障害者雇用でキャリアアップする方法|昇給・正社員登用・転職の判断基準

障害者雇用の就職・転職ガイドのチェックリストと企業比較カード

障害者雇用のキャリアアップは、昇給だけでなく、仕事の幅・役割・雇用形態・働く時間を自分の希望に近づけることです。今の会社で実現できる場合もあれば、異動や転職が適する場合もあります。

この記事を読めば、現職で確認する項目と、転職へ切り替える判断基準がわかります。

目次
編集 セオリーズ編集部

本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。

障害者雇用のキャリアアップとは

障害者雇用のキャリアアップとは、無理なく働き続けながら、職務・役割・処遇の選択肢を広げることです。

管理職になることだけがキャリアアップではありません。担当業務を増やす、専門性を高める、等級を上げる、勤務時間を延ばすなど、目標は人によって異なります。

まず「何を変えたいか」を分けると、会社へ確認する内容が明確になります。

キャリアアップの種類目指す変化先に確認すること
昇給・賞与基本給、手当、賞与を上げる評価基準、査定時期、昇給実績
職域拡大定型業務から判断を伴う仕事へ広げる任せられる業務、研修、業務分担
役割・等級リーダー、教育担当、専門職を目指す等級要件、登用例、責任と権限
雇用形態契約・パートから正社員を目指す登用制度、応募条件、過去の実績
勤務時間短時間勤務から時間を延ばす段階的な延長、職務、処遇の変化
転職より合う職務・処遇・環境へ移る求人要件、総報酬、配慮、評価制度

進み方は「現職で昇給する」「社内で異動・役割を変える」「転職する」の3つです。最初から1つに決める必要はありません。

経路向いている状況主な利点主な注意点
現職で昇給・登用制度と基準があり、上司の回答が具体的配慮や人間関係を大きく変えずに進める制度があっても運用実績がなければ待ち続けることがある
社内異動・職域拡大会社には選択肢があるが、今の部署では仕事が限られる勤続を保ちながら別職種を試せる異動先で配慮が引き継がれるか確認が必要
転職目標に合う職務や等級が社内にない職務・処遇・働き方をまとめて変えられる新しい環境で配慮が再現できるか見極めが必要

厚生労働省の障害者雇用対策基本方針は、希望・適性・能力を考慮した配置や、多様な職務経験、教育訓練の重要性を示しています。ただし、具体的な昇給や異動が自動的に保証されるわけではありません。会社の制度と運用を個別に確認することが出発点です。※1

障害者雇用で昇給・登用が進みにくい原因

昇給や登用が進まない原因は、本人の意欲だけでなく、職務・評価・研修を設計する会社側の条件にもあります。

「もっと努力すれば上がれる」と考える前に、自分で整理できる情報と、自分だけでは変えられない制度を分けましょう。

次の左右の列は1行ずつ対応するものではなく、それぞれ独立した確認項目です。

会社側の条件本人が整理・確認できる情報
等級・評価基準が障害者雇用の職務に対応していない希望する職務、役割、働き方
担当できる業務の種類が少ない現在できる業務と習得中のスキル
非正社員向けの研修・登用機会が少ない件数、時間、品質などの実績記録
管理者や教育担当が不足している必要な配慮と自分で対応できること
登用制度はあるが、要件や実績が不明確安定して働ける時間、場所、業務量
配慮と成果評価の分け方が整理されていない次の面談で確認したい質問と期限

障害者職業総合センターの調査研究報告書No.184は、2024年に一般企業10,000社と特例子会社598社を対象に調査しました。有効回答は一般企業2,100社、特例子会社195社です。

一般企業では、共通の昇進・昇格・賞与等基準を適用した割合が正社員65.7%、非正社員37.9%でした。業務実績を踏まえた人事評価は55.9%と29.4%、キャリア相談は31.5%と17.4%です。※2

これは回答企業の取組状況であり、正社員と非正社員の能力差を示す数値ではありません。むしろ、雇用形態によって評価・育成の機会が異なる会社があることを示します。制度がない問題を、本人の努力だけで埋めることは困難です

昇給・登用の壁#1
合理的配慮と成果評価は両立する

合理的配慮は、働くうえで支障になる事情を調整し、能力を発揮できる条件を整えるためのものです。たとえば、指示を文書でもらう、休憩場所を調整する、通院時間を相談するなどが考えられます。

配慮を受けることと、成果を評価しないことは同じではありません。配慮後の条件で、合意した職務の品質・納期・役割をどう評価するかを話し合えます。

雇用分野では障害者差別が禁止され、事業主には合理的配慮の提供義務があります。ただし、配慮は過重な負担にならない範囲で、本人と事業主の話し合いを通じて個別に決まります。希望した方法が難しい場合は、理由と代替案を確認しましょう。※3※4

現職でキャリアアップできるか確認するチェックリスト

現職で可能性を判断するには、制度の有無だけでなく、適用条件・実績・回答期限まで確認しましょう。

次の表は、そのまま面談メモとして使えます。「不明」が多い場合は、誰がいつ回答するかまで書いてください。

確認項目質問回答・証拠期限
評価基準今の職務は何を基準に評価されますか就業規則、評価表、面談記録次回査定前
昇給・賞与査定時期と直近の運用例はありますか制度名、対象者、実施時期人事回答日
等級・役割次の等級に必要な職務と成果は何ですか職務記述書、等級要件目標設定時
正社員登用応募条件、選考、登用実績はありますか制度規程、直近の実績応募期限前
無期転換自分の申込権発生日と転換後の条件は何ですか契約書、就業規則契約更新前
職域拡大試せる業務、研修、支援担当はありますか試行期間と担当者1〜3か月
社内異動応募できる部署と配慮の引継ぎ方法は何ですか社内公募、異動面談公募前
勤務時間段階的な延長と処遇変更は可能ですか時間、業務、賃金の案見直し面談
配慮現在の配慮は職務変更後も続けられますか合意内容、代替案変更前
キャリア相談上司以外に相談できる担当者はいますか人事、産業保健、支援者必要時

現職チェック#1
正社員登用と無期転換は別の制度

正社員登用は、会社が定める制度・選考を通じて正社員へ転換する仕組みです。登用後は、職務、勤務地、賃金、賞与、退職金などが変わる可能性があります。

一方、無期転換は、同じ会社(同一の使用者)との有期労働契約が更新され、通算5年を超えた場合に申し込める制度です。申込みが成立すると契約期間が無期になりますが、正社員化や待遇改善を自動的に意味しません。※5

比較正社員登用無期転換
主な目的会社の正社員区分へ移る有期契約を無期契約へ変える
条件会社の制度・選考による法律上の要件を満たして労働者が申し込む
会社の判断選考結果により登用されない場合がある有効な申込みを使用者は断れない
待遇正社員規程に沿って変わる可能性がある契約期間以外は原則として直前の条件が続く
確認事項実績、要件、試験、登用後の職務・処遇申込権発生日、申込方法、転換後の就業規則

パートタイム・有期雇用労働法は、事業主に対し、正社員募集の周知、社内公募への応募機会、転換試験など、転換を進める措置のいずれかを求めています。

ただし、実際の転換までを保証する制度ではありません。自社がどの措置を採っているかを人事へ確認しましょう。※6

現職で昇給・役割拡大を目指す方法

現職でのキャリアアップは、目標を決め、制度と実績を結び、期限付きで会社の回答を確認する順に進めます。

「昇給したい」だけでは、上司も次の行動を示しにくいものです。希望する変化と、それに必要な職務・成果を1枚にまとめてから面談へ進みましょう。

この章の進め方
  • 実績記録を1枚にまとめる
  • 6ステップで制度と実績を結ぶ
  • 上司・人事へ判断条件を質問する

現職で進める方法#1
先に実績記録を1枚作る

次のテンプレートをコピーし、自分の業務に置き換えてください。数字が出しにくい仕事は、対応範囲、再現性、引継ぎ、周囲の負担軽減で表せます。

項目書く内容記入例
現在の担当定常業務と臨時業務請求書入力、月次集計、問い合わせ一次対応
変化前以前の件数・時間・課題月200件、確認に月6時間、差戻し月8件
行動工夫、学習、相談、配慮調整手順書を更新し、チェック欄を追加
変化後件数、時間、品質、範囲月260件、確認4時間、差戻し月3件
再現性継続できた期間や条件4か月継続。繁忙期も同手順で対応
次の希望担当したい仕事や役割新任者への手順説明を担当したい
必要な条件配慮、研修、支援者指示は文書併用、初月は週1回レビュー

現職で進める方法#2
進め方は6ステップ

ステップ行動完了の目安
目標を1つ決める昇給、正社員、職域、異動などを分ける「何をいつまでに」が1文になった
制度を確認する評価表、等級、登用、異動、研修を確認する制度名と担当者がわかった
実績を記録する量・質・時間・範囲・再現性を残す3か月程度の変化を説明できる
配慮を見直す新しい職務で必要な調整を整理する必要な条件と代替案を言える
面談で合意する次の職務、評価指標、支援、期限を決める双方の行動が議事メモに残った
期限後に判断する実行状況と求人を比較する継続・異動・転職の次手を決めた

実績を定量化するときは、売上だけを探す必要はありません。業務ごとに測れるものを選びます。

業務定量化の例数字だけでは不足する補足
データ入力処理件数、誤入力、差戻し、所要時間難しい案件の範囲、繁忙期の安定性
清掃・軽作業完了区画、作業時間、再作業、欠品安全確認、手順変更への対応
総務・事務問い合わせ件数、締切遵守、集計時間他部署との調整、引継ぎ可能性
IT・制作チケット、修正回数、納期、障害件数設計・レビュー・顧客対応の範囲
教育・リーダー教えた人数、独り立ちまでの期間手順の標準化、相談対応の質

現職で進める方法#3
上司・人事に確認する質問

面談では、希望だけでなく「次に何を満たせば判断できるか」を聞きます。回答が抽象的なら、具体化する質問を重ねてください。

確認ポイント
  • 私が希望する役割は、どの職務・等級に当たりますか。
  • 次の査定までに、どの成果をどの水準で示せばよいですか。
  • 評価する人は誰で、いつ、何を見て判断しますか。
  • 試行できる業務と、試行期間はありますか。
  • 必要な研修、OJT、資格支援はありますか。
  • 同じ雇用区分から昇給・登用・異動した実績はありますか。
  • 現在の配慮は、新しい役割でも継続できますか。
  • 難しい場合、理由は制度・職務・時期のどれですか。
  • 次回までに、会社と私がそれぞれ行うことは何ですか。
  • 次の判断日はいつにしますか。

会話例は、「正社員になりたいです」だけで終えず、次の形にします。

今後は月次集計まで担当し、次の等級を目指したいと考えています。直近4か月の処理件数と差戻しを記録しました。次の査定までに必要な職務と評価水準、試行できる業務を確認させてください。

配慮の調整や上司との話し合いが難しい場合は、本人の同意を前提に、社内の相談窓口や支援者へ同席を相談する方法もあります。社外では、ハローワークや障害者就業・生活支援センターにも相談できます。

第三者は昇給を決める人ではなく、希望と職務条件の整理を支える役割です。相談前に、困っている場面、会社へ確認済みの内容、希望する着地点を1枚にまとめておくと、話し合いの目的がぶれにくくなります。

現職継続・異動・転職の判断基準

判断は在籍年数ではなく、目標に届く制度・実績・期限があるかを、同じ項目で比べて行います。

転職するか迷うときは、現職を感情だけで否定せず、候補先を期待だけで高く評価しないことが大切です。どちらにも同じ質問を当てましょう

判断軸現職を続ける材料異動を試す材料転職準備を進める材料
目標希望する職務・等級が現在部署にある他部署に希望職務がある社内に希望職務がない
制度の有無評価・昇給・登用制度を確認できる社内公募や職種転換がある制度がない、対象外が明確
運用実績同じ雇用区分の実績がある異動後の活躍例がある制度名だけで実績・要件を示せない
回答の具体性職務、水準、担当者、日付が決まる異動条件と試行方法が決まる「頑張れば」「様子を見る」が続く
期限次の査定・登用時期が明確公募・試行の時期が明確判断日を置いても回答や行動がない
総報酬基本給、賞与、手当、退職金等を含め改善する異動後の処遇を確認できる外部求人の総報酬が条件に合う
配慮現在の配慮が機能している異動先へ引き継ぐ方法がある必要な配慮と職務が両立する求人がある
再現性実績を安定して続けられる新部署でも強みを使える他社でも説明できるスキル・成果がある
健康への影響継続しても生活・通院・休息を保てる段階的に環境を変えられる待つことで不調や生活悪化が続く

たとえば、会社が「半年後の登用試験」「必要な職務」「評価者」を示し、業務を試せるなら、現職で検証する価値があります。一方で、制度がなく、役割も増えず、期限を決めても回答が変わらないなら、求人比較を始める合理的な理由になります。

退職を決めてから求人を見る必要はありません。現職の回答と外部求人を並べて初めて、残る利点と移る利点を比較できます。

転職でキャリアアップする準備と企業選び

転職でキャリアアップするには、現職への不満を、次の会社で必要な職務・制度・配慮へ変換します。

「給料が低い」なら、希望年収だけでなく、担当したい仕事、評価される成果、働ける条件まで整理してください。求人票の月給だけでは、長期的なキャリアを判断できません。

この章の進め方
  • 求人を同じ表で比較する
  • 面接で制度の運用を確かめる
  • 障害者雇用枠と一般求人を分けて考える

転職準備#1
求人を同じ表で比較する

比較項目求人A求人B現職
具体的な担当業務
入社後に広げられる業務
雇用形態・契約更新
評価基準・査定時期
昇給・賞与・手当
正社員登用の要件・実績
研修・OJT・資格支援
勤務時間・在宅・休暇
必要な配慮と代替案
総報酬と自己負担
通勤・生活への影響

総報酬では、基本給に加え、賞与、手当、退職金、交通費、在宅勤務費用などを確認してください。勤務時間が増えて月収が上がる場合は、時間単価と生活への影響も比べましょう。

障害者雇用の求人票で確認すべきポイントでは、仕事内容や雇用条件の読み方を詳しく整理しています。

転職準備#2
面接で制度の運用を確かめる

面接では、配慮をお願いするだけでなく、入社後に仕事を広げる仕組みを確認しましょう。すべてを一度に聞く必要はありません。求人票に書かれていない重要項目から選んでください。

確認ポイント
  • 入社後3〜6か月で期待される担当範囲を教えてください。
  • この職種は、何を基準に評価されますか。
  • 評価面談と昇給査定は、いつ、誰が行いますか。
  • 同じ求人区分から担当業務が広がった例はありますか。
  • 正社員登用制度の対象、要件、選考時期、直近実績を教えてください。
  • 共通研修と職種別研修へ参加できますか。
  • リーダー、教育担当、専門職へ進む経路はありますか。
  • 配慮内容は誰と、どの頻度で見直しますか。
  • 配慮と担当職務の変更は、どのように合意しますか。
  • 入社前に職場見学や業務説明の機会はありますか。

回答は「制度があります」で終わらせず、対象者・条件・時期・実績まで聞きます。ただし、個人情報に当たる他社員の詳細を求める必要はありません。

転職準備#3
障害者雇用枠と一般求人を分けて考える

障害者雇用枠は、配慮を前提に職務や選考が設計される求人が中心です。一般求人でも、障害を開示して配慮を相談する方法があります。非開示で応募する場合は、会社が把握していない事情への配慮を受けにくくなる点を考える必要があります。

どの応募経路でも、職務要件と評価基準を確認することが基本です。障害者雇用枠・オープン就労・一般求人の違いも、応募経路を決める前に確認してください。

企業ごとの公開情報を比較するなら、D-Navi企業データベースが使えます。求人選びを一人で進めにくい場合は、障害者向け転職エージェントの比較で支援範囲を確認しましょう。

ケース別のキャリアアップ戦略

同じ「キャリアアップ」でも、現在の雇用形態・勤務時間・職種によって確認する順番は変わります。

各ケースで、制度名より「実際に何が変わるか」を確認してください。

この章の進め方
  • 契約社員・パートから正社員
  • 特例子会社で役割拡大
  • 短時間勤務から時間延長
  • 専門職・高年収
  • 一般求人への応募

ケース別戦略#1
契約社員・パートから正社員を目指す場合

最初に、正社員登用制度の対象かを確認しましょう。応募条件、選考内容、実施時期、登用後の職務・勤務地・処遇を聞いてください。制度があるだけでなく、同じ雇用区分・職種からの実績があるかも判断材料です。

無期転換の申込権がある場合でも、正社員登用とは分けて考えます。無期転換で契約期間の不安を減らしつつ、正社員登用へ別に応募する運用も考えられるため、就業規則と人事の説明を照合してください。

確認したい質問は、「次回の登用選考はいつか」「必要な職務は何か」「登用されなかった場合に再応募できるか」の3点です。回答が具体的なら、期限までに実績を作れます。

ケース別戦略#2
特例子会社で役割を広げたい場合

特例子会社だから昇進できない、または配慮が充実しているとは一律にいえません。受託業務、等級、研修、リーダー職、親会社・グループ会社との人事交流は会社ごとに異なります。

JEEDの事例には、障害のある社員がチームリーダー等を担う企業もあります。ただし、これは個別企業の取組です。応募先でも同じ制度がある根拠にはなりません。※7

面談では、「担当できる業務の上限」ではなく、「次に任せる業務」「必要なスキル」「評価後の役割」を聞きましょう。親会社への転籍や異動を希望する場合は、制度・実績・雇用主の変更を個別に確認してください。

ケース別戦略#3
短時間勤務から勤務時間を延ばす場合

勤務時間の延長は、月収だけでなく、担当職務と回復時間がどう変わるかを確認しましょう。最初からフルタイムにせず、週の勤務日数や1日の時間を段階的に試す方法もあります。

判断材料は、延長後も出勤・集中・通院・生活を保てるかです。会社とは、試行期間、業務量、休憩、評価、元の時間へ戻す条件を事前に決めてください。

時間だけ増えて職務・時給・評価機会が変わらない場合もあります。「何時間増えるか」と同時に、「何を担当し、処遇へどう反映するか」を確認しましょう。

ケース別戦略#4
専門職・高年収を目指す場合

高い処遇につながりやすいのは、資格の数ではなく、会社が必要とする職務を安定して担えることです。IT、経理、法務、設計、データ分析などでは、専門スキルに加え、成果物と担当範囲を説明できることが重要です。

資格を選ぶときは、求人要件に書かれているか、取得後に担当業務が変わるか、評価・手当の対象かを確認してください。資格だけで昇給や採用が決まるわけではありません。

たとえば「簿記を取る」ではなく、「月次決算補助を担当し、締め作業を再現できる状態を目指す」と置き換えます。職務と成果へ接続できれば、現職と転職先の両方で説明しやすくなります。

ケース別戦略#5
一般求人へ応募する場合

一般求人では、職務要件が広く、経験や専門性を直接評価される機会があります。一方で、配慮の相談方法や入社後の支援体制は求人ごとに確認が必要です。

障害を開示する場合は、「診断名だけ」ではなく、業務上の支障、自己対処、必要な配慮、配慮後にできることを整理します。転職時の合理的配慮の伝え方も準備に使えます。

非開示を選ぶ場合は、必要な配慮なしで職務を続けられるかを慎重に考えてください。入社後に開示へ切り替え、業務上必要な配慮を相談することもできます。その場合は、支障となる場面と希望する調整を整理して話し合います。

応募区分の優劣ではなく、職務と配慮を両立しやすい経路を選ぶことが大切です

障害者雇用のキャリアアップでよくある質問

制度の名称だけでは判断しにくい疑問を、現職と転職の両方から整理します。

配慮を受けると評価が下がりますか

配慮を受けることだけで評価が下がると一律にはいえません。配慮は、能力を発揮するうえでの障壁を調整するものです。配慮後の条件で、どの職務と成果を評価するかを上司・人事と確認してください。

正社員登用と無期転換は同じですか

同じではありません。正社員登用は会社の正社員区分へ移る仕組みです。無期転換は、有期契約を期間の定めのない契約へ変える制度で、正社員化や待遇改善を自動的に意味しません。

特例子会社では管理職になれませんか

特例子会社という区分だけでは決まりません。リーダーや管理職の制度がある会社も、職務が限定される会社もあります。等級、役割、過去実績、人事交流を企業ごとに確認してください。

資格を取れば昇給できますか

資格だけで昇給が決まるとは限りません。評価対象となる資格か、資格取得後に担当業務が広がるか、手当や等級に結び付くかを先に確認しましょう。

何年待ってから転職すべきですか

一律の年数では決められません。目標、必要条件、会社の行動、判断日を決め、その期限までに変化があるかを確認してください。制度も回答もなく、待つことで健康や生活への負担が続くなら、在職中に求人比較を始める方法があります。

一般求人へ応募してもよいですか

応募できます。障害を開示して配慮を相談するか、非開示で応募するかは、職務要件と必要な配慮を踏まえて決めます。一般求人だから配慮を相談できないと一律に考える必要はありません。

面談で昇給をどう切り出せばよいですか

希望額だけでなく、実績と次の職務をセットで伝えましょう。「直近4か月の実績をまとめました。次の等級に必要な職務と評価水準、判断時期を確認したいです」と切り出すと、具体的な話につなげやすくなります。

まとめ|90日で次の一手を決める

障害者雇用のキャリアアップでは、自分の努力と会社の制度を混同しないことが大切です。希望と実績を整理しても、評価制度や職務がなければ現職だけでは進めません。反対に、条件と期限が具体的なら、すぐ転職せず現職で試す余地があります。

期間行動成果物
0〜30日目標を1つ決め、制度・評価・登用・異動を確認する現職チェックリスト
31〜60日実績を記録し、必要な配慮と次の職務を面談する実績記録、議事メモ
61〜90日会社の回答と外部求人を同じ表で比べる継続・異動・転職の判断

現職の制度を確認する前に求人も見ておくと、会社の条件を相対化できます。D-Navi企業データベースで企業情報を確認し、支援が必要なら転職サービスの登録案内も活用してください。

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参考資料#1
出典・参考資料

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