されない
実際、障害を持った方がたくさん集まり、配慮の行き届いた施設環境が用意されているので、障害を抱えながらも働きやすいことが特徴です。
特例子会社はそもそも400社ほどしかないうえに、増員されることもないのでほとんど募集は出ません。倍率が高いので、狙うなら法定雇用率が引き上がるタイミングがおすすめです。
一般企業(障害者雇用枠)との違い
特例子会社と一般企業(障害者雇用枠)との明確な違いは、働いている障害者の割合(人数)と、障害者が働きやすい職場環境(施設や制度)の充実度、です。
特に、特例子会社は障害者メインの会社ということもあり、社内に存在する仕事は「単純作業」が中心で、年収やスキルは上げにくいかもしれません。
| 特例子会社 | 一般企業 | |
|---|---|---|
| 従業員 | 障害者が多い | 障害者は少ない |
| 配慮環境 | ◎設備等は充実 | △職場次第 |
| 仕事内容 | ×単純作業 | △職種次第 |
| 給料 | ×とても低い | △基本低め |
| スキル | ×上がらない | △意欲次第 |
| 採用企業 | 大企業の子会社 | 大〜中小企業 |
このように、特例子会社は一般企業に比べて、年収やスキルアップはしにくいものの、より安定して長く働くことができる可能性が高いことが特徴です。
特例子会社で働く“メリット”
ここでは特例子会社で働くメリットを詳しく解説します。企業で差はありますが概ね以下の通りです。
特例子会社で働くメリット①
障害への配慮や環境が整っていて安定して働ける
特例子会社で働く一番のメリットは、さまざまな障害に合わせた配慮や仕事内容の調整をしてもらえるので、安定して働きやすいことです。
- 勤務時間(時短やフレックス制)
- 仕事内容(難易度や業務量は各人ごとに調整)
- 相談体制(精神保健福祉士や支援スタッフ配置)
- バリアフリー対応(トイレ等)
- 外部支援機関との連携 等
また、個別に配慮内容を相談して無理なく業務を進められるようにしてもらえるので、精神や発達障害といった障害でも安心して就業できます。
いくつか口コミを見てみましょう。
今回私が勤務しているのは障害者雇用に特化した特例子会社なのですが、かなりゆっくり進めていただいているので、本当に助かっています。配慮やサポート体制も一般就労より理解がありそうです。
引用元:X(旧Twitter)
給与面で折り合いがつくなら、障害者雇用は強くお勧めします。業務量、相談体制の配慮が十分に行き届いてます。心の穏やかに働ける可能性が高いと思います。ただ、給与面ではいろいろ考えないといけないかもしれません。
出典:アンケート調査(集計期間:2024年7月~2026年4月)
このように、業務や配慮、サポート面に関するポジティブな口コミは多く見られました。特に、民間企業とは違い、特例子会社では従業員に合わせて仕事内容が決められるのがポイントです。
特例子会社で働くメリット②
周囲に障害者しかいないので居心地が良い
特例子会社は、周りにいるほとんどの従業員が障害者なので、多くの方にとって居心地が良いことがメリットです。
反対に、民間企業だと、周りには健常の社員がたくさんいるので、一人だけ残業せず帰ったり、特別扱いをしてもらったりすることに引け目を感じてしまうものです。
実際、人間は、自身と共通点のある相手に親近感を抱くので(心理学では「類似性の法則」と言います)、同じ境遇の障害者が集まっている職場の方が、良好な人間関係を作りやすいかもしれません。
特例子会社で働くメリット③
大企業傘下だと福利厚生が充実している
また、特例子会社の多くは、大企業傘下のグループ企業なので、福利厚生が充実していることもメリットです。(会社によりますが)
口コミ|福利厚生が充実している
特例子会社に正社員として転職しました。
土日休みで残業もなく、研修中ですが理不尽な指示やハラスメントもありません。有給もすでに使えており、働きやすい環境だと感じます。
本来は、こうした環境が一般企業でも当たり前になってほしいですね。
引用元:サイト内アンケート
一般企業の障害者枠での就職だと、その企業はあくまで健常の労働者がメインなので、企業や上司によって当たり外れがあります。
特に中小企業で障害者雇用の実績が少ない会社だと、まともに配慮をしてもらえず、ただ給料が安いだけ、なんてこともあるので注意してください。
特例子会社で働く“デメリット”
ここでは特例子会社で働くデメリットを詳しく解説していきます。企業で差はありますが概ね以下の通りです。順に見ていきましょう。
特例子会社で働くデメリット①
とにかく給料が低い
特例子会社の一番のデメリットは、なによりも給料が低いことです。時給換算で最低賃金スタートで、手取り10万円のこともあります。
下記グラフは、特例子会社の平均年収を分布したものになりますが、時短勤務等あるとはいえ、年収の低さは一目瞭然。約80%が年収250万円以下です。

実際にネットでの口コミを見てみても、給料の低さに関するネガティブなコメントが一番多く寄せられていました。一部を紹介していきます。
特例子会社の求人を見るたびに、あまりの給与の低さにドン引きしてしまい、結局応募する気がなくなってしまいます。
出典:アンケート調査(集計期間:2024年7月~2026年4月)
特例子会社に勤めているADHDの友人から、給与明細を見せてもらったのですが、手取りが12万円ほどでした。
出典:アンケート調査(集計期間:2024年7月~2026年4月)
このように、特例子会社は給与が低いことが特徴です。3級だと障害年金をもらうことができないので、実家暮らしでないと生活が厳しくなります。
実際、特例子会社で募集している職種の多くが「事務補助」や「清掃作業系」といった単純作業になるので、時給が最低賃金ギリギリとなりやすい傾向にあります。
特例子会社で働くデメリット②
単純作業が多く、専門スキルが身につかない
特例子会社のデメリット2つ目は、単純作業が多く専門スキルが身につかないということです。
実際、特例子会社で募集している職種の集計データをみたところ、多い順で「事務補助(79.1%)」「清掃管理(50%)」「製造作業(23.5%)」と単純作業系が上位を占めています。

出典:野村総合研究所(2018年12月)
※複数回答を認めているので合計が100%を超える
このように、仕事そのものに求められる専門性が高くはないので、どんなに経験を積んだとしても昇給しにくく、転職でも評価されません。
特例子会社で働くデメリット③
他の様々な障がい者に配慮をする必要がある
特例子会社だと、さまざまな障害を持った方が働いているので、自分も他の障害者に配慮する必要があり、関係性構築が難しいと感じるケースがあります。
身体障害の方であれば見ればわかるのですが、知的や精神障害の場合だと、本人から言われない限りわからないので、配慮のしようもありません。
障がいをオープンにして就職するか、クローズにして働くかで悩んでいます。クローズの場合は当然、障がいへの配慮は期待できません。
一方でオープン、特に特例子会社だと、自分の障がいには配慮してもらえる反面、周囲もさまざまな障がいを抱えているため、自分も他の障害の人に配慮しなければならないと思います。出典:アンケート調査(集計期間:2024年7月~2026年4月)
ある特例子会社では、過去2年間で健常者の管理職が5名も退職しています。
「理解がある」とされる特例子会社であっても、発達障がいのある方の対応が難しく、結果的に職場全体の人材育成に影響してしまうケースもあるようです。出典:アンケート調査(集計期間:2024年7月~2026年4月)
クローズ勤務の人間関係で病んだ人、特例子会社で働くとユニークな同僚たちとの関係で病みがち。
引用元:X(旧Twitter)
このように、人間関係に関するネガティブな口コミは多く見られました。
特例子会社は、給与の低さを許容してでも配慮を求めたい障害者の申し込みが多いので、より繊細な障害の方が多く、人間関係で困ることも少なくはありません。(職場次第ですが)
特例子会社がおすすめな人
ここまで紹介してきた特例子会社のメリットとデメリットをあらためて再掲すると下記の通りです。
- 配慮した環境が整っていて安定して働ける
- 周囲に障害者しかいないので居心地が良い
- 大企業傘下だと福利厚生が充実している
- とにかく給料が低い
- 単純作業が多く、専門スキルが身につかない
- 他の様々な障がい者に配慮をする必要がある
このように、配慮が行き届いた環境で安定して働きやすい反面、給料が低くスキルが身につかないというデメリットがあるのが特例子会社です。
そのため、特例子会社は、年収やスキルアップを一定妥協してでも、居心地の良い環境で安定して働きたいという方におすすめできます。
一方で、障害が軽度で、まだ年収やスキルアップを諦めたくないなら、民間企業の障害者雇用枠で探すようにしましょう。
特に、3級だと障害年金をもらえないので、特例子会社だと給料が低くて生活が厳しくなるかもしれません。現在、一人暮らししている(できるくらいに軽い)なら特例子会社はおすすめしません。
- 専門分野でスキルアップしたい
- たくさん働いて年収を上げていきたい
- より仕事熱心な人と働いて刺激を得たい
特例子会社と一般企業(障害者雇用枠)のどちらで働くかによって「職場の居心地や働きやすさ」「年収やスキルアップのしやすさ」が変わるので注意しましょう。
特例子会社と一般企業ならどちらがおすすめ?
結論として、居心地の良い環境で安定して働きたいなら特例子会社、障害が軽度で年収やスキルアップを諦めたくないなら一般企業の障害者雇用枠がおすすめです。
- 特例子会社がおすすめな人
①体調や働きやすさを重視したい
②給料を上げるよりも長期就業したい
③他の障害者と助け合って働きたい - 一般企業がおすすめな人
①専門分野でスキルアップしたい
②たくさん働いて年収を上げていきたい
③より仕事熱心な人と働いて刺激を得たい
特例子会社と一般企業のどちらで働くかによって「職場の居心地や働きやすさ」「年収やスキルアップのしやすさ」が変わるので注意しましょう。
特に、3級だと障害年金をもらえないので、特例子会社だと給料が低くて生活が厳しくなるかもしれません。一人暮らしなら民間企業をおすすめします。
とはいえ企業や求人によって大きく変わる部分はあるので、悩んだら両方とも受けてみて自分に合いそうなところに就職するというのも一つの手ですよ!
条件の良い特例子会社への転職を狙うなら
特例子会社で条件の良い求人を狙うのであれば、転職エージェントと呼ばれる職業紹介会社のサポートを受けることをおすすめします。
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