障害者はその特性や症状により、さまざまな困難を抱えて生活しています。障害者だと転職/就職は難しいと言われますが、なぜでしょうか。
この記事では、障害者の雇用統計などのデータから「転職が難しい」と言われる理由、そして対策までを網羅的に解説していきます。
- 障害者の転職はまだ難しい
申込後の就職率43.1%と高くはない。障害者雇用は求人が少ないので、長期就業の経歴がない場合や年齢によっては難航しやすい - エージェントを使わないと出遅れやすい
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本記事は、有料職業紹介事業許可(13-ユ-317587)を取得しているセオリーズ株式会社の編集部が、各社の公式情報・求人情報・公的資料等を確認したうえで作成しています。
障害者の転職はどれくらい難しいのか
改善されてきてはいますが、まだ障害者の就職は難しく、現時点では申し込みをした『41.4%』しか就職していない現状にあります。
障害者雇用の実情①
障害者の申込後就職率は41.4%
厚生労働省の統計情報によると、障害者の“申込後の就職率は41.4%”と、まだ就職は難しいという状況にあります。
下記グラフは、2011年から2025年までの障害者の「求職申込数」と「就職件数」及びこれらをもとに算出した「申込後の就職率」の推移です。

※厚生労働省のデータをもとに作成
このように、障害者雇用促進の流れを受けて、申込件数と就職件数は増えていますが、申込後の就職率は41.4%と高くはありません。(単純計算では、申し込んだ人のうち58.6%は就職に至っていないということです。)
障害者雇用の現状:
障害種別にみた雇用者の年齢構成
以下の表は厚生労働省のデータを整理したものですが、身体障害者は、50歳以上の雇用者が多い傾向にあります。
右にスクロール可能です→
| 20-24歳 | 25-29歳 | 30-34歳 | 35-39歳 | 40-44歳 | 45-49歳 | 50-54歳 | 55-59歳 | 60-64歳 | 65歳以上 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体障害 | 2.5% | 3.8% | 4.7% | 7.8% | 6.3% | 11.8% | 15.8% | 16.3% | 13.0% | 17.4% |
| 知的障害 | 25.0% | 18.1% | 18.0% | 9.2% | 8.0% | 5.1% | 8.6% | 2.6% | 1.9% | 0.5% |
| 精神障害 | 9.5% | 15.1% | 13.4% | 12.2% | 12.3% | 12.1% | 15.7% | 5.8% | 2.6% | 0.8% |
| 発達障害 | 23.1% | 21.4% | 16.7% | 8.4% | 3.9% | 6.4% | 12.9% | 1.6% | 1.4% | 0.6% |
身体障害者の雇用義務化がされたのは1976年以降と歴史があるので、身体障害者は、50代の雇用者が多い傾向にあります。(知的障害者は1998年から)
障害者雇用の実情②
民間企業で働く障害者は増加傾向
障害者雇用促進法が改正(内容は後述)されて以降、精神障害者の方も法定雇用率に加算されるようになったので、民間企業で働く障害者は増加傾向にあります。
<雇用されている障害者の推移>

※厚生労働省 令和7年 障害者雇用状況の集計結果より編集部作成
※雇用義務のある民間企業(2023年までは43.5人以上、2024~2025年は40人以上)における雇用人数
上記のグラフのように、2025年6月1日時点の実雇用率は2.41%で、当時の法定雇用率2.5%には届いていませんでした。なお、法定雇用率は2026年7月1日から2.7%に引き上げられています。
精神障害者の就職が増えている理由
特に、精神障害者の方の就職数が大きく増えている理由は、障害者雇用促進法の改正(2018)で、障害者雇用の算定基準が変更されたからです。
- 精神障害者が「障害者雇用義務」の対象に加わる
- 一定の条件を満たす精神障害者の短時間勤務について、1人分として算定する特例が設けられた
- 民間企業の法定雇用率が「2.0%→2.2%」に変更(その後も段階的に引き上げられ、2024年4月から2.5%、2026年7月からは2.7%に引き上げられました)
上記の変更(特に①②)に伴い、民間企業が精神障害者を雇用するメリットが増えたので、2018年を基点として障害者雇用がグッと加速する結果となりました。
障害者雇用の実情③
法定雇用率は2026年7月から2.7%に引き上げられた
法定雇用率とは、企業の従業員数に応じて、一定割合以上の障害者雇用を義務付けた制度のことです。基準を満たさない場合、納付金(罰則)が発生します。(厚生労働省)
2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.7%に引き上げられました。対象企業の目安も、常用労働者37.5人以上に広がっています。
- 1988年4月:1.6%
- 1998年7月:1.8%
- 2013年4月:2.0%
- 2018年4月:2.2%
- 2021年3月:2.3%
- 2024年4月:2.5%
- 2026年7月:2.7%
2026年7月から2.7%に引き上げられたため、企業の採用ニーズは今後も一定程度続くと考えられます。
障害者の就職が難しい理由
障害者の就職が難しいとされる理由を一言でいうと、障害者を募集する求人が足りていないためで、その背景となる理由は下記の通りです。
障害者の就職が難しい理由①
障害への配慮が簡単ではないため
障害者の就職が難しい理由1つ目は、障害の種類が多岐に渡るので、それぞれの理解と受け入れ体制を整えることが簡単ではないためです。
例えば、身体障害なら、視覚障害/聴覚障害/肢体不自由/内部障害などさまざまありますよね。
<障害ごとに必要な配慮が異なる>
- <身体障害>
障害にあわせてオフィスの設備やソフトを用意する必要がある。体制が整っていない場合は、受け入れることができない。ただ、設備が整ってしまえば、比較的受け入れられやすい。 - <精神障害>
症状が目に見えず配慮が難しい。うつ病等の気分障害では再発への配慮が必要な場合があり、ストレスを避けるための業務調整も求められる。 - <発達障害>
症状が目に見えず配慮が難しい。障害特性がやや複雑なので、業務指示を行う管理職側のコミュニケーションコストが上がりやすい。 - <知的障害>
適性のある業務が限られ、求人が見つかりにくい。
上記のように、障がい者を受け入れるにあたって、業務上の配慮をしなくてはなりません。
また、職場のコミュニケーション、ストレスを減らすための“環境調整”をおこなうことも求められますが、どんなに配慮をしてもうまくいかない例は多々あります。
2018年までは精神障害者は「障害者雇用義務」の対象ではなかった
精神障害者が「障害者雇用義務」の対象に加わったのは2018年からなので、まだ企業側の受け入れ態勢が整っていない、という事情もあります。
2018年で法改正されるまで
- 精神障害者は「障害者雇用義務」の対象外
- 一定の条件を満たす精神障害者の短時間勤務について、1人分として算定する特例は設けられていなかった
障害者の就職が難しい理由②
知識と経験のある管理職が少ないため
障害者の就職が難しいとされる理由2つ目は、障害者向けの対応ノウハウ、経験を持った管理職が単純に少ないからです。
- どんな配慮が必要なのか
- コミュニケーションの取り方
- 具体的に任せる仕事内容の決め方
など、考えることは多くあるので、慣れていない管理職からすると「配慮の見通しが立てにくく、業務の設計が難しい求職者」の採用には慎重になりがちです。
特に「優秀で仕事ができる障害者の方」は、安定して長期雇用されるケースが多いので、転職市場になかなか出回りません。
障害者の就職が難しい理由③
障害者は職場定着率が低いため
「障害がある方」は「障害がない方」と比べて職場定着率が低い傾向にあります。実際、入社後1年以内の離職率を比較すると大きな差がありました。
<離職率の比較>

出典:厚生労働省(2020)
出典:障害者職業総合センター(2017)
※なお一般新卒は「大卒の新入社員」です
上記のように「障害のない大卒の新入社員」と「障害のある社員」では、1年以内の離職率に大きな差があります。企業側は「長期就業してくれる方を採用したい」と考えているので、就労が安定しない求職者は採用しにくいと言うのが本音です。
ここまでのまとめ:
障害者の就職が難しい理由
近年、障害者の雇用は大きく改善しつつありますが、それでもまだ障害者転職は難しいという状況であることには変わりません。
法定雇用率の引き上げと法改正によって、一定は促進されつつありますが、まだ企業側での受け入れ準備が整っていないというのが現状です。経歴次第では転職活動が難航しやすいので、複数の転職エージェントに登録して求人紹介を受けることをおすすめします。
就職活動は一人で進めず、専門家と相談しながら進めてください。理由は、障害と仕事(環境や業務内容)の“相性”を慎重に見極める必要があるからです。客観的な立場で意見をくれるパートナーの存在は、心強い味方になります。
ここからは就職に向けたポイントについて、具体的に解説していきます。
障害者が就職活動を行うときのポイント
就職活動を行う場合は、下記のポイントを押さえて進めることをおすすめします。それぞれ順番に解説していきます。
障害者が就職活動を行うときのポイント①
自身の障害特性と必要な配慮を理解する
まずは、自身の障害特性と、職場環境に必要な配慮を理解して整理しておきましょう。「障害がある」と一口にいっても特性は人それぞれなので「自分が何を苦手としていて、何をストレスに感じるか」の事前整理が大切です。
それこそ、手帳を取得する必要がないくらい軽度であれば「民間企業の一般枠」で就労することもできます。反対に、困難が大きく配慮が必要なら「障害者雇用枠」や、就労移行支援・就労継続支援などの「福祉的就労」から段階的に慣れる選択肢があります。
障害者が就職活動を行うときのポイント②
とにかく向いていない仕事を避ける
自身の障害特性と必要な配慮を理解したならば、向いていないであろう仕事は避けて、できるだけストレスがかからない仕事を探しましょう。
もちろん、興味がある“やりたい仕事”を選ぶのも悪いことではありませんが、障害者は「ストレスを回避すること」のほうが遥かに重要です。憧れの職業でも数ヶ月で高揚感は薄れ、できないことばかりの現実に苦痛を感じるようになるからです。
障害者が就職活動を行うときのポイント③
無理はせずに段階的に慣らしていく
仕事を探すときは、無理のない就労形態からはじめるようにしてください。精神症状が安定していない場合や、長期間のブランクがある場合は「勤務時間をどれくらいにするか」から医師と相談しましょう。
もし、民間企業への就職が不安な場合は、就労移行支援で就職準備を進めたり、状況に応じて就労継続支援A型・B型を検討したりする方法があります。

民間企業での就職に少しでも不安がある場合は、無理をせず、段階を踏んで慣れていくことをおすすめします。(例えばSTEP3.就労移行支援の利用から始める、など)
どれにすべきか悩んだら、就労移行支援の大手であるウェルビーやココルポートに相談してみてください。資料請求すると先方から連絡をもらえるので、気軽に話を聞けます。
障害者が就職活動を行うときのポイント④
就職活動は一人でせず、支援機関を活用する
障害者が長期定着するためには、正しい職場理解と繊細な配慮が必要なので、客観的な立場からアドバイスをくれて、障害者の仕事事情に詳しい「支援機関」の力を借りることをおすすめします。
例えば、下記のような機関です。
悩んだら、地域障害者職業センターに相談してみてください。エリアごとに電話番号が記載されているので、相談先がすぐ見つかります。
障害者の転職に関するよくある質問
- 障害者の転職は本当に難しいですか?
-
障害者雇用の求人数は一般雇用より限られ、職種や勤務地、必要な配慮によって選択肢が狭まることがあります。
一方、雇用者数は増加傾向です。条件を整理し、複数の支援サービスを活用すると進めやすくなります。
- 短期離職や職歴のブランクがあると不利になりますか?
-
短期離職や長いブランクがあると、企業から就労の安定性を確認されやすくなります。
ただし、それだけで不採用が決まるわけではありません。退職理由や現在の体調、継続して働くための工夫を具体的に説明しましょう。
- 年齢が高いと障害者雇用への転職は難しくなりますか?
-
年齢が上がるほど、未経験職への転職や求人選びが難しくなる場合があります。
一方、これまでの経験や専門性を活かせる求人では評価される可能性があります。年齢だけで判断せず、経験を活かせる仕事を探しましょう。
- 一般雇用枠と障害者雇用枠のどちらを選ぶべきですか?
-
配慮を受けながら働きたい場合は障害者雇用枠、求人の幅や仕事内容を重視する場合は一般雇用枠も選択肢です。
必要な配慮の程度や体調、希望する働き方によって異なるため、支援機関などに相談して判断しましょう。
- 障害者向け転職エージェントは複数登録した方がよいですか?
-
保有求人や得意な職種、対応地域はサービスごとに異なるため、複数登録がおすすめです。
2〜3社ほど利用すると、紹介求人や担当者の対応を比較できます。ただし、応募先が重複しないよう管理しましょう。
- 転職エージェントと就労移行支援のどちらを使うべきですか?
-
すぐに応募できる状態なら転職エージェント、生活リズムや就労スキルから整えたい場合は就労移行支援が向いています。
長期間のブランクや体調への不安がある方は、無理に応募せず段階的に準備を進めましょう。
障害者向けおすすめ転職エージェント
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